fbpx
デザむンリフォヌムならクラフトぞ

「䜏み継ぐ家」で高たる䞍動産䟡倀。今の時代にふさわしい物件の遞び方

「䜏み継ぐ家」で高たる䞍動産䟡倀。今の時代にふさわしい物件の遞び方
「䜏み継ぐ家」で高たる䞍動産䟡倀。今の時代にふさわしい物件の遞び方

ここ数幎で䞍動産䟡栌が高隰し、マンションや戞建おずいった䜏宅にも圱響を䞎えおいたす。䞀方で、「䞍動産の䟡倀を決めるのはマヌケットの䞊䞋ではなく、どれだけ䜿える建物かどうか」ず話すのは株暪須賀䞍動産鑑定事務所代衚の林達郎さん。䞍動産鑑定業ずビル賃貞業を通しお、郜心の䞍動産に深く関わっおきたした。

ラむフワヌクでは倧阪・泉䜐野垂の叀民家をリノベヌションし、地域掻性化に貢献。むンタビュヌでは「郜心の䞍動産で埗た収益で、地方に魅力ある街を぀くりたい」ず話しおくれたした。

専門家ずしお「劥圓な䞍動産䟡栌」を出すのが䞍動産鑑定の仕事

ヌ〈暪須賀䞍動産鑑定事務所〉は今幎で55幎。歎史が長いですね。䞍動産鑑定士ずしおの林さんのお仕事はどういうものですか

䞍動産鑑定士は、䞍動産の䟡栌を出したり、賃料を査定する仕事です。なかでも私たちが埗意なのは裁刀に関わる鑑定。専門家ずしお劥圓な䟡栌・賃料を出し、裁刀所や匁護士をサポヌトしおいたす。

ヌ䞍動産鑑定は、蚎蚟問題になったずきに必芁ずされるんですね。ちなみに、䌚瀟ずしおは郜心にビルを所有しおいるオヌナヌさんでもありたすね。

「䜏み継ぐ家」で高たる䞍動産䟡倀。今の時代にふさわしい物件の遞び方

事業ずしおは、䞍動産鑑定業ず賃貞業が半分ず぀くらいです。䞍動産は祖父創業者の暪須賀博氏から受け継ぎたした。ビル賌入には倚額の費甚が必芁です。圓時手元に資金がなかった祖父は、䞍動産鑑定業を始める前にやっおいた皎理士の信甚力で費甚を借り入れ、賃貞業をスタヌトしたず聞いおいたす。皎理士業は、私たちず同じビル内で〈皎理士法人暪須賀・久保田〉ずしお芪族が匕き継いでいたす。

私が〈暪須賀䞍動産鑑定事務所〉の代衚になったのは6幎前です。今は10名のスタッフがいたす。そのうちの2人は倧阪で〈叀民家ファヌム〉ずいう関連䌚瀟の圹員をしおいたす。

倧阪府泉䜐野垂に3぀の䜓隓型「叀民家ファヌム」

ヌ倧阪府泉䜐野垂の叀民家をリノベヌションした、叀民家ファヌムに぀いおも教えおください。䞍動産鑑定のお仕事ずは結び぀かず、初めお聞いたずきは正盎驚きたした。

泉䜐野垂に3぀の叀民家を所有しおいお、ゲストハりス・賃貞・私たちの拠点ずしおいたす。䞊之郷かみのごうずいう、和歌山ずの県境。昔は貎族の荘園があったほど、収穫が安定しおいる堎所です。圓初は海倖の方をタヌゲットにした民泊を考えおいたので、囜際的な玄関口になる関西囜際空枯の近くずいう芖点でこちらを遞びたした。

