物件データ
ご実家のRC造3階建てビル。ここでお父さまと同居をしていましたが、お子さまの成長をきっかけにデザインリフォームすることにしました。既存のらせん階段が邸内を窮屈に感じさせていたことから、撤去して吹き抜け&スケルトン階段に。ガラスの向こうの階段室からは、自然光がたっぷりと注ぐようになりました。縦横に視線が抜ける空間構成により、実際以上の広がりを感じられるようになったこともポイント。勾配天井のある3階は子世帯、2階はお父さまの居住スペースに。スケルトン階段でゆるやかにつながる、心地よい二世帯住宅の誕生です。
BEFORE写真
台形型の建物・勾配天井…
デッドスペースをなくして開放的に
建物は台形のような特殊な形状、天井には勾配がありました。さらに閉鎖的ならせん階段があり、デッドスペースが多くて暗い印象。そこで、細かく別れていた間取りを変えてゆとりあるLDKに。2階・3階ともに、斜めの壁の直線的なつながりを見せることで、伸びやかな印象を与えています。3階には既存の勾配天井を活かしてロフトを設け、自然光をたっぷりと取り込めるようにしました。デメリットを有効に活用することで、オリジナリティのある住まいに変えています。
一枚板のテーブルを主役に
ご夫婦のお気に入りの、一枚板のダイニングテーブル。ブビンガの個性的な色合いがなじむよう、床にはアッシュ系のオークのフローリングを張りました。スケルトン階段をLDKのアクセントにするために、手すりとササラを黒く塗装。壁や引き戸をガラスにし、冷暖房効果を確保しつつも、視覚的な開放感を演出しています。一方で、階下から続いている階段の手すりは白く塗装し、存在感をおさえました。
奥まで見通せるLDK
玄関ホールからは、リビング〜ダイニング〜キッチンまで見通すことができ、実面積以上に伸びやかな印象を与えます。上部の吹き抜けからは、たくさんの自然光が。玄関に入った瞬間、開放感を感じられるようになりました。キッチンサイドにはユーティリティをレイアウト。ユーティリティの間仕切りはガラスとなっているため、お子さまの様子を見ながら洗濯物を干すことも可能。奥さまの家事のしやすさに配慮して計画しました。
軽やかなスケルトン階段
LDKにシンボリックに佇むスケルトン階段。稲妻状のササラはあえて床にジョイントさせず、浮いているように仕上げました。鉄骨性の重いスケルトン階段を支えるのは、梁に設置した吊材と、ロフトまで届く手すり。ササラをギリギリまで薄く、小さく見せるため、段板がぴったりと収まる幅を計算しました。ミリ単位の計画によって、階段を軽やかに見せています。小さなお子さまがいることから、ロフトの手すりは細いワイヤーで落下防止策も万全に。
勾配天井の寝室
勾配天井のあるスペースに寝室をレイアウト。ダブルベットがちょうどよいミニマルな空間ながら、しっとりとした色合いのアカシアのフローリングを張り、落ち着いて過ごせるようにしています。勾配天井の厚みを活かして棚を設け、時計や本を置けるように。隣は洗面室となっており、排水音をカバーするため壁にグラスウールを入れています。
やわらかな朝の光が注ぐ
洗面室は窓のあるスペースに移動し、通気性をアップ。造作したカウンターと洗面台をつなげ、その先に窓の景色が広がっているような印象が生まれてます。朝のやわらかな光と風がたっぷりと注ぐ、居心地のよい洗面室となりました。
あるいはワンルームのように
お父さまが過ごす2階は、できるだけ間仕切りをなくしてワンルームのように。キッチンやバルコニーから自然光が注ぐ、明るく伸びやかなリビングとなっています。愛犬の居場所は、バルコニーに面したユーティリティに設置。リビングと寝室からも気配がわかり、安心です。お父さまのイメージに合わせ、フローリングはブビンガ、ブラインドはダークブラウンなど落ち着いたものをセレクトしました。
二世帯が絶妙な距離感で
2階のメインは、お父さまの居住スペース。一部を子世帯のファミリークローゼット、お子さまが大きくなったら使う予備室をレイアウトしています。親世帯と子世帯をはっきり分けるのではなく、階段でゆるやかにつながるように。階段室の間仕切りをガラスにしたことで、2階と3階の階段を行き来するたびにお父さまの気配を感じるように。会話せずとも目が合うだけで、あたたかな気分になります。
縦格子の床の隙間から
これまでロフトに上がるには、わざわざ梯子を引き出す必要がありました。スケルトン階段を常設したことで、ロフトがより身近な存在に。ご主人さまの書斎として活用できるようになり、将来はお子さまの寝室として使う予定です。ロフトの床の一部を木の縦格子にしたのは、窓から注ぐ自然光をやさしくリビングに届けるため。