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マンションを購入する上で気になるのが「グレード」です。購入した後で「グレードの低いマンションだった」「グレードの低い設備が導入されていた」となってしまわないためにも、マンションのグレードの見分け方はしっかりと押さえておきましょう。購入前に重点的にチェックしたい「8つのポイント」を解説していきます。
マンションのグレードはどう見分ける?8つのチェックポイント
「グレードの低いマンションかどうか」を見分ける際に重点的にチェックするべきポイントとしては、
・外装材
・内装材
・フローリング
・室内ドア
・設備機器
・窓
・換気方法
・二重床
など8点があげられます。
マンションのグレードが気になるのであれば、これらのポイントを忘れずにチェックするべきです。それぞれのポイントについて詳しく解説していきます。
1. 外装材
マンションのグレードを見分ける際にチェックするべき8つのポイントの中でも特にわかりやすいのが「外装材」です。
マンションに用いられる外装材は、
・吹き付け
・タイル
・石
の順で価格が高くなります。
吹き付けで仕上げられているマンションが悪いというわけではありませんが、タイルや石の外壁材が用いられているマンションの方が、より建設コストのかかっているグレードの高いマンションだと判断できます。
2. 内装材
グレードの低いマンションかどうかは、部屋の内部に使用されている内装材でもある程度判断することができます。
例えば、マンションの室内の壁は「クロス」と呼ばれる壁紙材で仕上げるのが一般的ですが、クロスは、安価な「量産クロス」とハイグレードの「1000番クロス」に分けられます。
量産クロスはその名のとおりメーカー側で大量生産している安価なクロスで、品質が劣るわけではないものの、これと言った特長があるわけではありません。一方、1000番クロスは、1㎡あたりの単価が1,000円を超える高価格帯のクロスで、高品質のものや機能性のあるものが多くなっています。
マンションの室内は量産クロスで仕上げるのが一般的ですが、グレードの高いマンションでは1000番クロスが用いられることもありますし、よりコストがかかる石やタイルがアクセントとして部分的に用いられていることもあります。
3. フローリング
マンションの床に用いられるフローリングも、グレードの違いが出やすい箇所の一つです。
マンションの床には合板などの基材の表面にクッション版や化粧板を貼り付けた複合フローリングを用いるのが一般的ですが、複合フローリングにも種類があり、種類によって価格が異なります。
最もグレードの低い複合フローリングが、表面に木目柄をプリントしたシートフローリングです。シートフローリングは収縮や水分に強いという特長がありますが、表面のシートが剥がれたときに安っぽさや不自然さが目立ってしまいます。
木のリアルな質感を演出したいときに用いられるのが、基材の表面に0.2〜0.6ミリほどの薄い木の板を貼り付けた突き板フローリングです。薄く加工してあるとは言え、本物の木材を貼り付けるので、よりリアルな木の色味や木目を楽しめるという特長があります。
そして、複合フローリングの中で最もグレードが高いのが、より厚みのある2ミリほどの挽き板を貼り付けた挽き板フローリングです。挽き板フローリングは表面の厚みがしっかりとしているため、無垢材のような質感を楽しむことができます。
4. 室内ドア
室内ドアもグレードで差が出やすい箇所の一つで、グレードの低いマンションの室内ドアには、ドアの表面にシートを張った安価なものが使用される傾向があります。一方、グレードの高いマンションの室内ドアには、ドアの表面に突き板を貼り付けたものや綺麗に塗装されたものなど、素材にこだわり、手間をかけて製造されているドアが採用されています。
無地のドアであれば、シートで仕上げている安価なものであっても、違いがわかりにくくそれほど気になることはありませんが、木目のドアはシート仕上げのチープさがわかりやすくなっているので注意が必要です。
5. 設備機器
部屋に導入されている設備機器も、マンションのグレードによる差が出やすい代表的な箇所の一つです。
チェックするべき主な設備としては、
・キッチン
・ユニットバス
・トイレ
などがあげられます。
キッチンは特にグレードによる差が顕著で、普及品を導入してコストを大幅に抑えているマンションもあれば、食洗機やオーブンなどの機能性にこだわったり、海外メーカーのデザイン性の高いものを取り入れるなどして見た目にこだわっているマンションもあります。
ユニットバスは、ミストサウナなどのオプション設備や収納が充実しているかどうかで見分けることが可能です。
トレイは、
・タンク付きトイレ
・ロータンクトイレ
・タンクレストイレ