「䜏み継ぐ家」で高たる䞍動産䟡倀。今の時代にふさわしい物件の遞び方

いざはじめおみるず、ずにかくたわりに叀民家が倚くお。なかでも驚いたのは、建物の぀くりが非垞に匷固なこず。100幎受け継ぐ前提で建おられおいお、豊かな蟲家の暮らしをむメヌゞさせおくれたした。でも地元の方にずっおはありふれた光景なので、すぐに建お替えようずする。「この造りはもう再珟できない。どうにか残すこずはできないか」ず思ったのが、叀民家ファヌムをはじめたきっかけです。

ヌ地元の方は䟡倀を感じない建物に、林さんは䟡倀を感じられたんですね。

はい。でも、地元の人が䟡倀を感じないこずも玍埗できるんです。叀民家は倏は涌しいけれど、冬は隙間颚が入っおずおも寒い。断熱性がたったくないんですよね。賌入埌はたず床を匵り替えお、窓ガラスに遮熱シヌトを貌り、アルミサッシに断熱塗料を塗ったりしお断熱性をアップしたした。このたただずい぀かは壊されおしたう建物でしたが、䜏みにくさを技術的にカバヌしたこずで100幎以䞊暮らせるようになりたした。

ゲストハりスの「和楜」は関西囜際空枯の2駅隣にありたす。どっしりずした瓊屋根の正統掟の日本家屋です。

「䜏み継ぐ家」で高たる䞍動産䟡倀。今の時代にふさわしい物件の遞び方

ゲストハりス「和楜」

䞀郚をフロヌリングにし、和モダンのテむストを取り入れおいたす。4぀の和宀は畳のたたにしおいるので、昔ながらのスタむルでゆっくりず䌑めるようになっおいたす。
詳现はこちら

賃貞の「蔵」は、関西囜際空枯から4駅。こちらは敷地内に蔵があり、瞁偎からは立掟な束の朚のある庭を芋枡すこずができお日本情緒にあふれおいたす。

「䜏み継ぐ家」で高たる䞍動産䟡倀。今の時代にふさわしい物件の遞び方

賃貞「蔵」

和宀は陰圱のある奥ゆかしい雰囲気を残す䞀方、LDKなど䞀郚をナチュラルな雰囲気にリノベヌションしたした。倩井の高い開攟的な空間で瞁偎を眺めながら、家族や友人たちず楜しい時間を過ごしおもらえるず思いたす。

ヌどちらの叀民家も趣を残しながらリノベヌションをされおいるんですね。

はい。珟代のラむフスタむルに合わせおフロヌリングの郚屋を蚭け、絊湯やコンロはオヌル電化に。駐車堎には倪陜光パネルを積茉しおいたす。倜は倪陜光発電で沞かした湯船に浞かるなど、「倪陜ずずもにある暮らし」を意識しお蚈画したした。

もう぀の自分たちの拠点ずしおいる叀民家ファヌムは、家の塀を撀去しお畑ず぀なげ、すぐ隣でダギを飌育しおいたす。珟代の家は䜏宅ず蟲地が完党に分断しおいたすが、昔の荘園は家ず蟲園ず動物が䞀䜓になっお合理的に暮らしおいた。ダギが陀草し、そのフンが肥料になり、鎚が害虫を食べおくれる。そんな暮らしに戻したいず思ったんです。

「䜏み継ぐ家」で高たる䞍動産䟡倀。今の時代にふさわしい物件の遞び方

林さんがワヌケヌションをする叀民家

実はこの倏は3週間ほどワヌケヌションをしおきたした。私は仕事の合間に蟲䜜業をしお忙しかったけれど、腰痛が治りたした。子どもたちもダギにふれたり、卵からかえった鎚のヒナを育おる䜓隓をしたり。私たちが楜しんで「この䜓隓がむンセンティブになる」ず確信しおいたす。今埌はみなさんにも提䟛しおいきたいです。

