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築30年のヴィンテージマンションと聞くと、「購入して大丈夫かな…?」「古すぎるんじゃない…?」と心配になるかもしれません。
そこで今回は、築30年のマンションを購入するメリット・デメリットについてご紹介します。メリット・デメリットだけでなく、購入後何年住めるのかといった疑問や購入して後悔するケースについても詳しく解説していきますので、ぜひ参考にしてみてください。
築30年のヴィンテージマンションはあと何年住める?
築30年のヴィンテージマンションはすぐに住めなくなってしまうと勘違いされてしまいがちですが、そんなことはありません。
国土交通省の資料によると、鉄筋コンクリート造の住宅は120年ほどもつとされていますし、適切な頻度でメンテナンスしている住宅であれば150年もつこともあるとしています。これは、戸建ての住宅だけでなく、マンションなど建物全般に言えることです。
参考:国土交通省「中古住宅流通促進・活用に関する研究会」報告書取りまとめ後の取組紹介」
そのため、購入するマンションの構造にもよりますが、築30年のマンションを購入してもすぐに住めなくなってしまうようなことはないと考えられます。
築30年のヴィンテージマンションを購入する5つのメリット
新築ではなく、築30年のヴィンテージマンションを選ぶ主なメリットとしては、
・リーズナブルな価格の物件が多い
・資産価値が安定している
・希望する地域で物件が見つかりやすい
・新しい耐震基準を満たしているため地震に強い
・大規模修繕が済んでいる物件が多い
の、5点があげられます。
それぞれのメリットについて詳しく解説していきます。
1. リーズナブルな価格の物件もある
築30年のヴィンテージマンションを購入する上で最も大きなメリットと言えるのが、新築や築浅のマンションとの価格差です。
不動産研究所が公表しているデータによると、首都圏の新築マンションの平均販売価格は「6,536万円」とされています。
出典:不動産経済研究所「首都圏のマンション市場動向」
一方、同じ首都圏の築30年のマンションの平均的な販売価格は「2,612万円」ほどです。
出典:公益財団法人東日本不動産流通機構「首都圏中古マンション・中古戸建住宅地域別・築年帯別成約状況【2020年1~3月】」
つまり、新築マンションと築30年のマンションには4,000万円近くの差があることになります。マンションの価格は場所や間取り、階数などによって大きく変動するため必ずしもここまでの価格差が生じるわけではありませんが、築30年のマンションがリーズナブルであることに変わりはありません。
ただし「広尾ガーデンヒルズ」「ホーマットシリーズ」をはじめとした高級ヴィンテージマンションは、周辺エリアの新築価格との差はほぼありませんのでご注意ください。
2. 資産価値が安定している
築30年のヴィンテージマンションは資産価値も安定しています。
新築のマンションは購入と同時に大きく価値が下がり、その後も下がり続けていきますが、住宅としての価値の下落は築20〜25年を目処に落ち着き、その後大きく下がることはありません。
資産価値は物件によって異なるので一概に言い切ることはできませんが、価値が下がりにくく安定している点は、マンションを購入する上で非常に大きなメリットだと言えます。
3. 希望する地域で物件が見つかりやすい
新築マンションは確かに魅力的ですが、建設できる土地が限られている関係上、どうしても選択肢が狭まってしまいがちです。希望する地域で予算や間取りなどの条件に一致するマンションを探そうとしても、そう簡単には見つかりません。
一方、新築のマンションだけでなく築30年の中古マンションまで視野に入れて物件を探す場合、候補が一気に増えるため、希望の地域で条件に一致する物件が見つかりやすくなります。
4. 新しい耐震基準を満たしているため地震に強い
国内の建物は建築基準法で定められた耐震基準にのっとって建設されていますが、耐震基準には「震度5強の地震で倒壊・損壊しないこと」を基準に考えられた旧耐震基準と、「震度6強から震度7程度の地震でも倒壊・損壊しないこと」を基準に考えられた新耐震基準の2種類があります。
新耐震基準への切り替えは1981年の6月1日におこなわれたため、築30年のマンションは基本的に新耐震基準で建てられた、より地震に強いマンションということになります。
