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現在売りに出されている物件の中には、「リノベーション向きの物件」と「リノベーションに向かない物件」という、2種類の物件があります。リノベーションを前提に物件を購入するのであれば、当然リノベーション向きの物件を購入するべきです。
今回は、リノベーション向き物件を見分ける上で知っておきたいポイントをご紹介します。
(作成日2023.10.6 更新日2025.3.13)

リノベーション向き物件を見分ける6つのポイント

リノベーション向きの物件を購入する際に意識したいポイントは、以下のとおりです。
1. 間取り変更のしやすさ
リノベーション向き物件の中には、建物の構造的に間取りを変更しやすい物件とそうでない物件があります。
例えば、マンションには「壁式構造」と「ラーメン構造」という2つの構造がありますが、撤去できない壁がある壁式構造のマンションは間取りの変更に制限が生じてしまいがちです。一方、梁や柱で構成されるラーメン構造のマンションは、壁を動かしやすく、間取りの変更が制限されづらいという特徴があります。
また、建物を支える間仕切り壁を抜くことができない2✕4工法(枠組壁工法)の戸建ても、間取りの変更に制限が生じやすいため注意しなくてはいけません。
購入後に間取りの変更をともなうリノベーションを検討している方は、間取りを変更しやすい物件を選ぶことが大切です。
2. 配管の動かしやすさ
配管の動かしやすさも、間取り変更に影響する要素の一つです。
例えば、古いマンションの中には「床スラブ貫通配管」を採用しているマンションがありますが、そういう物件は配管を移動することができないためリノベーションには向きません。また、パイプスペースが部屋の端ではなく中央部分に位置する物件も間取りが制限されてしまうためリノベーションには不向き。
間取りを前提に物件を購入するのであれば、これらの物件は避けるべきだと言えます。
3. 適切な管理とメンテナンス状況
管理やメンテナンスが適切に行われている建物は長持ちする傾向があります。
例えば、管理組合がしっかりとしているマンションは共有部分の手入れが行き届いていますし、建物の劣化も見られません。一方、維持管理が適切におこなわれていないマンションは、階段やエントランスなどの共有部分が汚れていたり、壁のひび割れや手すりのサビなど劣化が目立つ傾向があります。
適切に維持管理されていない建物は劣化が早く進んでしまう可能性が高いですし、すでに劣化してしまっている可能性もあるので避けるべきだと言えるでしょう。
マンションのメンテナンス状況は「重要事項調査報告書」で確認可能です。重要事項調査報告書にはそのマンションの過去の修繕履歴が記載されているので、適切にメンテナンスされているかどうか確認できます。
戸建てについては、住宅診断(ホームインスペクション)を実施して、建物の状態を確認するようにしてください。
4. 資産価値が下がりにくい築年数

リノベーションを前提に物件を購入するのであれば資産価値も意識しなくてはいけません。
資産価値の観点でおすすめなのが築20年以上の物件です。中古マンションや中古戸建ての価格は築20年まで継続的に下がり続けますが、築20年以降になると下げ幅はおだやかに。築25年を過ぎると横ばいになります。
築20年以上の物件を選ぶようにすれば、購入費を抑えやすくなるため、リノベーションにより多くの予算を割けるようになります。
5. リノベーションされていない物件
売りに出されている中古住宅の中にはリノベーション済みの物件もありますが、リノベーションを前提に物件を購入するのであればリノベーションされていない物件を選ぶべきです。
リノベーション済みの物件はリノベーションの費用が物件の価格に反映されているため、リノベーションされていない物件に比べて割高な傾向があります。また、リノベーション済みの物件は壁のクロスや床材が新しいものに交換されているためすべてが新しくなっていると錯覚しがちですが、「配管はそのまま」というケースがほとんど。
築年数の古いマンションや戸建てだと、配管が古く、内部にサビが発生していることもあります。
よほど理想的な物件でない限り、リノベーションされていない物件を選ぶべきだと言えるでしょう。
6. 耐震基準をクリアしている物件(戸建て)
戸建てを購入してリノベーションするのであれば、耐震基準もチェックしなくてはいけません。
耐震基準には旧耐震基準と新耐震基準があり、以下のような違いがあります。
旧耐震基準:震度5強程度の揺れで建物が倒壊しない強度の住宅
新耐震基準:震度6〜7程度の揺れで建物が倒壊しない強度の住宅
旧耐震基準の戸建てだと耐震補強が必要になることがあり、余計なコストがかかります。
なるべくリノベーションに予算を割くためにも、耐震補強の必要がない物件を選んで購入するようにしましょう。
失敗しないリノベーション向き物件の探し方
リノベーション向き物件は、さまざまな方法で探すことができます。
ポータルサイトで探す
もっとも手軽にリノベーション向き物件を探せるのが、ポータルサイトで探す方法です。ポータルサイトにはさまざまな不動産の情報がまとめて掲載されており、条件を絞って検索できるため効率的に物件を探せます。
ただ、掲載されている情報が古いことも多く、「問い合わせたらすでに買い手が決まっていた」というケースも珍しくありません。
ポータルサイトでリノベーション向き物件を探す際は、気になる物件があったらすぐに問い合わせることが重要になります。
不動産会社に問い合わせる
ポータルサイトに掲載される前の最新の情報をゲットしたいのであれば、不動産会社に直接問い合わせる方法がおすすめです。タイミング良ければ理想的な物件が見つかる可能性がありますし、条件を伝え、物件が見つかり次第連絡してもらうこともできます。
ただ、不動産会社によって得意分野が異なるので、問い合わせる際は中古物件に強い不動産業者に問い合わせるようにしましょう。
ワンストップリノベーションの会社に物件探しから依頼する
リノベーションを前提に物件を探すのであれば、物件探しからリノベーションまでトータルで任せられるワンストップリノベーションの会社に相談するのが一番です。
ワンストップリノベーションの会社はリノベーションの内容を考慮しながら物件を探してくれるので、「構造上の制限でやりたいリノベーションができない」などのトラブルが起こりづらくなっています。また、窓口を一つに集約できるので、やりとりもスムーズ。
非常にメリットの多いリノベーション向き物件の探し方だと言えます。
リノベーション向き物件を探すときの注意点

