目次
ここ数年で人気が高まってきているマンションのフルリフォーム(全面リフォーム)。中古マンションを購入し、リノベーションで「理想の住まい」をつくる方も増えています。マンションをフルリフォームした方の事例とともに、費用相場やフルリフォームでできることなどをご紹介します。
(作成日2023.11.10 更新日2025.3.11)

中古マンションのフルリフォーム(全面リフォーム)とは?
フルリフォームは、住まい全体の改装を指す言葉です。フルリノベーションもフルリフォームとほとんど同じ意味合いで用いられます。
住宅のリフォームを大きく分けると、以下の3つに分けられます。
部分リフォーム:「キッチンのみ」「浴室のみ」など、特定の箇所が対象となるリフォーム
表層リフォーム:壁や天井のクロス、床材など内装部分のみが対象となるリフォーム
フルリフォーム:住宅の構造躯体のみを残して、住まい全体を改修するリフォーム
家族構成やライフスタイルの変化によって間取りを変更したいときや暮らしやすさを向上させたいときには、住まいを全体的に回収できるフルリフォームがおすすめです。
中古マンションのフルリフォーム(全面リフォーム)の費用相場
フルリフォームは住宅全体を改修するため、部分リフォームや表層リフォームよりも費用は高くなります。
CRAFTで中古マンションをフルリフォームする際の、リフォーム内容ごとの㎡(平方メートル)あたりの単価は以下のとおりです。
㎡単価 | 主なリフォーム内容 |
---|---|
10万~20万円/㎡ | 間取りは既存を利用し、低価格の材料・器具で一通りきれいに。見えなくなる設備配管や電気配線などはできる限り活用します。 |
20万~30万円/㎡ | スケルトンにして間取り変更し、全てを標準レベルの材料・器具に交換。見えなくなる設備配管や電気配線も全て交換します。 |
35万以上/㎡ | スケルトンにして間取りを大幅に変更し、全てハイレベルな材料・器具に交換。見えなくなる設備配管や電気配線も全て交換するため安心です。ほぼオーダーメイドでデザインにこだわることができます。 |
次に、平米別の費用相場と築年数別の費用相場についても紹介していきます。
【平米別】中古マンションのフルリフォームの費用相場
中古マンションを高級グレードでフルリフォーム(全面リフォーム)する際の費用相場は以下のとおりです。
坪数 | 費用相場 |
---|---|
50平米 | 1750万円~ |
60平米 | 2100万円~ |
70平米 | 2450万円~ |
80平米 | 2800万円~ |
90平米 | 3150万円~ |
100平米 | 3500万円~ |
フルリフォームでは部屋を全体的にリフォームするため、これくらいの費用はかかります。
ただし、マンションのフルリフォームの費用は、導入する設備のグレードやリフォームの内容などによって大きく異なるため、上記の金額はあくまでも参考価格になります。
【築年数別】中古マンションのフルリフォームの費用相場
CRAFTの事例における、築年数別の中古マンションのフルリフォーム(全面リフォーム)の費用相場は以下のとおりです。
坪数 | 広さ | 費用 | リフォームの内容 | 事例詳細 |
---|---|---|---|---|
築5年 | 114㎡ | 3400万円 | ・隣室を取り込みリビングを拡大 ・セカンドリビングを設け、生活感が出ないように ・壁面収納などで壁面を有効活用 ・多様な素材を組み合わせて上質な雰囲気に | #20645 |
築15年 | 90㎡ | 3000万円 | ・部屋数を減らしてLDKを拡大 ・キッチンを窓側に大きく移動 ・大きなWICを設けて収納充実 ・大谷石や木、タイルで大人の上質な空間に | #18096 |
築20年 | 186㎡ | 4900万円 | ・キッチンを移動し、オープンに ・リビングを拡大し、ゲストをもてなせるように ・タイルやガラスを使ってクラシックモダンなインテリアに | #21088 |
築36年 | 83㎡ | 2600万円 | ・リビングを拡大 ・バスルームを大きく移動 ・既存の大理石の壁はインテリアに活用 ・設備を全交換 | #21123 |
一般的にフルリフォームの費用は「築年数が古くなるほど高くなる」とされていますが、実際のところ、築年数よりも住宅の広さやリフォームの内容による影響の方が大きいと考えられます。
ただ、平米別の費用同様、実際の費用はそれぞれのケースによって異なるので、詳しい費用感についてはCRAFTの青山ショールーム・モデルルームの相談会にてご案内させていただいております。
中古マンションのフルリフォームの「部位別」費用相場
どこのどういったリフォームにいくらかかるのか、リフォームする箇所別・内容別の費用相場をまとめました。
※こちらはあくまでも一般的な価格であり、CRAFTは該当しない場合があります
※CRAFTは部分的なリフォームには対応しておらず、フルリフォームのみ対応しています
キッチンのリフォーム費用相場
内容 | 概要 | 費用相場 |
---|---|---|
システムキッチンを交換する | キッチンを対面式に変更する | 80〜150万円 |
キッチンの位置や内装の変更はなし | 壁付のキッチンを対面式に変更 | 150〜300万円 |
浴室のリフォーム費用相場
内容 | 概要 | 費用相場 |
---|---|---|
浴室の交換 | 在来工法からユニットバスに変更 | 80〜150万円 |
浴室の交換 | ユニットバスから在来工法に変更 | 150〜300万円 |
浴室の交換 | 在来工法から在来工法に変更 | 180〜350万円 |
内装のリフォーム費用相場
内容 | 概要 | 費用相場 |
---|---|---|
壁・天井のリフォーム | 壁や天井のクロスの張替え | 8〜15万円 |
壁・天井のリフォーム | 壁や天井のクロスを珪藻土に変更 | 30〜40万円 |
床のリフォーム | 複合フローリングの上張り | 15〜20万円 |
床のリフォーム | 床の張替え | 50〜80万円 |
収納のリフォーム | 壁面収納(ユニット) | 30〜100万円 |
収納のリフォーム | 壁面収納(造作) | 15〜30万円 |
事例で見る中古マンションのフルリフォームの費用相場
中古マンションのフルリフォーム事例を予算ごとにご紹介します。
中古マンションのリフォーム費用は、リフォームの内容や対象となる住宅の広さなどさまざまな条件によって異なるため、単純な比較はむずかしいものの、「これくらいの予算で、こんなことができる」という参考になれば幸いです。
予算が2000万円台の中古マンションフルリフォーム事例

