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「中古の戸建てを買ってリノベーションしたい」という方が増えています。しかし中古の戸建ては、マンションよりも見極めがむずかしいとされています。建築の知識・リノベーションの知識がないままに選ぶと、欠陥住宅や違法建築を購入してしまうリスクも。今回は中古戸建て選びの注意点や、おすすめ物件の特徴をご紹介します。
中古戸建てリノベーションが人気な理由は?
〈人気な理由1〉自分好みの間取りとインテリアにできる
建売住宅は価格が抑えられていますが、その分、間取りやデザインは画一的です。「普通すぎてつまらない」と感じる方も多いのではないでしょうか。しかしリノベーション前提なら話は別です。中古の建売を安く購入し、間取り変更や内装のグレードアップにコストをかけることで、新築同様の美しさ・注文住宅のようなオリジナリティが生まれます。
〈人気な理由2〉物件費用を抑えられる
当然ながら、中古物件は新築物件よりも安く販売されています。なかでも築20年以上の戸建ては、建物の価格が0円。土地の値段だけで、建物も手に入るのです。だからといって住居としての価値がないわけではなく、メンテナンスすれば十分に暮らせる質の高い住まいも多くあります。リノベーション費用を含めても、新築の2〜3割。「中古戸建てリノベーションはコストパフォーマンスが高いと」言えるでしょう。さらにRC造(鉄筋コンクリート造)や鉄骨造の戸建てなら、建物が頑丈なため、建て替えの1/2の費用に抑えることができて木造住宅よりもお得です。
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〈人気な理由3〉憧れの街で物件を探しやすい
「このエリアで土地を探したい」「新築の建売を探している」と思っても、見つからないことがあります。人気の街ほど土地・新築戸建ての競争率が高いため、市場に出てもすぐに売り切れてしまったり、そもそもなかなか売りに出ないためです。一方、中古の戸建てであれば、どのエリアでも定期的に売りが出るため、お好きな街で戸建てを購入できるチャンスが多くなります。
購入前に知っておきたい、中古戸建てのデメリット
中古戸建てには、当然ながらデメリットがあります。事前に知っておきたいことをまとめました。
〈デメリット1〉状態を100%把握するのはむずかしい
表面的にはきれいな中古戸建てでも、じっくり調べてみると、思ったよりも劣化が進んでいることがあります。そうなると想定外の補強費用がかかり、「物件は安く買えたけど、得したか損したかわからない…」となりかねません。そうしたリスクを避けるため、購入前に建物の状態をしっかりと確認しましょう。CRAFTではリノベのプロが目視で丁寧に確認し、不具合があればお伝えしています。
〈デメリット2〉瑕疵担保責任の期間が短い
新築でも中古でも、もし購入物件に欠陥が見つかったら売主さんに工事費用を請求できる「瑕疵担保責任」があります。ただし新築と中古では、「期間」が異なります。新築であれば部分により最大10年の保証がありますが、中古は売主が個人なら数ヶ月、売主が会社でも2年ほどと短めです。最悪なケースでは、保証がないことも。
リノベーションにぴったりな中古戸建て探し、4つの注目ポイント!
「新しいほうが安心」「古い家は買わない方がいい」とは言いきれません。大切なのは見極めポイントを知ることです。ここからは、中古戸建てを選ぶ時のチェックポイントをご紹介します。
〈ポイント1〉「木造」は2000年以降、「RC造」「鉄骨造」は1981年以降の建物がお得
「木造住宅」であれば、建築基準法が改正された「2000年6月以降」に建築確認申請されている建物がおすすめです。木造住宅は1995年の阪神淡路大震災をきっかけに、より耐震性の高い家づくりのルールが生まれました。そのため2000年以降の木造住宅は、それ以前よりも耐震性が高くなっています。
一方でRC(鉄筋コンクリート造)住宅や鉄骨住宅は、1981年6月に改正された「新耐震基準」からルールは大きく変わっていません。1981年6月以降に建築確認申請されていれば、問題ないでしょう。
現行の耐震基準に適合した建物は耐震性が高く、購入後の補強工事が不要、もし必要でも安く抑えられます。「築年数」をひとつの指針として、メリットの大きい物件を選ぶのもひとつの手です。
ただし築年数が古くても品質が高く、しっかりとメンテナンスされており、既存状態がよい物件もあります。「築年数」にこだわりすぎず、物件選びの指針のひとつとして、広い視野で探しましょう。
〈ポイント2〉大手ハウスメーカーの戸建ては安心度が高い
中古の戸建てのなかでも安心度が高いのが、積水ハウス・三井ホーム・住友不動産・へーベルハウス・ミサワホーム・パナソニックホームズ・ダイワハウスといった「大手ハウスメーカー」が建てた物件です。現行の耐震基準法以前の建物だとしても、耐震性に問題ないケースが多くあります。品質も安定しているため、リノベーションでは既存を活かしてコストを抑えやすくなる傾向です。
〈ポイント3〉「木造軸組工法」や「RCラーメン構造」は間取りを変えやすい
中古戸建てを選ぶときに調べておきたいのが「理想の間取りに変えられるか」です。間取りを変えられる・変えられないは構造が大きく関係します。たとえば戸建ての大半を占める「木造軸組工法」は間取り変更しやすいですが、同じ木造でも「2×4工法」だと動かせない壁が多く、間取り変更が制限されてしまいます。