これも、築30年のマンションを購入するメリットの一つです。
旧耐震基準も新耐震基準も大きな地震による倒壊リスクには差がないというデータもあるため、旧耐震基準のマンションを必要以上に避ける必要はありませんが、
・ラーメン構造と壁式構造が混用されている
・構造上のバランスが悪い
・不整形の建物
・セットバックが大きい
・ピロティが偏った位置にある
・細長い形状をしている
・築49年以上のマンション
など、旧耐震基準のマンションの中でも避けるべきマンションもあるので注意してください。
5. 大規模修繕が済んでいる物件が多い
マンションでは、住民から毎月修繕積立金を徴収し、外壁塗装や防水工事など、定期的に建物全体の大規模な修繕を行っています。
大規模修繕の周期は12年に一度の頻度で行われることが多く、築30年のマンションは2度目の修繕が済んだばかりなので、メンテナンスされたばかりで状態が良い物件が見つかりやすいというメリットもあります。
築30年のヴィンテージマンションを購入する3つのデメリット
築30年のマンションを購入するメリットとあわせて確認しておきたいのが、築30年のマンションならではのデメリットについてです。
築30年のマンションを購入する主なデメリットとしては、
・住宅ローン控除が使えなかったり制限されたりする可能性がある
・デザインや設備が古い
・配水管の中にサビが生じている
の、3点があげられます。
それぞれ詳しく解説していきます。
1. 住宅ローン控除が使えなかったり制限されたりする可能性がある
マンションの購入するにあたり住宅ローンの控除を受けたいと考えている方は多いかと思いますが、住宅ローンの控除を受ける上での条件の一つに「築20年以内であること」という条件があります。この条件により、築30年のマンションを購入する際に住宅ローンの控除が受けられなかったり制限されてしまったりするケースがあります。
ただ、築20年以上の物件であっても、「耐震基準適合証明書」を取得している物件や「既存住宅売買瑕疵保険」に加入している物件であれば住宅ローン控除の対象となり、控除を受けることは可能です。
築20年以上の物件だからと言って必ずしも控除が受けられないわけではないので、築30年のマンションを購入する際はそれらの条件を満たしているかどうかをチェックした上で購入するようにしましょう。
2. デザインや設備が古い
築30年のマンションは30年以上前にデザインされた物件ということもあって、新築のマンションや築浅のマンションと比較すると、どうしても古く感じられてしまいがちです。デザインだけでなく、導入されている設備にも同じことが言えます。
これは、建設されてから30年以上経過してしまっている、築30年のマンションならではのデメリットです。
しかし、デザインや導入されている設備の古さはリノベーションでカバーできる部分であるため、そこまで重く受け止める必要はありません。リノベーションすれば、最新のデザインを取り入れた自分好みのマンションに生まれ変わらせられます。
3. 配管の中にサビが生じているケースも
築30年のマンションだと、配管の内側にサビが溜まっているケースがあります。ひどい場合には赤い水が出てくることも。これは、古いマンションには「鉄管(鋼管)」が使われていることが原因です。鉄管は15年〜20年が寿命となるため、リノベーションで交換した方がよいでしょう。
築30年のマンションのデメリットはリノベーションで解消できる
築30年のマンションには、
・住宅ローン控除が使えなかったり制限されたりする可能性がある
・デザインや設備が古い
・配管の中にサビが生じている
など、新築や築浅のマンションにはないデメリットがあると紹介してきましたが、デザインや設備の古さや配水管のサビなどのデメリットについてはリノベーションで解消できるので心配ありません。
リノベーションによって内装や設備を変更することで今のトレンドやあなたの好みを取り入れた理想の住宅にできますし、配管を変更することでサビなどのトラブルも解消できます。
こちらは、港区にある築30年のマンションをリノベーションした事例です。
施主のNさまは、今の時代にそぐわない暮らしにくい間取りや好みではないインテリアに不満を感じていました。また、古くなってしまっている設備もあり、そこも悩みのタネとなっていました。
