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余白が多い空間。ホテルやモデルルームのように、物が少ない部屋に憧れませんか? 今回は、すっきりとシンプルに暮らせるスケルトンリフォームのポイントをご紹介します。
物が少ない部屋のルール1〈壁面収納〉
床の上に掃除機や本が雑然としているだけで「わー、なんだか散らかってるな」という印象になりますよね。逆にいうと、床の面積をできるだけ多く見せるだけで「物が少ない部屋だな〜」という印象になるのです。
それを叶えるのが壁面収納。
こちらはマンションの最上階。リノベーションで天井をアップしています。その天井の高さを利用して、大きな壁面収納を設けました。フラットで存在感をできるだけ抑えていますが、扉を開けると大容量の収納スペース。本や子供のおもちゃ、掃除道具などもたっぷりと入ります。急な来客などでささっと片付けたいときは、とりあえずこちらにぽいぽい放り込んでおいてもOK。あまり労力を使わずにすっきりとした状態をキープできます。
壁面収納は天井高や梁にあわせて自由に設計できるため、デッドスペースを有効に使えるというメリットも。物が少ない部屋を目指すなら、リノベーションで取り入れてみてはいかがでしょうか。
物が少ない部屋のルール2〈ウォークインクロゼット〉
それぞれの個室にクロゼットをつくるのもいいけれど、「ベッドルームが狭くなるのはちょっと…」もしくは「そんなんじゃぜんぜん足りない!」という方におすすめしたいのが、ウォークインクロゼット(WIC)です。
こちらは、マンションをリノベーションした実例です。「物を持たない暮らしが理想」というお施主さま。今回のリノベーションに向けて持ち物を減らしたものの、やはり捨てきれない物もあります。リビングやダイニングなどそれぞれのスペースに収納を設けていますが、それだけでは足りなさそう。そこでLDKとベッドルーム、どちらからでもアクセスのよいところに大きなWICを設けました。
壁と扉は質感ゆたかな柾目のナラでまとめ、〈玄関に巨大な木箱が鎮座するイメージ〉をつくりました。リビングの奥まで木箱を連続させ、空間のつながりを演出。靴収納は、WICと玄関の両側から開閉できるように設計。WICにいながら、服と靴のコーディネートをたのしめるようになったそうです。廊下と靴収納のレイアウトを変えた結果、玄関に十分なゆとりが生まれました。
物が少ない部屋のルール3〈伸びやかな白〉
色は空間のイメージを大きく左右します。白は、清潔で伸びやかな印象をつくる色。
部屋を広く、すっきりと見せたいときに効果を発揮する白。ただし場合によっては冷たすぎる印象を与えてしまうことも。白を使うなら、木のぬくもりやあたたかい色をプラスして、くつろげる雰囲気をつくりましょう。
こちらは、白をベースカラーにリノベーションしたマンションの実例です。白は少量の光を拡散するため、暗くなりがちなマンションには最適。ただし、先述したとおり真っ白にすると無機質になってしまいます。そこで光や面で陰影をつくり、奥行きと表情を感じられるよう工夫しました。
白く無機質な箱の中には、TVと暖炉を設置。右手はせり出し、その面の重なりがリビングに深い表情を刻み込んでいます。壁面収納やWICのように実質的な役割はありませんが、色の視覚的な効果は大きなものです。物の少ない部屋を目指すなら、ぜひ白をベースカラーにしてみてはいかがでしょう。
物が少ない部屋のルール4〈造作家具〉
物が少ない=家具も少ない。
というわけで、家具は必要最低限に留めておきたいものです。そのときにおすすめなのが、造作家具です。たとえば壁の凹んだスペースにデスクカウンターやTVボードを設ける。また、キッチンとダイニングテーブルを一体にする。このように家具と空間を一体にみせることで、整然としたイメージが生まれます。
こちらは、空間にあわせて造作したダイニングテーブルです。キッチンの腰壁にテーブルの一部を組み込ませ、テーブルとキッチンの一体感を強調しました。正面から見たときに、すっきりと伸びやかなイメージが生まれています。
カウンターは、腰壁の笠木やフローリングにあわせてナラを使用。空間全体に溶け込むようなダイニングテーブルにあわせて、マットでやさしいグレーのペンダントライトをセレクトしました。
空間に溶け込んだダイニングテーブルは、ミニマムな印象をつくってくれます。
まとめ
物が少ない(ように見える)部屋づくりのポイントをご紹介しました。ポイントをおさらいすると
・壁面収納に何でも突っ込めるように
・ウォークインクロゼットに服をまとめて収納
・清潔感のある白ですっきりとした印象に
・造作家具で空間と一体に
ミニマリストがなにかと注目されていますが、思い出の品々をことごとく捨てていくのは、なんだか忍びない気がしますよね。
そこで、リノベーション時に収納やデザイン面を工夫し、物を持っているけれど持っていないように見せる。ネオミニマリストになることをおすすめします。
物がないシンプルな部屋がご希望なら、リノベーションで片付けやすい住まいにプランニングしてみませんか? 短時間で片付けやすく、いつでもすっきりホテルのようです。
<著者>CRAFT 編集部
一級建築士・二級建築士・インテリアコーディネーター・一級建築施工管理技士・二級建築施工管理技士・宅地建物取引士が在籍。さまざまな知識を持つプロフェッショナル集団が、リノベーションや物件購入についてわかりやすく解説します。