リノベーション向き物件を探す際は、以下の点に注意することで後悔を避けられるようになります。
管理規約をチェックする(マンション)
マンションには管理規約がありますが、管理規約にはリノベーションに関する事項も記載されています。
規約の内容はそれぞれのマンションによって異なりますが、騒音対策の観点から床材の種類が制限されたり、配管トラブルを防ぐ目的で水まわりの移動がNGとなっていることもあるため注意しなくてはいけません。
リノベーション向きの物件を探す際は、事前にマンションの管理規約を確認し、やりたいことができるかどうかをチェックしておく必要があります。
劣化状況をチェックする(戸建て)
劣化が進んでいる物件を購入すると、補強や修繕でコストがかさみ、予算を大きくオーバーする可能性があるため注意しなくてはいけません。
CRAFTでは、物件内覧時に建築のプロが建物の調査を実施し、問題ないと判断されれば、無料で瑕疵保険を付与しています。(問題があってもリノベーションで該当部分を改修すれば、同じ補償サービスを受けられます)
とくに不具合が発生しやすい「基礎、柱、梁などの構造耐力上主要な部分」と「屋根、外壁などの雨漏りを防止する部分」については、5年間保証の対象です。建物の調査で不具合が見つかって加入条件を満たせないようなケースでも、リノベーション工事と一緒に該当箇所を修繕することで同様の保証を受けられるようになるので安心です。
希望通りにリノベできるか見極める
中古物件の中には構造上リノベーションの内容が制限されるような物件もあるので、購入する際は希望通りにリノベーションできるかどうかについても確認しておかなくてはいけません。そのためにも、物件の購入からサポートしてくれるワンストップリノベーションの会社に依頼するのが一番です。
CRAFTでは、物件の内見に建築・リノベーションのプロが同行。「この壁は撤去可能です」「水まわりはここまで移動できます」など、希望通りにリノベーションできるかどうかをしっかりと見極め、そのうえで具体的なリノベーションのプランをお伝えします。
物件探しとリノベーションは「同時」が成功ポイント

リノベーションを前提に物件の購入を考えている方の中には、「とりあえず物件を購入して、その後でリノベーションを依頼しよう」と考えている方もいるかと思います。ただ、物件探しとリノベーションを別々に進めるのはあまりおすすめできません。
物件を先に購入したことでリノベーションに避ける予算が残らなかったり、物件によっては、構造上の制限でやりたいことができなくなってしまったりするケースがあるからです。
リノベーションを前提に物件を探す際は、物件の紹介からリノベーションまで一貫して引き受けてくれるワンストップリノベーションの会社を活用し、同時に進めるようにしましょう。
リノベ向き物件を買って、理想の住まいにした事例
リノベーション向きの物件を購入して理想の住まいを実現した事例を紹介します。
マンションの事例:理想のセカンドハウスですごす最高の時間

こちらの事例では、海外在住のお客さまがセカンドハウスとして購入したリノベーション向き物件を、日本での滞在期間をゆったり過ごしていただけるよう「和モダン」をテーマにフルリノベーションしました。
状態が良かった個室の収納やトイレの天然石のカウンターなどはそのまま活用。その一方で、個室を取り込んでLDKを拡大したり、木と石を使ったホテルライクのバスルームにするなど大胆に変更している箇所も。
柱による凹凸を活用したデイベッドなど、コストと満足度の両方を意識した空間に仕上がりました。
- 築年数:14年
- リフォーム面積:95㎡
- 費用:4000万円
- 種類:マンション
戸建ての事例:壁を撤去して開放感のあるリビングに

こちらの事例では、郊外のリノベーション向き物件をフルリノベーションしました。
1階に配置されたLDKは、隣接していた和室を撤去してキッチンを移動したことでよりゆったり過ごせる空間に。
建物の中心に配置されたパティオと大空間のLDK、そのLDKの先に続くデッキと庭がシームレスにつながった、開放感の感じられる住まいに生まれ変わりました。
- 築年数:11年
- リフォーム面積:90㎡
- 費用:2800万円
- 種類:戸建て(軽量鉄骨造)
〈まとめ〉リノベーション向き物件探しはプロに任せよう
現在売りに出されている物件には、リノベーションに向いている物件とそうでない物件があります。ご自身で確認して「問題ない」と思えるような物件であっても、専門家の目で見ると大丈夫ではないと感じるケースは少なくありません。
リノベーションに向いていない物件を購入してしまうと、理想の部屋を実現しにくくなってしまうため注意が必要です。
「物件を自分で探すのはちょっと難しそうだな…」と感じるのであれば、ぜひ物件探しからプロに手伝ってもらいましょう。
CRAFTでは、物件の見学時に不動産コンサルタントと設計コンサルタントがリノベーションの内容についてもお伝えするため、
「やりたい工事ができない!」
「予算を大幅にオーバーしてしまった…」
「迷っている間に、他の人に買われてしまった」
ということがありません。
物件探しからリノベーションまでトータルでサポートしておりますので、ぜひお気軽にご相談ください。



<著者>CRAFT 編集部
一級建築士・二級建築士・インテリアコーディネーター・一級建築施工管理技士・二級建築施工管理技士・宅地建物取引士が在籍。さまざまな知識を持つプロフェッショナル集団が、リノベーションや物件購入についてわかりやすく解説します。