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ここ数年で人気が高まってきているマンションのフルリノベーション。中古マンションを購入し、リノベーションで「理想の住まい」をつくる方も増えています。マンションをフルリノベーションした方の事例とともに、費用相場やメリット・デメリットなどをご紹介します。
(作成日2023.11.10 更新日2024.9.7)
マンションのフルリフォーム(フルリノベーション)とは?
フルリフォーム(フルリノベーション)は、住まい全体の改装を指す言葉です。リフォームを大きく分けると、
部分リフォーム<表層リフォーム<フルリフォーム(フルリノベーション)
の、3つに分けられます。
「キッチンと浴室のみ」の部分リフォームや、「床・壁・天井といった内装のみ」の表層リフォームに対し、「構造躯体のみを残して住まい全体を改修」するのがフルリフォーム(フルリノベーション)です。
マンションリフォームする際は、ご自身が「どこまでリフォームをしたいのか」を明確にしておきましょう。リフォーム会社には「部分リフォームが中心」という会社や、CRAFTのように「大規模なフルリフォームが得意」という会社など、得意分野はさまざまです。それによって、依頼先が変わってきます。
マンションのフルリフォーム(フルリノベーション)の費用相場
先述したとおり、フルリフォームは住宅全体を改修するため、部分リフォームや表層リフォームよりも費用は高くなります。下記はCRAFTの㎡あたりのリフォーム内容です。費用相場の参考にしてください。
㎡単価 | 主なリフォーム内容 |
---|---|
10万~20万円/㎡ | 間取りは既存を利用し、低価格の材料・器具で一通りきれいに。見えなくなる設備配管や電気配線などはできる限り活用します。 |
20万~30万円/㎡ | スケルトンにして間取り変更し、全てを標準レベルの材料・器具に交換。見えなくなる設備配管や電気配線も全て交換します。 |
30万以上/㎡ | スケルトンにして間取りを大幅に変更し、全てハイレベルな材料・器具に交換。見えなくなる設備配管や電気配線も全て交換するため安心です。ほぼオーダーメイドでデザインにこだわることができます。 |
ただしマンションフルリフォームの費用相場は、工事の内容(間取り変更の範囲)や、建材や設備のグレードによって左右されるため、すべてが上記に当てはまる訳ではありません。「やりたいこと」に優先順位をつけながら、コストを調整していくことも大切です。また、CRAFTのマンションリフォーム事例一覧を見て、価格を参考にする方法もあります。
マンションのフルリフォーム費用相場をより正確に知りたい方は、直接CRAFTへお問合せください。
〈予算別〉マンションのフルリフォーム事例
マンションのフルリフォーム事例を予算ごとにご紹介します。リフォーム費用は「リフォーム面積」も関わるため単純な比較はむずかしいものの、「これくらいの予算で、こんなことができる」という参考になれば幸いです。
予算が2000万円台のマンションフルリフォーム事例
都心の景色を一望できるタワーマンション。リビングサイドの洋室を取り込み、ゆとりある1LDKに。独立キッチンをオープンにし、いつでも景色が視界に入るリラクシングな住まいにフルリフォームしています。
ウォールナットのフローリング、石目模様のタイルのマントルピースなど素材感にもこだわりを。石と木に包まれたモダンな住まいに生まれ変わりました。
リフォーム費用 :2500万円 / 87㎡ / 築20年
予算が3000万円台のマンションフルリフォーム事例
ご夫婦で伸びやかに過ごせるように、3LDKを1LDKにフルリフォームした事例です。2つの個室を取り込むことで、窓に面した大きなLDKを新設。大谷石やタイル、板張り天井を採用し、趣ある陰影を演出したこともポイントです。
さらにkitchenhouseのオーダーキッチン、Mieleの食洗機やAriafinaのレンジフードなど、ハイグレードな設備にもこだわりました。
費用:3000万円 / リフォーム面積:90㎡ / 築年数:15年
予算が4000万円台のマンションフルリフォーム事例