都心の景色を一望できるタワーマンション。リビングサイドの洋室を取り込み、ゆとりある1LDKに。独立キッチンをオープンにし、いつでも景色が視界に入るリラクシングな住まいにフルリフォームしています。
リフォーム費用 :2500万円 / 87㎡ / 築20年
予算が3000万円台の中古マンションフルリフォーム事例

ご夫婦で伸びやかに過ごせるように、3LDKを1LDKにフルリフォームした事例です。2つの個室を取り込むことで、窓に面した大きなLDKを新設。大谷石やタイル、板張り天井を採用し、趣ある陰影を演出したこともポイントです。
費用:3000万円 / リフォーム面積:90㎡ / 築年数:15年
予算が4000万円台の中古マンションフルリフォーム事例

メゾネットマンションの特徴を活かし、1階は個室とリビングのあるプライベートスペース、2階は料理サロンを中心としたパブリックスペースへとフルリフォームしました。フロアでゾーニングすることで、料理サロンの生活感をなくしています。
費用:4900万円 / 186㎡ / 築年数:20年
予算が5000万円台の中古マンションフルリフォーム事例

隣接する洋室を取り込んでLDKを拡大し、リビングサイドには小上がりを新設。リビング・ダイニングの床は栗の挽板フローリング、壁の一部を珪藻土で仕上げるなど上質な素材を使い、シンプルながらも表情ゆたかに仕上げています。
費用:5200万円 / 132㎡ / 築年数:14年
予算が6000万円台の中古マンションフルリフォーム事例