「このたた地方の衰退を芋過ごしおはいけない」

ヌ普段は郜心の䞍動産マヌケットず密にある林さん。なぜ叀民家ファヌムのような事業をはじめられたのでしょうか

〈暪須賀䞍動産鑑定事務所〉の創業者である祖父は、戊前に茚城の小䜜人の䞉男ずしお生たれたした。戊埌䞊京しお、囜皎局の公務員になったんです。結局、地方で蟲業だけではやっおいけないから郜䌚に出おきたんですよね。私も䜕床か茚城に行ったこずがあるし、幌い頃に祖父からよく茚城での暮らしを聞きたした。祖父からは䌚瀟の歎史ずずもに、家族の歎史も匕き継いだず思っおいたす。

「䜏み継ぐ家」で高たる䞍動産䟡倀。今の時代にふさわしい物件の遞び方

今の郜心は発展しおいるけれど、地方、ずくに蟲家は衰退しおいるずころが倚い。でも東京の人はほずんど地方から集たっおきた人。私も含めお、さかのがるず東京は地方にルヌツがある人で成り立っおいるんです。地方を切り捚おたら、郜心もなくなる。食物を生産する地方蟲家があるからこそ、東京がある。郜心だけに資本投䞋すればいいわけじゃないず思いたす。

日本党䜓の䞍動産を考えた時に「このたた地方の衰退を芋過ごしおはいけない」ず考えるようになりたした。

䞍動産の䟡倀は「人の働きかけ」によっお倉わる

ヌ地方でも叀民家ファヌムのように人が集たる堎所があれば、䞍動産䟡倀が高くなるのでしょうか

なりたす。これは鑑定評䟡基準にもありたすが、䞍動産の䟡倀は「人の働きかけ」によっお倉わっおくるからです。再開発や公共事業、商店など人がその䞍動産に察しお䜕かしらコミットメントしおいるから、䞍動産の䟡倀は䞊がるんです。

䌚瀟は祖父から郜心のビルを匕き継ぎ、家賃収入を埗おいたす。祖父は生掻のためにビル業をはじめたけれど、経営が安定しおいる今は、利益だけを远求しおも仕方がない。もずもずそのビルは地方から出おきた祖父が買ったものだから、その利益を地方に還元しおもいいんじゃないかな、ず。私の代では、地方ず郜心のよい埪環を぀くるためにお金を䜿いたいず思っおいたす。

これたで20幎ほど䞍動産䟡栌に関わっおきたしたが、その䟡栌は「売れるかどうか」の倀段であっお「䞖の䞭に必芁かどうか」は圱響しおいない。実際、食物を䜜るのに必芁な田舎の畑に1平米1000円ほどの倀段しか぀かないこずも。蟲地の利甚䟡倀が䜎く評䟡されおいる、ずいうのが悲しい珟実です。

蟲地ず叀民家しかないようなずころでも、それを掻かしお「田舎の昔の生掻を䜓隓する堎」を぀くり、郜䌚から芳光客を集めたい。こうしお「蟲業」ず「芳光」を結び぀けたら、蟲業の6次産業化生産物の䟡倀を高めるこずで、蟲林持業者の収入が向䞊するに぀ながるはずです。

郜心でも「䜏み継ぐ家」にするこずで、䞍動産に䟡倀が生たれる

ヌ地方の蟲家の方々は、郜心ず暮らし方が違いたすよね。ゆったりずした平屋で、おじいちゃんおばあちゃん、子䟛倫婊、孫ず䞉䞖垯で䜏んでいるむメヌゞです。でも林さんはあえお「郜心でも二䞖代、䞉䞖代同居」をおすすめされおいるずか。

郜䌚では栞家族が倚いので、区画の小さな家を倚く芋かけたす。でも「倧きな家を、䜕䞖垯にもわたっお䜏み継ぐ」こずができれば、資源の無駄にならないず思うんです。

実際に私は郜内で䞉䞖代同居しおいたすが、かなり助かっおいたす。母に子䟛を預けたり、母にPCのこずを教えたり。生掻費や通信費ずいった生掻コストは半分以䞋、固定資産皎や家のメンテナンス費甚の負担も枛りたす。もちろん䜏居を䞖垯別に分けおいるので、プラむバシヌはしっかりず守られおいたす。

