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最近では中古住宅やビルを買って、カフェやペットショップ、ネイルサロンを併設した店舗兼住宅にリノベーションする方も。店舗と住宅を一つにすることでさまざまなメリットが得られる店舗兼住宅ですが、ならではのデメリットもあるため慎重に検討しなくてはいけません。
店舗建住宅にリノベーションした方の事例を交えながら、メリット・デメリットや注意点、押さえておくべきポイントなどについて紹介していきます。
店舗兼住宅にリノベーションするメリット・デメリット
店舗兼住宅にリノベーションする上で事前に把握しておきたいのが、メリットとデメリットです。それぞれを比較しながらリノベーションするべきかどうかを検討しなくてはいけません。
ここからは店舗兼住宅のメリットとデメリットについて、詳しく解説します。
店舗兼住宅にリノベーションするメリット
店舗兼住宅の主なメリットとしては、
・店舗分の家賃がかからない
・通勤にかかる手間を省くことができる
・費用の一部を経費計上できる
・店舗を貸し出して収入を得ることもできる
店舗と住宅を別々の場所に設けると、家賃が毎月二重で発生します。店舗として利用する物件の家賃は住居用の一般的な賃貸物件よりも賃料が高い傾向にあるため、「毎月数十万円ほど支払っている」という方も多いようです。
今の住まい、もしくは新たに購入した物件を店舗建住宅にリノベーションすると、この毎月の賃料が丸々浮くことになるので、支出を大幅に削減できます。通勤の手間も省けるので、これまで「自宅と店舗への往復に時間がかかっていた」という方にとっては非常に大きなメリットになるでしょう。
また、今の住宅や新しく購入した住宅を店舗兼住宅にリノベーションするときに発生する費用はその一部を経費として計上することが可能。税金の節約につながります。
さらに店舗を貸し出すこともできるので、将来的に貸し出して収入源の一つとして活用できるというメリットもあります。
店舗兼住宅にリノベーションするデメリット
店舗兼住宅の主なデメリットとしては、
・税金が高くなる可能性がある
・リノベーションにかかる費用が高額になる
・売却しづらい
・オンとオフのメリハリをつけづらい
などがあげられます。
住宅は資産なので所有者は自治体に固定資産税を納めなくてはいけませんが、店舗兼住宅となると一般的な住宅よりも固定資産税が高くなる傾向にあります。
またリノベーション費用が高くなりやすい点も店舗兼住宅のデメリットの一つです。店舗兼住宅にするリノベーションでは、店舗と住宅、両方のリノベーション費用を捻出しなくてはいけません。そのため、費用面での負担が大きくなる可能性があります。
また、「賃貸物件として活用できるというメリット」のある店舗兼住宅ですが、建物の性質上売却はしづらい傾向にあるので注意しなくてはいけません。
店舗兼住宅にすることで出退勤の手間が省ける一方でオンとオフのメリハリがつけづらくなるので、そういった傾向のある方は対策を考えておく必要もあります。
店舗兼住宅にリノベーションするときは税金に注意
先述したとおり、店舗兼住宅は一般的な住宅よりも固定資産税が高くなってしまう可能性があるため注意しなくてはいけません。
固定資産税には軽減措置が設けられていますが、これはあくまでも住居に対してのみ適用されるもので、店舗部分に対しては適用されません。
新築を建設する際に一定の条件を満たすと3年の間固定資産税の2分の1が減額されるようになっていますが、店舗兼住宅がこの制度を活用するには住宅用のスペースが総面積の半分以上を占めている必要があります。
この軽減税率の仕組みは、土地の固定資産税にも適用されます。住宅のスペースが2分の1〜4分の1未満の店舗兼住宅は土地の50%のみが軽減税率の対象となり、減額される金額が少なくなってしまうため、結果的に固定資産税が一般的な住宅よりも高くなってしまう可能性があります。
店舗兼住宅にリノベーションするときに押さえておきたい3つのポイント
今住んでいる住宅を店舗兼住宅にリノベーションする際や、新しく購入した物件を店舗兼住宅にリノベーションする際の主なポイントとしては、
・一階を店舗スペースにする
・店舗と住居の玄関を分ける
・お客さま用の導線を設ける
の、3点があげられます。
それぞれのポイントについて詳しく解説していきます。
一階を店舗スペースにする
複数階の物件を店舗兼住宅にリノベーションするときは、一階を店舗スペースにしましょう。通りに面した店舗はお客さまから認識されやすく、スムーズにアクセスできるようになります。また住居スペースを上の階に設けることで、プライバシーを確保できます。
店舗と住居の玄関を分ける
