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近年人気と注目度が高まってきている、コンパクトマンション。ただ、コンパクトマンションには、ならではのメリットもあればデメリットもあるため、購入前にどちらも知っておいた方が良さそうです。今回はコンパクトマンションのリノベーションによって理想的な住まいを手に入れた方の事例に触れながら、コンパクトマンションの魅力について詳しく紹介していきます。
コンパクトマンションとは?30〜60㎡ほどの広さが主流
コンパクトマンションには明確な定義はありませんが、30〜60㎡ほどの広さのマンションをコンパクトマンションと呼ぶケースが多いようです。コンパクトマンションは、「20㎡ほどの広さの物件が多いワンルームマンションと、70㎡以上の広さの物件が多いファミリー向けのマンションの中間」と考えてよいでしょう。
間取りについても定義があるわけではありませんが、1DKや2LDKなど、部屋数の少ない物件が多く、「都心で、ほどよい広さでコンパクトに生活したい」と考える方を中心に人気を集めています。
コンパクトマンションのメリット
コンパクトマンションの購入を検討する上で把握しておきたいのが、メリットについて。
コンパクトマンションの主なメリットとしては、
・立地が良くて生活しやすい物件が多い
・リーズナブルな物件が多い
・資産価値が高い
・設備が充実している物件が多い
などがあげられます。
それぞれのメリットについて詳しく解説していきます。
1.立地が良くて生活しやすい物件が多い
「住みたい街」として人気の高いエリアや、駅前・駅チカなど立地の良い場所に建てられている物件が多く、利便性の高い物件が多い点は、コンパクトマンションの魅力的なポイントの一つです。
駅前は商業施設が充実しているので買い物で困ることがありませんし、駅チカの物件は通勤にも便利です。また、居住区として人気の高いエリアはスーパーや病院など生活に欠かせない施設はもちろん、飲食店や遊べる場所も多いので、充実した毎日を過ごせるというメリットもあります。
2.リーズナブルな物件が多い
コンパクトマンションはサイズが小さい分、ファミリータイプのマンションに比べてリーズナブルな物件が多いというメリットもあります。物件の価格は部屋のサイズだけでなく立地なども影響するため、一概に「安い」と言い切れるわけではありませんが、魅力的な価格帯の物件が多いのは確かです。
価格が安いと、「ファミリータイプのマンションだと高すぎて手を出せない…」というエリアでも物件を探せるようになるので、住宅を購入する際の選択肢も広がります。
3.資産価値をキープしやすい
都心や駅近にあるコンパクトマンションは、資産価値が高いと言えます。
少子高齢化が進んだことで、最近は、単身世帯や子どもを設けずに夫婦二人の時間を重要視する「DINKs(ディンクス)」と呼ばれる世帯も増えてきていますが、コンパクトマンションは、それらの世帯にうってつけのマンションです。今後ニーズも増えていくことを考えると、資産価値が大幅に下がることはないと考えられるでしょう。
4.設備が充実している物件が多い
コンパクトマンションの需要が高まってきていることもあり、
・セキュリティ性能に優れている物件
・ジムやスタディルームなど共有スペースが充実している物件
・宅配ボックスや浴室乾燥機など利便性の高い設備が備わっている物件
など、設備が充実している物件が増えています。
これだけの設備を備えておきながら、手の届きやすいリーズナブルな物件が多い点は、コンパクトマンションならではの魅力です。
コンパクトマンションのデメリット
魅力的なメリットのあるコンパクトマンションですが、デメリットがないわけではありません。
コンパクトマンションの主なデメリットとしては、
・ファミリー層向けのマンションに比べると若干狭い
・物件の面積によって受けられない控除や軽減措置がある
の、2点があげられます。
それぞれ詳しく解説していきます。
1.ファミリー層向けのマンションに比べると若干狭い
コンパクトマンションは、その名のとおり、部屋や設備がコンパクトにまとまっているマンションです。コンパクトにまとまっているため、住宅内で無駄な移動を省けるようになっているものの、ファミリー層向けのマンションに比べると若干狭いというデメリットがあります。
ファミリー層向けのマンションに70㎡以上の物件が多いのに対し、コンパクトマンションの場合、30〜60㎡ほどになる物件がほとんどです。
コンパクトマンションは、部屋数や広さを求める人向きの物件ではないため、ファミリー層向けのマンションに比べて狭くなってしまうのも当然だと言えますが、実際に購入する際はその点も押さえておく必要があります。
2.物件の面積によって受けられない控除や軽減措置がある
マンションを購入したいと考えている方の中には、控除や軽減措置を活用したいと考えている方も多いかと思いますが、住宅の購入では、物件の面積によっては控除や軽減措置が受けられないこともあるため注意しなくてはいけません。
例えば、40㎡未満の物件を選んでしまうと住宅ローン控除は受けられません。40㎡以上50㎡未満の物件だと、住宅ローン控除は受けられますが、「登録免許税」と「不動産取得税」の軽減措置は受けられなくなります。
このように、物件の広さによって控除や軽減措置を利用できるかどうかが決まる仕組みになっているので、住宅ローン控除や軽減措置の活用を検討している方は、対象となる広さの物件を購入するようにしましょう。
より快適にすごせるコンパクトマンションづくりのポイント
より快適にすごせるコンパクトマンションづくりのポイントとしては、
・背が低くて圧迫感のない家具を中心にチョイスする
・リノベーション前提で中古のコンパクトマンションを買う
の、2点があげられます。