2部屋を取り込み、広々としたLDKに間取り変更。南側の窓が4連続する開放的なリビングに生まれ変わりました。収納スペースを充実させたこともポイントで、SIC・WIC・WTC(ウォークスルークローゼット)を必要箇所にレイアウト。生活感のないホテルライクな暮らしを叶えています。
費用:6400万円 / 150㎡ / 築年数:13年
中古マンションのフルリフォーム(全面リフォーム)でできること・できないこと
中古マンションのフルリフォーム(全面リフォーム)でできること・できないことについては以下のとおりです。
中古マンションのフルリフォームでできること

中古マンションのフルリフォーム(全面リフォーム)では、基本的に「専有部分」なら自由にリフォームできます。
フルリフォームでは、床や壁を解体して一旦構造躯体のみの状態にするため、間取りもゼロからプランニング可能に。「リビングをもっと広く」「3LDKを2LDKにしたい」など、大胆な間取り変更にも対応できます。
また、フルリフォームではMieleの食洗機、GAGGENAUのクックトップやLIEBHERRのワインセラーなど、ハイブランドの設備をビルドインで設置するなど、どこまでもこだわりを追求できます。
<専有部の一例>
■キッチン・トイレ・バスルームなどの設備
■住戸内の・間仕切り壁・天井・仕上げ材
■玄関ドア(室内側)
など
中古マンションのフルリフォームでできないこと

中古マンションのフルリフォーム(全面リフォーム)で改修できるのは専有部分のみです。
外壁・窓・ベランダやバルコニーなど、共有部分にあたるスペースをリノベーションすることはできません。また、柱や梁、スラブなど躯体にあたる部分に手を加えることもできません。
そのため、マンションの構造によっては間取りの変更に制限がかかってしまったり、管理規約によって制限がかかることがあります。
構造による制限や規約による制限をうまくカバーしながらプランニングできるリフォーム会社への依頼がとても重要です。
<共用部の一例>
■バルコニー
■窓
■構造躯体
■玄関ドア(共用廊下側)
など
中古マンションを予算内でフルリフォーム(全面リフォーム)するコツ
中古マンションのフルリフォーム(全面リフォーム)にかかる費用を予算内に抑えるコツをご紹介します。
気をつけたいのは以下の3点です。
既存の設備や間取りを活かす
間取りを大きく変えられるのはフルリフォームならではの魅力ですが、大胆な間取りの変更にはコストがかかります。逆に、間取りの変更を最小限に留めることができれば予算も抑えられます。
例えば、「リビングは壁を撤去して拡大するけれど、寝室は床・壁・天井の仕上げ材交換のみ」などパブリックスペースに予算を集中させる方法も。
また、すべての設備を新しいものに変更してしまうとコストがかさむので、使えそうなものは積極的に活用するのがおすすめです。
全室の設備や素材のグレードにこだわらない
住宅のリフォームでは、オーダーキッチンや海外製の高級設備などグレードの高い製品を導入したくなるもの。ただ、すべてのグレードにこだわっていると、あっという間に予算をオーバーしてしまいます。
設備や素材を選ぶ際は、「本当に必要なもの」「よく使用するもの」だけを高級メーカーにして他は国産大手メーカーのものにするなど、メリハリをつけて選ぶことが大切です。
「やりたいこと」に優先順位をつける
中古マンションのリフォーム費用を予算内に抑える一番のコツは、やりたいことに「優先順位をつける」こと。
一度、やりたいことを全て書き出してみて、
- ・絶対やりたいこと
- ・できればやりたいこと
- ・余裕があればやりたいこと
に、分けてみてください。
それをリフォーム会社に渡せば、予算を調整しながら理想の住まいを叶えてくれるはずです。
「どう整理すればわからない」という場合は、CRAFTのデザイナーにやりたいことをそのまま伝えてもOK。優先順位をつけられるように、しっかりとサポートします。
中古マンションのフルリフォームに使える2つのローン
お住まいのマンションをフルリフォームする場合は、基本的にリフォームローンを利用することになります。一方、これから物件を購入してリフォームするのであれば、リフォームローンに加え、住宅ローンも選択肢の一つになります。
リフォームローンと住宅ローンの主な違いは以下のとおりです。
リフォームローン | リフォーム一体型 住宅ローン | |
---|---|---|
金利 | 高い | 低い |
借入額 | 少ない | 多い |
借入期間 | 短い | 長い |
リフォーム一体型ローンは、中古マンションの購入費用とリフォーム費用をまとめて融資してもらえるローンです。リフォームローンよりも金利が低いだけでなく、借入期間を長めに設定できるので、月々の返済の負担が大きくなりすぎないというメリットがあります。
これから物件を購入する予定なのであれば、住宅ローンがおすすめです。
そのためには物件購入時にリフォームの見積もりが必要です。CRAFTの中古物件探し&リノベーションなら可能なため、これから物件を買ってリノベする方はご相談ください。
マンションのフルリフォームの流れと工事にかかる期間