メゾネットマンションの特徴を活かし、1階は個室とリビングのあるプライベートスペース、2階は料理サロンを中心としたパブリックスペースへとフルリフォームしました。フロアでゾーニングすることで、料理サロンの生活感をなくしています。
インテリアは「クラシックモダン」に。グレージュのカーペットやセラミックタイルで、飽きのこない上品なイメージを演出しました。
費用:4900万円 / 186㎡ / 築年数:20年
予算が5000万円台のマンションフルリフォーム事例
隣接する洋室を取り込んでLDKを拡大し、リビングサイドには小上がりを新設。リビング・ダイニングの床は栗の挽板フローリング、壁の一部を珪藻土で仕上げるなど上質な素材を使い、シンプルながらも表情ゆたかに仕上げています。
バスルーム・トイレ・家事スペース兼パントリー、ライブラリーなどプライベートスペースも素材感にこだわり、どこにいても贅沢な心地で過ごせるように。MinottiのソファやCassinaのダイニングテーブルも美しく調和しています。
費用:5200万円 / 132㎡ / 築年数:14年
予算が6000万円台のマンションフルリフォーム事例
2部屋を取り込み、広々としたLDKに間取り変更。南側の窓が4連続する開放的なリビングに生まれ変わりました。収納スペースを充実させたこともポイントで、SIC・WIC・WTC(ウォークスルークローゼット)を必要箇所にレイアウト。生活感のないホテルライクな暮らしを叶えています。
「ナチュラルモダン」をコンセプトに、邸内を上品なグレージュで統一し、ヘリンボーンの床やモールディング、イタリア製の大胆なタイルで華やかに。ご愛用のCassinaのソファやBaccaratのシャンデリアが溶け込む美しい住まいです。
費用:6400万円 / 150㎡ / 築年数:13年
マンションのフルリフォーム(フルリノベーション)のできること・できないこと
マンションのフルリフォームでできること
マンションのフルリフォームでは、基本的に「専有部分」なら自由にリフォームできます。フルリフォームでは一旦構造躯体のみにするため、間取りもゼロからプランニング可能に。「リビングをもっと広く」「3LDKを2LDKにしたい」など大胆な間取り変更が可能です。
またフルリフォームでは、「ホテルライクに」「シンプルモダンに」など邸内全体のインテリアを統一可能。Mieleの食洗機、GAGGENAUのクックトップやLIEBHERRのワインセラーなど、ハイブランドの設備をビルドインで設置するなど、どこまでもこだわりを追求できます。
<専有部の一例>
■キッチン・トイレ・バスルームなどの設備
■住戸内の・間仕切り壁・天井・仕上げ材
■玄関ドア(室内側)
など
マンションのフルリフォームでできないこと
マンションのフルリフォームでは、専有部分に限り、改修することができます。外壁・窓・ベランダやバルコニーなど、共有部分にあたるスペースをリノベーションすることはできません。また、柱や梁、スラブなど躯体にあたる部分に手を加えることもできません。
そのため、マンションの構造によっては間取りの変更に制限がかかってしまったり、マンションの規約によって制限がかかることがあります。
このようにマンションのフルリフォームにはできないこともあるため、構造による制限や規約による制限をうまくカバーしながらプランニングできるリフォーム会社への依頼がとても重要です。
<共用部の一例>
■バルコニー
■窓
■構造躯体
■玄関ドア(共用廊下側)
など
マンションのフルリフォーム(フルリノベーション)のメリット・デメリット
なかには「これから中古マンションを買ってフルリフォーム(フルリノベーション)する」という方もいるでしょう。その場合のメリット・デメリットをお伝えします。
マンションを購入してフルリフォーム(フルリノベーション)するメリット
マンションを購入してフルリフォームする主なメリットは、
・理想の住宅を実現できる
・物件の選択肢が広がる
があげられます。構造によってはできないことはあるものの、既存の気に入らない間取りやデザインのマンションを大きく変え、理想の住宅を実現することができます。
さらに、新築マンションはなかなか希望のエリアに売りに出ないことが多くあります。中古マンションは新築のマンションに比べて物件数が多いため、「購入する物件の選択肢がぐっと広がる」というメリットもあります。