RC(鉄筋コンクリート造)も「ラーメン構造」なら間取り変更がしやすく、「壁式構造」だとコンクリートの間仕切り壁を動かせず、間取りが制約されてしまします。中古戸建ては事前に構造を確認しておきましょう。
CRAFTではご希望の間取りを事前にヒアリングし、リノベーションで実現できる物件をご紹介します。物件の見学時にはどのようにリノベーションできるかをその場でお伝え。「希望の間取りにできなかった」という失敗を避けられます。
〈ポイント4〉建て替えられない、減築、住宅ローンを組めない物件に注意
・再建築不可物件
再建築不可物件とは、「幅4m以上の道路に2m以上敷地が接する」という建築基準法の接道条件を満たしておらず、建て替えられない物件です。旗竿地や変形地に多く見られます。もし地震や家事で家が壊れてしまっても「新築できない」というハイリスクな物件です。さらに将来の売却するときに、売れない可能性も。「思い入れのある建物なのでリノベーションして住み継ぎたい」といった個人的価値があるならまだしも、そうでなければ、いくら安くても再建築不可物件はおすすめできません。
・要セットバック物件
幅4m以上の道路に敷地が面していない物件は「要セットバック物件」と言われます。4mの道路幅をとれるよう、建物の建築範囲が制限されるのです。実際に行政の道路拡張計画が出れば、ご自身のタイミングは関係なくセットバックを求められます。土地が小さくなるだけでなく、敷地いっぱいに建てられているような物件は減築しなければならないケースも。こちらも購入は慎重に行いましょう。
・建ぺい率、容積率オーバー
意外と多いのが「建ぺい率、容積率オーバー」の戸建て。金融機関は「建ぺい率、容積率オーバー」の物件の価値を算出でないため、住宅ローンの借り入れができなくなるというリスクがあります。
【建ぺい率】
敷地面積に対する建築面積の割合。たとえば100㎡の土地で建ぺい率が60%なら、建築面積60㎡の建物を建てられる。【容積率】
敷地面積に対する延床面積の割合。たとえば100㎡の土地で容積率が160%なら、延床面積160㎡の戸建てを建てられる
図面だけで判断はNG!現地を見てみると「理想通り」なケースも
間取り図を見ると「これは無いかな」と思う物件でも、実際に現地を見てみると「理想通りだった!」というケースがあります。
たとえば「旗竿地」は通りから奥まっているため、プライベートを保ちやすくなります。好んで旗竿地を選ぶ方もいるほどです。また「擁壁」のある戸建ては通りから一段高いため、通行人の視線を気にせずに暮らせます。ほかにも眺望が抜けていたり、立地が理想通りだったり、ゆたかな緑に囲まれていたりと、現地を見ると印象が変わることもめずらしくありません。
もちろん再建築不可だったり、建築が規制されてしまうような物件は避けた方がよいのですが、そうじゃなければ旗竿地や変形、擁壁のある戸建てにもメリットはあるものです。
特殊な物件にメリットを感じるか、デメリットを感じるかは買い手の受け取り方次第です。不動産会社に相談しながら候補に入れる・入れないを検討しましょう。
〈CRAFT〉の中古戸建てリノベーション事例からわかること
事例1:築33年の頑丈なRC住宅を買って、外観から内装まで新築のように
横浜の住宅街にあるRC(鉄筋コンクリート造)住宅を購入したMさん。敷地内にゆたかな緑があり、建物は窓が多く、なによりRC造のため、建物がしっかりしていたことが購入の決め手でした。
ただし壁式構造のため、間取り変更が制約されてしまうことが課題。リノベーションでは「撤去できる壁」「撤去できない壁」を見極めながら、ご希望の間取りを実現しています。
また屋根やベランダの防水、外壁の補修で性能アップしつつ、外階段やエントランスも一新。シャッター付きガレージを増築して、新築のように美しい住まいに生まれ変わりました。
事例2:築10年の状態のよい木造住宅を買って、既存を活かしてリノベーション
当初は新築を検討していたTさん。最初はハウスメーカーに相談しましたが「完成をイメージしづらい」「好みのデザインを提案してもらえない」というご不満が。そこで中古戸建てを買ってリノベーションに方針転換しました。
CRAFTの不動産担当と一緒に、「希望通りにリノベーションできるかどうか」を確認しながら物件探しをスタート。販売図面では「ちょっとイメージと違う」と思っていたそうですが、不動産担当の勧めもあり、一応見学することに。すると築10年の木造住宅は建物の状態がよく、一部既存を残しながらコストを抑えたリノベーションができそうな優良物件だとがわかりました。一目で気に入り、購入を決めたそうです。
<まとめ>中古戸建ては購入前に「建築のプロ」にチェックしてもらうことが大切
リノベーション向きの中古戸建ての特徴や注意点をご紹介しました。ただし、戸建ては築年数や外観だけでは判断できない部分が多いため、ご自身で状態を見極めるのはむずかしいかもしれません。そんなときはCRAFTのようなワンストップリノベーション会社に依頼しましょう。リノベーション前提で、状態のよい戸建てだけを厳選してご紹介します。
さらにCRAFTでは、購入前に建物に不具合がないかなどをお調べし、その結果を踏まえて修繕の必要性・費用感などをアドバイスします。戸建ての状態がクリアになった状態で「買う」「買わない」をご判断いただけるため、とても安心です。
<著者>CRAFT 編集部
一級建築士・二級建築士・インテリアコーディネーター・一級建築施工管理技士・二級建築施工管理技士・宅地建物取引士が在籍。さまざまな知識を持つプロフェッショナル集団が、リノベーションや物件購入についてわかりやすく解説します。