の順で価格が高くなり、グレードの高いマンションではタンクレストイレが採用され、タンク付きトイレを採用しているところは、コストダウンが明白です。
また、トイレの手洗器もチェックポイントの一つで、グレードの低いマンションには手洗器のみの簡易的なものが備え付けられているのに対し、高いグレードのマンションではカウンター付きのものが採用されるケースが多くなっています。
6. 窓
窓は、マンションの快適性に大きく関わる設備でありながら、コストダウンされがちな設備の一つです。
価格が高くグレードの高いマンションの窓には断熱性や遮音性の高い複層ガラスやLow-Eガラスが採用されていますが、グレードの低いマンションでは、コストを抑えるために単板ガラスが採用されることもあります。単板ガラスは断熱性や遮音性が低いだけでなく、結露が発生しやすいというデメリットもあるので注意が必要です。
7. 換気方法
マンションの換気方法には、第一種換気法と第三種換気法のどちらかが用いられます。
第一種換気法は給気と排気の両方を機械で制御する換気法で、計画的に換気でき、省エネ効果も高いというメリットがあります。一方、第三種換気法は、壁に備え付けられている給気口から外気を取り込み、換気扇などで排気を行う換気法です。
第三種換気法は第一種換気法に比べて建設コストがかからないというメリットがありますが、エネルギーロスの大きい換気法でもあるため、グレードの高いマンションには第一種換気法が採用される傾向があります。
8. 二重床
マンションの床の構造は、直床と二重床の2種類に分けられます。
コンクリートスラブの上にフローリングを直接施工するのが「直床」で、コンクリートスラブに設置した防振ゴムと支持ボトルの上に床材を設置するのが「二重床」です。
直床と二重床にはそれぞれメリットとデメリットがあるため、一概にどちらが優れていると言い切ることはできませんが、グレードの高い高級マンションでは二重床が採用されることの方が多い傾向です。
気になるところはリノベーションで解決!
もしマンションのグレードで気になるところがある場合、ある程度はリノベーションで解決できるため問題ありません。
・内装材
・フローリング
・住宅設備
は、リノベーションによって好きなものを採用できます。
窓を交換することはできませんが、二重サッシなどで断熱性能を高めることは可能ですし、換気についても間取りを見直すことで通気性を向上させることはできます。
ただし、外壁やバルコニーなど共用部分のグレードはリノベーションで変更できないので、「許容できるか」を確認した上で購入しましょう。
新築マンションよりも中古のほうがグレードが高いケースも?
建築費高騰により、最近の新築マンションの中には、
・ディスポーザーや床暖房などの設備の導入を取りやめる
・エレベーターの台数を減らす
・外階段を鉄骨階段にする
・設備のスペックを落とす
・玄関前のアルコープをなくす
など、さまざまな方法でコストダウンされているケースが目立ちます。「販売価格を抑えるための企業努力」と言い換えることもできますが、「この値段でこのスペックは…」という物件もないわけではありません。
そこでぜひ選択肢の一つに加えてもらいたいのが「中古マンション」です。
中古マンションの中には、新築マンションよりも仕様が高いマンションも多くあります。とくに大手デベロッパーのブランドマンションや、バブル期に建てられたヴィンテージ マンションなどがそうです。コストダウンを重視している新築マンションよりもグレードが高く、物件の選択肢も増えるので、視野に入れるのもおすすめです。
〈まとめ〉マンションのグレードの問題点は許容範囲かどうかで見極めよう
グレードの見分け方について詳しく解説してきましたが、「コストダウンしている=悪いマンション」というわけではありません。コストダウンは、供給しやすい価格に調整するために行われる行為で、企業として当然の行為だと言えます。
マンションのグレードを見分ける際のポイントは複数ありますが、重要なのは、変にグレードにこだわることではなく、「コストダウンが許容できる範囲であるかどうか」と「気になる部分をリノベーションで解消できるかどうか」です。
「グレードが低いのは気になるけど、立地や広さは完璧」というマンションは、リノベーションを視野に入れながら購入を検討してみてください。
CRAFTでは物件探しのプロが、現状を踏まえてどういったリノベーションができるかを説明しながら物件をご紹介します。ぜひ一度お気軽にご相談ください。
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<著者>CRAFT 編集部
一級建築士・二級建築士・インテリアコーディネーター・一級建築施工管理技士・二級建築施工管理技士・宅地建物取引士が在籍。さまざまな知識を持つプロフェッショナル集団が、リノベーションや物件購入についてわかりやすく解説します。