マンションを購入してフルリフォーム(フルリノベーション)するデメリット
マンションを購入してフルリフォームする主なデメリットとしてあげられるのは、以下の3点です。
・想定していたよりもリフォーム費用が膨らむことがある
・希望の改修を行えないことがある
・引っ越すまでに時間がかかる
中古マンションの中には、こちらの想定以上に劣化が進んでいる物件もあります。そういった物件を購入してしまうと当初の想定よりも補修にお金がかかってしまうため、「コストを抑えやすい」というメリットが薄れてしまいます。
また、マンションの規約や構造によって「希望のリフォームができない」というケースも少なくありません。
さらに3〜6ヶ月のリフォーム工事があるため、住み始められるようになるまでに時間がかかる点もデメリットの一つ。今住んでいる住宅からの退去日は、慎重に決めましょう。
上記のリスクを回避するには、物件仲介〜リノベまでワンストップで対応できる会社に依頼することが大切です。購入前に「どんなリフォームが」「いくらでできるか」を知って、購入判断するのがベストです。
マンションのフルリノベーションを予算内に抑えるコツ
マンションのフルリフォーム費用を予算内に抑えるコツをご紹介します。気をつけたいのは以下の3点です。
既存の間取りを活かす
予算が大きく上がる要素のひとつに「大幅な間取り変更」があります。逆にいえば、間取り変更を最小限にできれば、予算も抑えられます。たとえば「リビングは壁を撤去して拡大するけれど、寝室は床・壁・天井の仕上げ材交換のみ」などパブリックスペースに予算を集中させる方法もあります。
「予算オーバーしそうだな」と思ったら、既存の間取りを活かせないかも検討してみるとよいでしょう。
全室の設備や素材のグレードにこだわらない
オーダーキッチンや海外製の高級設備などに囲まれた暮らしはもちろん憧れますが、すべてにこだわっているとあっという間に予算オーバーに。「本当に必要なもの」「よく使用するもの」だけを高級メーカーにし、他は国産大手メーカーのものにするといったメリハリは大切です。
素材や建具も全室をハイエンドにするのではなく、個室や収納などはスタンダードな商品をセレクトする、といったことも意識してみましょう。
「やりたいこと」に優先順位をつける
上記2点の総論となりますが、マンションリフォーム費用を予算内に抑える一番のコツは「優先順位をつけること」。一度、やりたいことを全て書き出し、「絶対やりたいこと」「できればやりたいこと」「余裕があればやりたいこと」に分けてみてください。それをリフォーム会社に渡せば、予算を調整しながら理想の住まいを叶えてくれるはずです。
「どう整理すればわからない」という場合は、CRAFTのデザイナーにやりたいことをそのまま伝えてもOKです。優先順位をつけられるように、しっかりとサポートします。
〈まとめ〉理想のマンションを、フルリフォームで「つくる」こと
既製のマンションが100%自身の暮らしにフィットすることはなかなかないでしょう。そのため理想の暮らしを手に入れるには、フルリフォームが一番の近道です。ただしメリットとデメリット、費用感を知った上で検討しましょう。
もし「新築でマンションを探しているけど、なかなか理想的な物件が見つからない…」という方は、中古マンションの購入+フルリフォームも検討してみてはいかがでしょうか。理想通りの間取り・デザインの新築マンションを見つけるのはむずかしいけれど、理想の住まいを「自分たちでつくる」フルリノベーションであれば、それを叶えることができます。
マンションのフルリフォームの実績豊富なCRAFTなら、購入前に「フルリフォームでできること」「それにかかる費用感」をお伝えするため、購入の判断がスムーズです。「フルリフォームのみ」の方も、「中古マンション購入+フルリフォーム」をご検討の方も、お気軽にご相談ください。
<著者>CRAFT 編集部
一級建築士・二級建築士・インテリアコーディネーター・一級建築施工管理技士・二級建築施工管理技士・宅地建物取引士が在籍。さまざまな知識を持つプロフェッショナル集団が、リノベーションや物件購入についてわかりやすく解説します。