目次
開放感に大きく関わる天井高。マンションの購入を検討しているのであれば、マンションの天井高もチェックしておきましょう。
一般的なマンションの天井高や天井の高いマンションのメリット・デメリット、リノベーションで天井を高くする際の注意点などについて紹介していきます。
一般的なマンションの天井高は「2400mm」
天井高は、床から天井までの内寸を表したものです。リビングや寝室など居室として使用する部屋の天井高は建築基準法で2100mm以上と定められていますが、一般的なマンションの居室は2100mmギリギリでは設計されておらず、2400〜2600mmでとられているケースが多くなっています。
ただ、マンションの築年数によって天井高に違いが生じることも多く、築年数が古いマンションほど天井高が低く設計されている傾向にあるため注意が必要です。例えば、築20〜30年の少し古めのマンションでは、天井高が2300mmほどでとられていることも珍しくありません。
そのため、天井高にこだわるのであれば、比較的築年数の浅いマンションを狙うべきです。ただし、「築年数が浅い=天井が高い」というわけではなく、また既存の天井が低くてもリノベーションで上げられる可能性もあるので、見学時は「リノベーションで天井高をあげられるか」を確認しましょう。
天井高が高いマンションのメリット・デメリット
天井が高いマンションにはどのようなメリットが期待できるのでしょうか?
天井高が高いマンションのメリット
天井高が高いマンションの主なメリットとしては、
・開放感がある
・家具の選択肢が増える
・照明の選択肢が増える
などがあげられます。
居室の天井が高くなると、圧迫感が減り、開放感を感じられるようになります。部屋も広く感じられるようになるので、非常に大きなメリットだと言えるでしょう。
また、天井の高さが高くなることで、これまでの天井高だと導入が難しかった家具や照明を導入できるようになり、家具や照明の選択肢の幅が広がるというメリットもあります。
天井が低い部屋に背の高い家具を導入してしまうと圧迫感が感じられるようになってしまいますが、天井の高いマンションであれば、かえって天井高を強調することができます。
これも、天井が高いマンションならではのメリットの一つです。
天井高が高いマンションのデメリット
魅力的なメリットの多い天井高の高いマンションですが、
・掃除がしにくい
・光熱費が高くなりやすい
・天井の低いマンションよりも照明の光量が必要になる
など、ならではのデメリットもあるため注意しなくてはいけません。
天井の高いマンションでは、照明の位置やエアコンの位置も高くなります。そのため、天井高の低いマンションに比べて掃除が大変になってしまいがちです。
天井が高くなると、多少ではありますが部屋の空間も広くなるので、光熱費が高くなってしまう可能性もあります。
また、天井が高いとより多くの光量が必要になるため、
・より光量の強い電球を取り入れる
・間接照明を取り入れる
などの対応が必要になることもあります。とはいえメリットに比べたらささいなことなので、もし買うなら「天井高が高いマンション」「天井高を上げられるマンション」がおすすめです。
マンションの最上階なら、天井高がすごく高いこともある
居室の天井高にこだわるのであれば、築年数の浅いマンションを狙うという方法の他に、マンションの最上階の部屋を狙うのもひとつの手。最上階の部屋は、上に部屋がないので、他の部屋に比べて天井が高くとられていることがよくあります。
実際、こちらの画像の部屋は最大3400mmの勾配天井になっており、一般的なマンションの天井高に比べ、1m近く高くなっています。
マンションの天井は100mm高くなるだけで印象が大きく変わるので、天井の高い物件を希望しているのであれば最上階の物件を中心にチェックしてみてはいかがでしょうか。
二重天井ならリノベーションで天井の高さを上げることも可能
マンションの天井は「直天井」と「二重天井」の2種類に分けられますが、二重天井であればリノベーションによって天井の高さを上げることも可能です。
直天井はマンションの躯体に直接クロスを貼るタイプの天井です。クロスと躯体の間にはスペースがないため、それ以上天井を高くすることはできません。
一方、二重天井は、マンションの躯体とクロスの間に空間を設けて仕上がるタイプの天井です。空間の高さはマンションによって異なるため一概に言い切ることはできませんが、1000mmほど天井を高くできるケースもあります。
そのため、これから物件を購入する予定なのであれば、リノベーションで天井の高さ変えられる二重天井の物件を探すのがおすすめです。
二重天井かどうかについては天井を叩いたときの音の違いで判断できますが、正確に判断したいのであれば不動産の担当者に確認するようにしてください。
リノベーションで天井高を高くするときの注意点
リノベーションで天井高を高くする方法には、天井の躯体がむき出しの状態にする「天井現し(てんじょうあらわし)」という方法もあります。天井現しは天井の高さを最大限高くできるというメリットがありますし、躯体部分があらわになることでインダストリアルでおしゃれな雰囲気になるため、近年人気の高まってきている方法でもあります。
ただ、天井現しには、
・断熱性能が低下する
・結露が発生する
・防音性能が低下する
などのデメリットも懸念されるため注意しなくてはいけません。
天井をギリギリまで上げてしまうと断熱材を入れるスペースがなくなり、断熱性能が低下する可能性があります。断熱性能が低下した場合、結露が発生する可能性も高くなります。また、上の階との空間が少なくなってしまうことで上階からの騒音が大きくなるといった点も、懸念される注意点の一つです。
天井高をギリギリまで高くしたいと考えているのであれば、そのデメリットを事前にしっかりと把握しておきましょう。
リノベーションで天井高をアップした事例紹介
こちらは、築年数の古いヴィンテージマンションの天井高をアップした事例です。
「天井をできるだけ高くしたい」というご要望がありましたが、動かせない梁や配管があり、天井を全体的に高くすることは難しい状況でした。
そこで、天井をあげられる部分だけを折り上げ天井にし、間接照明を導入。折り上げ天井と間接照明により、実際以上の空間の広がりを感じさせています。
〈まとめ〉できるかどうかは、設計のプロにチェックしてもらおう
マンションの天井高は物件によって異なりますが、築年数の古い物件より築浅の物件の方が天井が高い傾向にあります。また、最上階の部屋は他の部屋より天井が高くとられていることが多いので、天井の高い部屋を希望するのであれば、
・築浅の物件
・最上階の物件
を中心にリサーチするのがおすすめです。さらに天井に懐のある二重天井の物件であればリノベーションによって天井高を上げられる可能性も。リノベーションを前提に二重天井の物件を探す方法もあります。物件の天井が二重天井になっていて、リノベーションによって天井の高さを高くできるかどうかは、設計のプロが見ないとわからないこともあります。
CRAFTでは、物件の見学時に不動産担当と設計担当が同行します。一緒に物件を確認しながら、天井を上げられるかどうかを含めリノベーションプランをお伝えしますので、マンションの天井高にこだわっている方は、ぜひご相談ください。
<著者>CRAFT 編集部
一級建築士・二級建築士・インテリアコーディネーター・一級建築施工管理技士・二級建築施工管理技士・宅地建物取引士が在籍。さまざまな知識を持つプロフェッショナル集団が、リノベーションや物件購入についてわかりやすく解説します。