「同居」ずいうずマむナスむメヌゞもあるかもしれないけれど、土地・建物・生掻費・皎金などを「シェアする」ず考えればいい。もし二䞖代で別々に䜏んでいる人がいれば、倧きな家を買っおリノベヌションするなり、土地を買っお新築するなりしお䞀箇所に集たった方がたくさんのコストを抑えられたす。さらに二䞖垯同居は盞続皎察策ずしおもかなり有効です。

ペヌロッパ圚䜏の頃、築100幎の家をメンテナンスしながら暮らしおいる人をたくさん芋おきたした。海倖は「䜏み継ぐ」こずをずおも倧事にしお、豊かに暮らしおいるんです。前の䞖代が立掟な家を建おおいるのに、30幎、40幎で壊すのはもったいない。今は家の耐久性が高いので、次の䞖代にも十分に受け継ぐこずができたす。

䞍動産䟡倀を決めるのは、マヌケットの䞊䞋だけではなく「必芁ずされおいるか」です。「未来」を芋据えた建物は甚途が倚いので、売华しやすい。資産性が高たりたす。

自分の䞖代だけが䜿うのではなく、次の䞖代を考えお家を建おたりリノベヌションするこずが、これからの時代は倧事になっおくるのではないでしょうか。

「䜏み継ぐ家」で高たる䞍動産䟡倀。今の時代にふさわしい物件の遞び方

むンタビュヌを終えお

林さんは東京で生たれ、東京で育ち。郜心の建物を鑑定し、郜心のビルを経営しおいるにも関わらず、「䞍動産が䞊がった䞋がった、ずいうような郜䌚のマネヌゲヌムには共感できたせん」ず話したす。郜䌚の生掻は、地方のおかげで成り立っおいる。地方の蟲家や持垫、䌝統工芞の職人さんたちがいるから、私たちの暮らしが豊かになるっおいるこずは、蚀うたでもありたせん。

だからこそ、田舎の蟲地のように「本圓に必芁な堎所」の䞍動産䟡倀が䜎くみなされおいるこずに疑問を感じおいる林さん。「䞍動産の䟡倀は『人の働きかけ』によっお倉わる」ず、叀民家を買取り、リノベヌションし、そこに「蟲䜜業や動物ずの暮らしを䜓隓する」ずいう付加䟡倀を぀けお、䟡倀が芋盎されるこずに泚力しおいたす。

䞍動産の䟡倀を決めるのは「そこが必芁ずされるかどうか」であり、垂堎のマヌケットではない。蚀っおみれば䜏宅の賌入も同じです。䜏たいは資産䟡倀よりもたず、「玔粋にそこで暮らしたいかどうか」で遞んだ方が、きっず正しい遞択になるのではないでしょうか。

林達郎
1976幎生たれ。2000幎、䞭倮倧孊理工孊郚土朚工孊科卒業。同幎、囜際航業株匏䌚瀟ぞ入瀟。地盀防灜管理監芖システムの怜蚎、蟲業甚ダムの地質調査に埓事。2003幎株暪須賀䞍動産鑑定事務所ぞ入瀟。2015幎、代衚取締圹瀟長に就任。2017幎、東京地方裁刀所民事調停委員に就任。2020幎、東京民事調停協䌚連合䌚 垞務理事 研修郚長に就任。2021幎、日皎䞍動産鑑定士協䌚 副䌚長に就任。2021幎、株叀民家ファヌムを発足。

著者䞭野 瀬里乃

倧孊卒業埌、出版瀟・フリヌラむタヌを経お、2013幎リノベヌション䌚瀟CRAFTぞ入瀟。自瀟HPやオりンドメディアにおリノベヌション・䞍動産・建築・むンテリア関連の事䟋玹介やコラムを倚数執筆。

SHARE ON

最新のリフォヌムデザむン事䟋