店舗兼住宅では、店舗と住居の玄関を分けましょう。
玄関を一緒にしてしまうと玄関に生活感が出てしまい、来店したお客さまの心象に影響をあたえてしまう可能性があります。また、玄関は店舗にとっての顔になるため毎日掃除する必要がありますが、店舗と住居の玄関を一緒にしてしまうと掃除に手間がかかるようになるので、やはりおすすめできません。
玄関を分けておくことでお客さまの目を気にせず生活できるようにもなるので、できるだけ玄関は分けるようにしてください。
お客さま用の導線を設ける
店舗兼住宅の中には洗面台やトイレを兼用しているところもありますが、玄関同様、店舗と住居の設備を兼用にしてしまうと生活感が出てしまうので、そういった設備は分けるようにするべきです。お客さま用の導線を設け、双方が気を遣わずに済む空間を心がけましょう。
中古物件を買って、おしゃれな店舗兼住宅にリノベーションした事例
「店舗兼住宅をおしゃれにリノベーションしたい!」と思い立ったときにぜひ参考にしてほしいのが、実際にリノベーションした方の事例です。
ここでは、CRAFTでリノベーションした事例を4つ紹介していきます。
こちらは築17年の鉄骨3階建ての住宅を購入し、店舗兼住宅にリノベーションした事例です。1階をペットサロンに、2階と3階を住居としました。
オーナーのSさまはご自身も犬を飼っていることもあり、ペットサロンに訪れる犬たちはもちろん、愛犬たちにも配慮された住まいを希望されていました。
ペットサロンにはお客さまの犬が利用できるドックランを設けていますが、このドッグランは愛犬たちも利用。店内からは愛犬が楽しそうに走り回っている姿が見えて、たのしい気分で仕事ができているそうです。
ご自宅をおしゃれな店舗兼住宅にリノベーションした事例
築30年のご実家を店舗兼住宅にリノベーションした事例です。ご実家の鉄骨造のビルの1階の一部を店舗に、それ以外の箇所を二世帯で暮らせる空間にリノベーションしています。
1階をお母さまとお姉さまの住居として、2〜3階をAさまご家族の住居にしていますが、水回りの設備を新設しているためお互いに気兼ねなく生活できるようになっています。
リノベーションする前は2階が空き部屋になるなど有効活用できずにいたそうですが、二世帯で住める店舗兼住宅としてリノベーションしたことでスペースを無駄にしてしまうことがなくなりました。
ご実家所有ビルを、おしゃれな店舗兼住宅にリノベーションした事例
こちらは、ご実家が所有しているビルを店舗兼住宅にリノベーションした事例です。
移り住む予定だった2〜3階は元々事務所として活用していたため、生活に必要な設備が整っていませんでした。
そこでリノベーションを行い、「夫婦2人に丁度いいシンプルな間取り」の希望を反映。できるだけ仕切りを設けず端から端まで視界が抜けるワンルームのような空間に仕上げました。また、2階と3階の貸事務所は、住宅にリノベーションしたことで借り手を見つけやすくなりました。
相続したビルを、おしゃれな店舗兼住宅にリノベーションした事例
こちらは相続した6階建てのオフィスビルを店舗兼住宅にリノベーションした事例です。
「賃貸収入を得ながら暮らしたい」と考え、1階〜4階をテナントスペースに、眺めのいい5〜6階を住居にリノベーションしました。5階には寝室や和室、浴室などを設けてメインの生活空間とし、6階はLDKを中心に設計したパーティーサロンのような空間になっています。
築40年以上のビルということもあって1階以外のテナントでは空室の状態が続いていましたが、特に借り手がつきにくかった上階部分を住居にしたことで、相続した物件をより有効的に活用できるようになったと言います。
〈まとめ〉店舗兼住宅のリノベーションは間取りが重要
店舗兼住宅のリノベーションは「間取りのプランニングですべてが決まる」と言っても過言ではありません。お客さまにとって快適で、ご自身も暮らしやすい店舗兼住宅になるかどうかも、間取りにかかっています。
今回紹介した間取りの考え方を無視してプランニングしてしまうと使いづらい店舗兼住宅になってしまいかねません。また、店舗として致命的なデザインになってしまうことで客足が遠のいてしまう可能性もあるので、店舗兼住宅のリノベーションは経験と実績が豊富な会社に依頼することが大切です。
店舗兼住宅のリノベーションは、実績と経験が豊富なCRAFTに、ぜひお任せください。リノベーションのみはもちろん、店舗兼住宅にふさわしい物件探しからリノベーションまでワンストップでサポートします。
<著者>CRAFT 編集部
一級建築士・二級建築士・インテリアコーディネーター・一級建築施工管理技士・二級建築施工管理技士・宅地建物取引士が在籍。さまざまな知識を持つプロフェッショナル集団が、リノベーションや物件購入についてわかりやすく解説します。