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「ブランドマンション」とは、大手デベロッパーによるハイエンドなマンションのこと。各デベロッパーのブランドイメージを左右する、社運をかけたプロジェクトです。毎回新作が出るたびに「かっこよすぎ」という声も多く、中古でも高い資産価値をキープしています。
今回は大手デベロッパー7社のブランドマンションと、そこに住むメリットをご紹介します。
〈1〉三菱地所レジデンス ザ・パークハウス
パークハウスグラン南青山四丁目
財閥系マンションデベロッパー御三家のひとつ、三菱地所レジデンス。メインブランドは「ザ・パークハウス」、最高峰ブランドは「ザ・パークハウスグラン」として知られています。外観デザインは極めてフォーマルな雰囲気で、富裕層の心に響きやすいのが三菱地所レジデンスの大きな特徴です。
さらに、すべてのマンションに標準仕様で、震災時に備えて独立した給水ポンプを設置。地域の人にも提供することも想定されており、まさに「地域のために」存在する優等生的なマンションです。とりあえず迷ったら「ザ・パークハウス」を買っておけば間違いないでしょう。将来も安泰のマンションブランドです。
〈ザ・パークハウスがおすすめな方〉
・フォーマルな雰囲気がお好きな方
・地震対策が万全なマンションをお探しの方
・資産性を重視する方
〈三菱地所レジデンスの主なブランドマンション〉
○ザ・パークハウス…マスターブランド
○ザ・パークハウスグラン…最高峰!
〈2〉三井不動産レジデンシャル パークホームズ
パークマンション南麻布
「パークコート渋谷 ザ タワー」や「パークコート神宮北参道 ザ タワー」など、曲線が際立った超個性的なマンションを手がける三井不動産レジデンシャル。車で言えばベンツのようになイメージがありますが、財閥系デベロッパーの中では高級マンションの歴史が古い。しかも、こうした攻めたマンションはかなり昔から手がけています。
たとえば1971年には、タワーマンションの先駆けとなる〈三田綱町パークマンション〉を発売。海外のライフスタイルを彷彿させる空間を先駆けて発表し、話題になりました。また周辺相場よりも高価格のハイグレード物件を打ち出し、エリアナンバーワンマンションになるなど、そのフロンティア精神はリスペクトに値します。「人とは違うマンションに住みたい」という方におすすめです。
〈パークコートがおすすめな方〉
・攻めたがデザインがお好きな方
・人とは違うマンションをお探しの方
・資産性を重視する方
〈三井不動産レジデンシャルの主なブランドマンション〉
○パークホームズ…マスターブランド
○パークシティ…大規模マンション
○パークタワー…高層マンション
○パークコート…ハイグレード
○パークマンション…最高峰!
○パークシーズンズ…リゾートマンション
〈3〉野村不動産 プラウド
プラウド神山町
ハイグレードマンションをつくらせたら「野村不動産か、三井不動産レジデンシャルか」と言っても過言でないくらい洗練されたブランドイメージを確立しているのが「プラウド」。「プラウドが欲しい」という指名買いも少なくありません。2021年は財閥系御三家デベロッパーを抑え、マンション供給量トップ1位にランクイン。野村証券が母体のデベロッパーとして異彩を放っています。
「プラウド」をスタートしてたった20年ほどでこれだけのブランドイメージを築けた理由は、「住んでからの満足度」にあると個人的に考えています。そのひとつが、安定した管理体制。野村不動産は調査開始から13年連続で「管理会社満足度ランキング」No.1に輝いています。(住まいサーフィン調べ)
余計な装飾がなく、すっきりとした外観デザインも都心の方に好まれる理由のひとつです。純粋に「プラウドに住んでみたい」という方におすすめです。
〈プラウドがおすすめな方〉
・スタイリッシュな雰囲気がお好きな方
・管理状態のよいマンションをお探しの方
・資産性を重視する方
〈野村不動産の主なブランドマンション〉
○プラウド…マスターブランド
○プラウドシティ…大規模マンション
○プラウドタワー…高層マンション
〈4〉住友不動産 シティシリーズ
シティタワー恵比寿
住友不動産がつくるどのマンションも「黒を基調とした外壁で、ガラスと直線を多用」というように、デザインが統一されています。ですので、一目見ればだいたい「住友不動産っぽいな」とわかります。ただし、住友不動産だからと言ってマンション名に必ずしも「シティ」が付いているわけではなく、「グランドヒルズ 」「パークスクエア」といったマンションも。ブランド名にさほど固執していなさそうですね。いいなと思って調べてみたら「住友不動産のマンションだった」ということもあるでしょう。
また品川の「ワールドシティタワーズ」をはじめとしたタワーマンションには、都心ビルと同様に「ガラスカーテンウォール」が採用されていることも、ビル開発に長けた住友不動産の特徴。大きな窓からダイナミックな景色を楽しむことができ、「眺望重視」という方にはオススメな仕様です。住友の場合は、タワーマンションでなくても眺望を重視してバルコニーの手すりが透明なケースが多いです。セキュリティを重視すれば半透明や縦格子を採用するところ、あえて透明にするところに住友の心意気を感じますね。
ちなみに、最高峰の「グランドヒルズ」が中古物件で販売されていたらかなり貴重。条件や予算が合う場合は迷わず買うことをオススメします。
〈住友不動産のマンションがおすすめな方〉
・モノトーンの外観がお好きな方
・眺めのよいお部屋をお探しの方
・資産性を重視する方
〈住友不動産の主なブランドマンション〉
○シティハウス…マスターブランド
○シティテラス…大規模や低層マンション
○シティタワー…高層マンション
○グランドヒルズ…最高峰!
