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マイホームを購入するときに多くの方が利用する住宅ローン。でも、「中古マンションでも住宅ローンは利用できる?」「中古マンションも住宅ローン控除の対象になるの?」など疑問を持っている方は少なくないのでは。
そこで今回は、中古マンションを購入する際の住宅ローン、借り入れの条件や住宅ローン控除についてご紹介。リノベーション費用を住宅ローンで借りる方法についても触れていきます。
「住宅ローン」は中古マンションでも借り入れできる
中古マンションを購入する場合も、新築マンションと同様に住宅ローンの借り入れをすることができます。一般的に住宅ローンは新築用と中古用に分かれているといったことはなく、中古マンションの購入で利用するのも新築物件と同じ住宅ローン商品です。
気になる条件面では、金利は新築でも中古でも基本的には同じ。借り入れをする人の収入や勤務先、勤続年数などが審査の対象になるという点も、新築物件と同様です。中古マンションと新築マンションで、住宅ローンの手続きの方法も変わりません。
中古マンションの購入には不動産会社へ支払う仲介手数料が発生しますが、仲介手数料などの諸費用を住宅ローンに組み込めるかどうかは、金融機関によって異なります。
築年数次第では、借り入れ金額や返済期間を制限されるケースも
ただし、金融機関によっては、築年数の経過した中古マンションは、借り入れ金額や返済期間を制限されるケースがあります。
中古マンションの借り入れ金額が制限されるのは、築年数の経過によって担保評価額が下がっていることが理由です。万が一、住宅ローンの返済が滞ると、金融機関は物件を競売にかけます。担保評価額を上回る残債があると、回収できないお金が残ってしまうため、銀行としてはそのリスクを避けたいのです。
また一般的に住宅ローンの返済期間は最大で35年で、返済期間が制限されることはほとんどありません。
しかし一部の金融機関は、築年数によって15年や25年に制限しています。このような金融機関は、マンション(RC造)の法定耐用年数47年という税務上の数字を判断基準の一つとしています。しかし法定耐用年数を基準にして返済期間を制限する金融機関はほとんどなく、あったとしても避ければよいだけです。
参考:国土交通省土地・建設産業局不動産業課「住宅局住宅政策課期待耐用年数の導出及び内外装・設備の更新による価値向上について」
既存不適格物件、借地権の物件は住宅ローン審査が通らない?
中古マンションでも住宅ローンは利用できるとはいえ、既存不適格物件や借地権の物件は、金融機関によっては審査が通りにくい、あるいは通らないことがあります。
既存不適格物件とは、建てた当時は建築基準法などの法令に適合していたものの、法改正によって現行の法令の条件を満たしていない物件のこと。たとえば、建築基準法の改正によって、現行の基準では容積率がオーバーしているマンションが該当します。
既存不適格物件は建てたときは合法であったため、違法建築物ではなく、取り壊しを求められることはありません。しかし、建て替えの際には、容積率をオーバーしている場合は同じ大きさの建物を建てられないなど、建て替えが難しいことが難点です。
また、借地権の物件は建物の区分所有権はありますが、土地は借りている状態です。住宅ローンの返済が滞ったときに、金融機関が競売にかけても買い手が見つからないことや、売却価格が安くなってしまうことが考えられます。
こうした理由から、中古マンションの中でも既存不適格物件や借地権の物件は、住宅ローンの審査が通りにくいという点に注意が必要です。
中古マンションも住宅ローン控除が適用される
中古マンションも一定の要件を満たしていれば、住宅ローン控除の適用を受けられます。住宅ローン控除とは、年末の住宅ローン残高の1%、最大で40万円までの金額が、10年間にわたって所得税から控除される制度です。所得税から控除しきれない場合には、一定の範囲内で住民税から控除されます。また、特例によって2022年12月までに入居した場合は13年間に延長されていて、11年目~13年目も計算方法がやや異なりますが、住宅ローン控除を受けられます。
中古マンションの場合も、多くの要件は新築マンションと同じです。
・自ら居住すること
・年間の合計所が3,000万円以下
・床面積50平米以上(一定の要件に合致する場合は40平米以上)
・住宅ローンの返済期間10年以上
中古マンションの場合は、このほかに現行の耐震性能を有していることが求められるため、以下のいずれかに合致することが必要です。
・マンションなどの耐火建築物の場合は築25年以内(木造などの非耐火建築物は20年以内)
・現行の耐震基準に適合されていることが、耐震基準適合証明書や既存住宅性能評価書(耐震等級1以上)、既存住宅売買瑕疵保険への加入のいずれかで確認されている
つまり、中古マンションで築25年を超えている物件は、耐震基準適合証明書などを取得できなければ、住宅ローン控除は受けられないことになります。
※2022年、住宅ローン控除が大幅に改正されることになりました。
金利低下による逆ザヤ問題を解消することが目的。「控除率0.7%」「所得制限2000万円以下」など、これまでよりも要件が少し厳しくなる予定です。またこれまでの築年数要件がなくなり、「新耐震基準を満たしている」ことが要件に。新たな住宅ローン控除の具体的な要件等はCRAFTの不動産コンサルタントがお伝えするので安心してください。
リノベーション費用にも「住宅ローン」が使える
中古マンションを購入してリノベーションをする場合、物件費用だけでなくリノベーション費用もローンを利用する方法は2つあります。1つはリフォームローンを利用する方法ですが金利が高く、借り入れ額が500万円までと少なく、返済期間も10年程度です。
もう1つは、住宅ローンにリノベーション費用も組み込んで一括で借りる方法。住宅ローンはリフォームローンよりも金利が低く、返済能力にもよりますが、物件の購入価格と合わせて5,000万円程度借りられることも。返済期間も住宅ローンなので最大で35年です。
リノベーション費用も住宅ローンで借りた方が有利ですが、それには少し問題があります。中古マンション購入費用のローンを申し込む際に、リノベーション費用の見積りが出ていなければ、一括で借りることはできません。気にいった中古マンションが見つかってからリノベーション会社を探して、リノベーションプランの打ち合わせを始めて見積書をもらうのでは、その間にほかの人に買われてしまう可能性があります。
そのため、中古マンションの購入費用とリノベーション費用を住宅ローンで借りるには、「物件探し+リノベーション」をワンストップで行っているCRAFTなどの会社に、物件探しから相談するとスムーズです。
まとめ
中古マンションの購入でも住宅ローンを利用することは可能であり、リノベーション費用も併せて借りることもできます。ただし、物件探しとリノベーションを別々に依頼すると、住宅ローンで一括で借りることができなくなります。
かならず物件費用とリノベーション費用の見積りを「ほぼ同時」に出せる会社に依頼しましょう。
CRAFTなら物件探しの段階から、「リノベーションをしたらどのような空間ができるか?」をイメージしながら購入の判断ができるというメリットもあります。中古マンションを購入してリノベーションを検討している方は、ぜひご相談ください。
<著者>CRAFT 編集部
一級建築士・二級建築士・インテリアコーディネーター・一級建築施工管理技士・二級建築施工管理技士・宅地建物取引士が在籍。さまざまな知識を持つプロフェッショナル集団が、リノベーションや物件購入についてわかりやすく解説します。