これらは、コンパクトマンションのデメリットを払拭して快適な空間をつくる上で、非常に重要ポイントになります。それぞれ詳しく解説していきます。
1.背が低くて圧迫感のない家具を中心にチョイスする
ファミリー層向けのマンションほど広くないコンパクトマンションに背の高い家具を導入すると、圧迫感を感じるようになり、部屋が狭く感じられてしまいます。
そのため、コンパクトマンションでは、背の低い家具を中心にチョイスするのがおすすめです。
また、
・家具を増やしすぎない
・部屋が狭く見える色の濃い家具は選ばない
なども、部屋を狭く感じさせないための重要なポイントになります。
2.リノベーション前提で中古のコンパクトマンションを買う
「なかなか理想通りの物件が見つからない…」という場合は、中古のコンパクトマンションを購入してリノベーションするのも一つの手です。
コンパクトマンションは需要の高まりにともなって増えてきてはいますが、既存の物件の中から理想のイメージと完全に一致する物件を見つけるのは、そう簡単ではありません。既存の物件に固執するよりも、中古のコンパクトマンションを購入してリノベーションする方が効率的ですし、理想の住宅を実現しやすくもなります。
また、新築のコンパクトマンションを購入するより、中古のコンパクトマンションを購入してリノベーションする方が安く済むケースも多いので、「中古物件の購入+リノベーション」も検討してみてください。
コンパクトマンションのリノベーション事例
中古のコンパクトマンションを購入してリノベーションする上でチェックしておきたいのが、実際にコンパクトマンションを購入してリノベーションした方の事例についてです。
3つのコンパクトマンションのリノベーション事例をご紹介していきます。
事例1. 快適に過ごせる間取りが魅力のコンパクトマンション
目黒区にある66㎡の、築10年になるコンパクトマンションをリノベーションした事例です。
デザイン性を高めつつ、快適に過ごせる間取りを希望されていたため、メリハリのある空間を意識しつつ、回遊性を意識した間取りとしています。
玄関からリビングにアクセスできるのはもちろん、玄関からシューズインクローゼットを通ってそのままキッチンにアクセスできる動線。重たい荷物を抱えて買い物から帰ってきたときでも、わざわざリビング側から迂回することなくキッチンへとアクセスできます。
さらに主寝室と洗面室、浴室の間にウォークインクローゼットを設けたことで、出かけるときの身支度や就寝前の準備も、よりスムーズに。
事例2. 二人の時間を満喫できる空間への大胆リノベーション
世田谷区にある66㎡のコンパクトマンションをリノベーションした事例です。お子さんが独立して家を出たことをきっかけにリノベーションすることに。もともと3LDKの間取りでしたが、大きなリビングが印象的な1LDKの間取りに変更しました。
寝室には、リビングからだけでなく、ウォークインクローゼットとトイレを経由して玄関からでもアクセスできるように。
コンパクトマンションは、部屋数が多くなるとどうしても狭く感じられてしまいます。こちらの事例のように家族構成の変化に合わせて大胆に間取りを変更してみるのもおすすめです。
事例3. 築年数の古い物件を時代にマッチする間取りのコンパクトマンションに
港区にある45㎡、築46年のコンパクトマンションをリノベーションした事例です。築年数の古い物件で内装や設備の劣化が目立っていたため、フルリノベーションを実施。
約50年前に建てられたマンションということもあり、洗面室、浴室、洗濯機置場が同じ場所に設けられるなど今の時代にマッチしない間取りになっていたため、洗面室と浴室を分け、洗濯機置場は洗面室に移動させました。
現代のライフスタイルにマッチする間取りに変更したことで、快適性が大きく向上しています。
コンパクトマンションがおすすめなのはこんな人・こんな世帯
コンパクトマンションがおすすめの世帯としては、
・単身世帯、DINKS
・お子さまが小さい
・お子さまが独立した
・シニア世代
などがあげられます。
コンパクトマンションはファミリー層向けのマンションに比べるとどうしても狭く感じられてしまうため、大きなお子さまがいるご家庭は避けた方がよいでしょう。
お子さまが小さなうちは都心のコンパクトマンションで過ごし、お子さまが大きくなったら住み替えるという方法もおすすめです。
一方、単身世帯やお子さまのいないDINKs(ディンクス)にとっては、生涯暮らすことのできる住まいになります。またお子さまが独立したご夫婦や「コンパクトに暮らしたい」というシニア世代にもおすすめです。
〈まとめ〉コンパクトマンションはこれからの時代にマッチした資産価値の高いマンション
コンパクトマンションは、
・単身世帯
・DINKs(ディンクス)
・お子さまが独立した世帯
・シニア世代
などにうってつけの、魅力的なマンションです。
物件の広さは30〜60㎡とファミリー層向けのマンションに比べると若干狭くなりはするものの、2人で暮らす分には十分な広さですし、各部屋や設備がコンパクトにまとまっていてアクセスしやすいという特徴もあります。
ただ、コンパクトマンションでは、狭さや不便さを感じなための生活動線や回遊性の確保が非常に重要になります。暮らしやすく満足度の高い理想的な住宅を目指すのであれば、ぜひ、リノベーションも検討してみてください。
CRAFTでは、物件探しからリノベーションまで、お客さまにとっての理想的なコンパクトマンションの購入を、トータルでお手伝いいたします。
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<著者>CRAFT 編集部
一級建築士・二級建築士・インテリアコーディネーター・一級建築施工管理技士・二級建築施工管理技士・宅地建物取引士が在籍。さまざまな知識を持つプロフェッショナル集団が、リノベーションや物件購入についてわかりやすく解説します。