〈5〉東京建物 ブリリア
ブリリア鎌倉御成町
タワーマンションに定評があるブリリア。高級戦略がうまくが成功しており、マンションが建つたびに何かと話題になります。たとえば平均価格1億1434万円の高級マンション「ブリリアタワーズ目黒」は販売からわずか4ヶ月ほどで完売。「ブリリアタワー池袋」は、豊島区役所と一体型の大規模複合タワーレジデンスとしてメディアをさわがせました。さらに築14年の「ブリリアマーレ有明」は資産価値がどんどん上がっていることでも知られています。
かと思えば「ブリリア鎌倉御成町」では鎌倉の街にとけこむようなシックなデザインが美しい。街によってコンセプトをきめ細やかに変えていることがうかがえます。
ちなみに東京建物は、旧安田財閥の安田善次郎が1896年に創業。他の財閥系不動産会社よりも古く、日本で最も歴史のある不動産会社です。日本で初めて、割賦で住宅を販売して住宅ローンの基礎を築いたのも東京建物。ちなみに安田善次郎は、なんとオノ・ヨーコの曽祖父にあたります。系譜を感じさせますね。
〈東京建物のマンションがおすすめな方〉
・タワーマンションお好きな方
・話題性のあるマンションをお探しの方
・資産性を重視する方
〈東京建物の主なブランドマンション〉
○ブリリア…マスターブランド
○ブリリアタワー…高層マンション
○ブリリアシティ…大規模マンション
〈6〉東急不動産 ブランズ
ブランズシティ久ヶ原
ご存知の通り、電鉄系のマンションブランド「ブランズ」。これまでのマンションを見た限りはデザインに特徴がなく、無難にまとめている感じでイメージが定着していなかったのですが、ここ最近の「ブランズタワー豊洲」でかなり存在感を打ち出してきました。
「ブランズタワー豊洲」は、東急不動産が主体となった5事業者によるプロジェクトで2021年に誕生。駅徒歩4分で、敷地内には保育所やスーパー、緑豊かなプロムナードがあります。小学校はすぐ隣で、「ららぽーと豊洲」も徒歩5分。マンションというハード面だけでなく、圧倒的な利便性と暮らしやすさといったソフト面に注力した街づくりは、「さすがは田園調布を開発した東急不動産グループだ」と唸りたくなります。
〈東急不動産のマンションがおすすめな方〉
・控えめで上品な雰囲気がお好きな方
・利便性の高いマンションをお探しの方
・資産性を重視する方
〈東急不動産の主なブランドマンション〉
○ブランズ…マスターブランド
○ブランズタワー…高層マンション
○ブランズシティ…大規模マンション
○ブランズ ザ・ハウス/ブランズザ・レジデンス…都心の一等地
〈7〉積水ハウス グランドメゾン
グランドメゾン伊勢山
積水ハウスと言えば戸建てのイメージがありますが、「グランドメゾン」はその住宅メーカーとしてのノウハウを活かしたたきめ細かなデザイン・仕様が特徴です。(高級路線ではない)スタンダードクラスのマンションなら、他社は平均的なスペックでまとめるところ、グランドメゾンは標準仕様で廊下に織り上げ天井や十分な収納を設けたりと、内装スペックにコストをかけています。
これまでの「グランドメゾン」は西日本(名古屋〜福岡)に多いイメージでしたが、ここ数年は都心の一等地でも存在感が増してきましたね。短期間で「グランドメゾン」の知名度を上げ、ここ数年で他のデベロッパーと肩を並べるまでに成長したという事実が、積水ハウスのマンションクオリティを物語っていると思います。
〈積水ハウスのマンションがおすすめな方〉
・重厚な雰囲気がお好きな方
・内装スペックにもこだわる方
・資産性を重視する方
〈積水ハウスの主なブランドマンション〉
○グランドメゾン…マスターブランド
ブランドマンションを中古購入する4つのメリット
大手デベロッパーのブランドマンションは、実はさまざまなメリットがあります。ここでは、大手デベロッパーのブランドマンションの4つのメリットをご紹介します。
〈メリット1〉資産価値を維持しやすい
大手デベロッパーのブランドマンションの大きなメリットは、「資産価値」にあります。人は「知らないブランドよりも知っているブランドを買いたくなる」という心理がありますが、それに加えてファサードの印象や管理状況も安心できるといったブランドへの信頼感が高いからです。そのため中古で購入しても今後の資産価値をキープしやすく(むしろ新築よりも中古の方が資産価値が落ちにくいのでお得)、将来はマンションを売却する・賃貸に出すときにかなりスムーズです。
〈メリット2〉周辺環境がよい
ブランドマンションは環境がよい場所に建てられるケースがほとんどです。また大手デベロッパーは中堅デベロッパーに比べて資金力があるため、エリア一帯開発として街を丸ごとつくるケースも。その場合は、街なみがとてもきれいです。