それらの不満や悩みを解消するために、古い設備は新しいものに総入れ替えし、間取りもご家族のライフスタイルに合わせて変更。インテリアについても、どこか古さを感じさせる既存のインテリアから、白を基調としたモダンなインテリアに変更しました。
築30年のマンションを購入するときの物件選びのポイント
築30年のマンションを購入する際の物件選びでは、修繕履歴を必ず確認するようにしてください。
築30年のマンションは大規模修繕が行われた後である可能性が高いと紹介してきましたが、大規模修繕のタイミングはマンションによって異なるので、必ずしもその限りではありません。適切なタイミングで定期的にメンテナンスされているかどうかは、トラブルが発生する可能性や建物のの寿命に大きく影響するので、修繕履歴は必ず確認するようにしましょう。
また、日頃の管理が行き届いているかどうかも重要です。
内見する際に共有部分の状態などにも気を配り、綺麗な状態が保たれているかなどをチェックするようにしましょう。共有部分が汚れていたり、駐車場・駐輪場やゴミ捨て場が乱雑な状態になっているマンションは、管理組合が正常に機能していない可能性が高く、避けるべき物件だと言えます。
築30年のマンションは買わない方がいい?後悔する3つのケース
メリットとデメリットを確認した上で築30年のマンションの購入も視野に入れたいと考えているのであれば、購入して後悔するケースについても確認しておくようにしましょう。実際に購入して後悔するケースを事前に確認しておくことで、同じような失敗を避けられるようになります。
特に注意が必要なケースを3つピックアップしてみました。
1. 間取りを変更できなかった
中古マンションの中には間取りを変更できないタイプの物件もあるため、リノベーションを前提に築30年のマンションの購入を検討している方は注意しなくてはいけません。
物件の購入とリノベーションをそれぞれの別の業者に依頼してしまうとこういったトラブルが起きやすくなってしまうので、物件の購入からリノベーションまで一貫してお願いできるワンストップリノベーションの会社に依頼するようにしましょう。
2. 売却しづらい物件だった
築30年のマンションでも売却は可能なので、売却を前提にマンションを購入しても特に問題はありません。
ただ、売却できるかどうかは資産価値によって異なるため、
・マンションが建っている地域の治安
・マンションの周辺の施設
・公共交通機関の充実度
など、資産価値に関わる部分をチェックした上で購入するようにしてください。
3. 修繕が適切におこなわれていなかった
マンションの寿命は単純に築年数だけで図れるものではありません。修繕が適切な頻度でおこなわれているマンションで築30年のマンションでも長持ちしますし、適切に修繕されていなければ購入後すぐに修繕が必要になってしまう可能性があります。
そのため、実際にマンションを購入する際は、購入予定のマンションの修繕履歴や修繕計画についてもチェックするようにしてください。
〈まとめ〉築30年のマンションは、立地や管理状態がよければ買ってもよし
築30年のマンションを購入しても問題ないかどうかがわからず不安になっている方向けに、築30年のマンションを購入するメリット・デメリットについて紹介してきました。
築30年のマンションは「古くてすぐ住めなくなるのでは‥?」と思われてしまいがちですが、鉄筋コンクリート造のマンションであれば100年以上持つため心配する必要はありません。むしろ、価格が安くお得に購入できたり物件の選択肢が広がったりなどさまざまなメリットがあるため、それらのメリットに魅力を感じるのであれば購入を視野に入れるべきです。
デザインや導入されている設備が古いといったデメリットはありますが、リノベーションすれば古いマンションを自分の好みのマンションに生まれ変わらせることもできます。
CRAFTでは、物件探しからリノベーションのトータルサポートも行っています。
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<著者>CRAFT 編集部
一級建築士・二級建築士・インテリアコーディネーター・一級建築施工管理技士・二級建築施工管理技士・宅地建物取引士が在籍。さまざまな知識を持つプロフェッショナル集団が、リノベーションや物件購入についてわかりやすく解説します。