CRAFTでマンションをフルリフォームするときの流れと工期は以下のとおりです。
- 1. ご相談
- 2. 基本プランの作成・見積り
- 3. 設計契約・詳細打ち合わせ
- 4. 工事請負契約・着工
- 5. お引渡し
※工程1〜3(約2〜3ヵ月)、工程4〜5(約2〜5ヵ月)
マンションのフルリフォームは、短くても4ヶ月、長い場合だと半年以上かかることも。時間がかかる前提でスケジュールを組むようにしましょう。
より詳しいフルリフォームの流れについては、以下のページからご確認ください。
マンションのフルリフォームのQ&A
最後に、中古マンションのフルリフォーム(全面リフォーム)に関するよくある質問をQ&Aの形式で紹介していきます。
Q マンションのフルリフォームでは間取りの変更も自由にできますか?
間取りを自由に変更できる物件とできない物件があります。
マンションには、柱や梁で建物を支える「ラーメン構造」と、壁で建物を支える「壁式構造」という2種類の構造があります。壁式構造のマンションは、壁で建物を支えるという性質上、撤去したり移動したりできない耐力壁があり、間取りの変更が制限されてしまいがちです。
ただ、実際に物件を確認するまではどこまで間取りを自由に変更できるかわからないので、まずはリフォーム会社に相談するようにしてください。
Q マンションをフルリフォームするべき築年数の目安はありますか?
築年数の目安はとくにありません。マンションの劣化スピードは物件によって異なるので、劣化が目立ってきたり、不具合が発生したときが、フルリフォームを検討するべきタイミングだと言えるでしょう。
Q 中古マンションの購入からリノベーションまで、すべて依頼できますか?
不動産仲介~リノベーションまでワンストップでお任せいただけます。ご自身で行う場合は物件探し~購入~住宅ローン申請~物件の登記~リノベーションの打合せまで対応すべきことが多く、忙しい方にはかなりのご負担になってしまいます。窓口がひとつのCRAFTならすべてがスマートに進行。お客さまには要所でご判断いただくのみです。詳しくは中古物件探し&リノベーション専用ページをご覧ください。
〈まとめ〉理想のマンションを、フルリフォームで「つくる」こと
既製のマンションが100%自身の暮らしにフィットすることはなかなかありません。理想の暮らしを手に入れるには、フルリフォーム(全面リフォーム)が一番の近道です。
もし「新築でマンションを探しているけど、なかなか理想的な物件が見つからない…」という方は、中古マンションの購入+フルリフォームも検討してみてはいかがでしょうか。
CRAFTでは、物件を購入する前に「フルリフォームでできること」と「費用感」をお伝えするので、購入の判断をよりスムーズに行えます。「フルリフォームのみ」の方も、「中古マンション購入+フルリフォーム」をご検討の方も、お気軽にご相談ください。



<著者>CRAFT 編集部
一級建築士・二級建築士・インテリアコーディネーター・一級建築施工管理技士・二級建築施工管理技士・宅地建物取引士が在籍。さまざまな知識を持つプロフェッショナル集団が、リノベーションや物件購入についてわかりやすく解説します。