その代表が「パークシティ浜田山」。戦前は三井グループの社員が利用する〈三井浜田山グラウンド〉だった広大な土地を、2009年にマンションとして分譲。総戸数522戸の大規模マンションながらも、美しく閑静な街なみがキープされています。こんなことができるのも、三井不動産だからです。
〈メリット3〉施工会社も一流
デザインがよくても施工が悪ければ、とても残念です。その点ブランドマンションの施工は、鹿島建設、竹中工務店など一流の施工会社が手がけています。仕上がりはとても美しく、耐力面でも安心です。
〈メリット4〉アフターサービスが充実
大手デベロッパーはマンションの企画から販売、管理を一貫していることが多いため、アフターサービスの対応も自社のグループ会社が行うことがほとんどです。建物のことしっかり把握している会社が管理してくれるのは、とても安心です。また内容もかなり充実しています。たとえば野村不動産の有償のアフターサービス「NEXT PASS 10」。10年間は急なトラブルがあればすぐにかけつけてくれるそうです。
ブランドマンションなら、中古で買ったとしても、アフターサービスやメンテナンスの内容に満足できるでしょう。
ブランドマンションを中古購入する2つのデメリット
広く人気のあるブランドマンションですが、購入前に知っておくべき注意点があるのも事実。ここでは、大手デベロッパーのブランドマンションにおける2つの注意点を解説します。
【デメリット1】希望のエリアで売りが出ないこともある
ブランドマンションは、すぐに売れてしまったり、なかなか売りに出ないことがあります。人気物件の場合は市場に出ずにひっそり取引されることもあるんですね。そこでおすすめなのが、前もって不動産会社に声をかけておくこと。担当者に前もって希望のエリア、価格帯、広さ、もしくは具体的なマンション名を伝えておきましょう。
他社の取り扱い物件であってもCRAFTなら、市場に出る前にご紹介可能なこともあります。ぜひ一度お声がけください。
【デメリット2】マンション価格が高値になりがち
ブランドマンションは、ノーブランドのマンションに比べて価格が高額になりがちです。外観や共用部、設備など、ブランドの名前にふさわしいスペックとなっていること一つの要因です。さらにブランドマンションは中古でも売れやすい=強めの価格設定がされがちです。(ただし、売るときもそこまで値崩れしないというメリットにもつながっています)
もし同じ条件で価格帯の違う2つのマンションで迷ったら、ブランド名にこだわらずに選びましょう。
ブランドマンションのリノベーション工事は、慎重に!
ブランドマンションは一般的なマンションに比べ、管理組合が厳しいケースが多くあります。リノベーションするなら工事経験の豊富な会社に依頼しましょう。また同様に近隣住民も騒音に厳しい方が多いです。CRAFTでは、リノベーションの工事前に管理組合に許可を取り、近隣挨拶や、窓を閉めて解体作業をするといった近隣住民への配慮も万全に行います。
ではここからは、CRAFTがブランドマンションをリノベーションした事例をご紹介します。
ブランドマンションのリノベーション事例
都内のブランドマンションをリノベーションした事例です。築7年だったものの、間取りと内装が好みではなくすべてを一新。草木染めのフローリング、壁には大理石、やレンガ、御影石。本物素材にこだわり、クラシカルかつモダンなミラノの邸宅ような住まいに仕上げています。さまざまなマテリアルを使いながらも、グレイッシュトーンで統一することで上品なイメージに。ブランドマンションにふさわしい、ラグジュアリーなインテリアです。
〈まとめ〉ブランドは大切だけど、「自分の価値観」はもっと大事!
大手デベロッパーのブランドマンションには「資産価値が落ちにくい」など多くの共通したメリットがあります。もし「同じエリアで、同じ価格帯で、ブランドマンションと無名マンションで迷っている…」というのでしたらブランドマンションを買っておくことをおすすめします。
ただし、あまりにもブランドにこだわりすぎて「本当にマンションに求める物」を見失わないようにしてください。先述したように「同じ条件」ならブランドを選ぶべきですが、予算オーバーしたり、広さや立地を妥協してまでブランドマンションを買う必要はないでしょう。
大切なのは広い視野を持ってマンションを探すこと。ブランドでなくても、あなたにとってベストなマンションが見つかればいいのです。隣に大きな公園やスーパーがある、ご実家が近くて安心など、あなたらしい価値観でマンションを探すなら、CRAFTまでぜひご相談ください。不動産コンサルタントが、「あなたにとって」価値ある物件をご紹介します。
CRAFTのモデルルームで「中古物件購入+リノベーション」について相談する
<著者>中野 瀬里乃
大学卒業後、出版社・フリーライターを経て、2013年リノベーション会社CRAFTへ入社。自社HPやオウンドメディアにてリノベーション・不動産・建築・インテリア関連の事例紹介やコラムを多数執筆。