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「リノベーションも設計料を払わなくちゃいけないの?」という素朴な疑問を耳にします。もちろんです。リノベーションには必ず図面が必要で、作成の業務が伴うため設計料が発生します。
「でも『設計料は無料』なんてリノベーション会社もあるけど….?」 確かにありますが、そこにはある”カラクリ”が。今回はリノベーションの設計料の仕組みと目安をご紹介したいと思います。
リノベーションの設計料はいくらぐらい?
リノベーションの設計料は、まず「リノベーション会社に依頼するか」「設計事務所に依頼するか」で変わってきます。
設計事務所にリノベーションを依頼したときの設計料
「スタイリッシュなプランを期待できるのは、やっぱり設計事務所よね?」
おっしゃるとおりです。設計事務所の新進気鋭のデザイナーにリノベーションを頼めば、想像をこえるプランが出てくるかもしれません。
ただし、設計料はリノベーション会社と比べて高めです。設計から管理まで依頼した場合、総工事費の10~20%がおおよその目安。さらに工事費用が高いほどパーセンテージが低く、安いほど高くなる傾向です。なぜか? 工事費用が高くても低くても、図面を作成する作業工程は変わらないからです。
これには、設計に特化した設計事務所の構造が関係しています。自社設計施工のリノベーション会社は〈設計料〉と〈施工費〉で収益を得ることができますが、設計事務所は〈設計料〉だけで成り立っています。常に新しいことにチャレンジしている設計事務所は、毎回ディテールまで細かく設計するため、それだけ設計料がかかるのです。
リノベーション会社にリノベーションを依頼したときの設計料
総工事費の5~15%というのが一般的
先述したようにリノベーション会社は〈設計料〉と〈施工費〉で成り立っています。そのため設計事務所に比べると多少は設計料を抑えられますが、それでもだいたい総工事費の5~15%というのが一般的ではないでしょうか。
たまに「設計料は無料」とうたっている会社あります。しかし、必ずしも皆さんが得をするとは言えません。たとえば、プランがパターン化されていたり、決まった素材・仕様しか選べなかったり…。施工費や諸費用がやたら高くなっていたり。なかには数枚の図面しか提出しない会社もあるそうです。
そんなカラクリで設計料を安くしてもらっても、うれしくありませんよね?
設計料は安くても、わくわくしないプランならNG
定額制ではない場合、リノベーションのプランニングは決して簡単な作業ではありません。お施主さまからヒアリングをし、リノベーションしたい物件を採寸し、コンセプトを決め、間取りとデザインを考えて図面を描く。
さらに予算に合わせて素材(フローリングや壁の仕上げなど)、設備(キッチンやトイレなど)の候補をいくつかセレクトし、お施主さまと一緒に仕様を決めて仕様書を作成。予算オーバーになりそうであれば調整する。かなりの時間をかけて設計しています。
設計料は安いけれど、型にはまっていたり、手抜きなプランを提案する会社はもう一度考え直した方がいいかもしれません。妥当な設計料を支払って、聞いているだけでわくわくするようなプランを提案してくれるリノベーション会社に依頼したほうが、満足度は高いはずです。
設計料はどこからかかる?
設計事務所は、「作業をした時点で設計料がかかる」というケースがほとんどです。どの設計事務所も、ラフプランの作成だけで10~30万円ほど請求します。ただし、ラフプランと言ってもかなりの手間と労力がかかりますから、高すぎることはありません。
一方、リノベーション会社は「ラフプランまで無料」としている会社が多いです。もちろん設計事務所と同じくらいの労力をかけています。特別な理由があって無料にできるわけではなく、ただただ『リノベーションを依頼してもらうため』の企業努力によるもの。
クラフトのような中規模のリノベーション会社も、最初はラフプランを提出し打合せを重ねて、最終的に気に入っていただけたら設計契約を結び、そこではじめて設計料が発生します。
設計料はディスカウントしてもらえるの?
先述したように、設計にはかなりの手間と工程がかかります。ですので、設計料は値切れるものではありませんし、値切られると設計者はあまりいい気分はしません。これは設計事務所もリノベーション会社も同じことだと思います。
ただし設計料を安くすることはできなくても、「ここは既存を使えば安くできるかもしれない」なんて全体のコストダウンにつなげるプランを提案してくれるはずです。
まとめ
図面は、会社と施主の約束ごとです。数枚の図面だけだと約束ごとが曖昧になってしまい、「ここはベージュのタイルに変更したでしょう」「聞いていません」なんてトラブルのもとに。
多少設計料が高くても、ユニークで新鮮な提案をしてくれる設計事務所に依頼するのもいいでしょう。また、クラフトのように社内の設計者が一つひとつ、丁寧にプランをつくっているリノベーション会社もあります。
図面には、設計者の知恵とこだわりと夢が詰まっています。設計料はその労力やアイデアの対価。プランをしっかりと見て判断すれば、各会社の設計料が妥当かどうかがわかるはずです。
<著者>CRAFT 編集部
一級建築士・二級建築士・インテリアコーディネーター・一級建築施工管理技士・二級建築施工管理技士・宅地建物取引士が在籍。さまざまな知識を持つプロフェッショナル集団が、リノベーションや物件購入についてわかりやすく解説します。