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東京の高級住宅街をご紹介するシリーズ。今回ご紹介するのは、模範的な高級住宅街のひとつ「成城」。とにかく街が整備され、歩道がゆったりしていて、歩いているだけで心がクリアになっていきます。郊外型(とまでは言えないけれど、松濤や南麻布に比べると都心から離れる)の住宅街の特権が凝縮されています。
・高台に位置する
・区画の大きな邸宅が点在
・低層マンションが多い
・道路幅が広い
・街路樹が多い
・住宅街としての歴史がある
・街なみが美しい
こうした条件をクリアしているのが世田谷区の成城です。成城はまさに文句なしの魅力的な高級住宅街でした。
世田谷に高級住宅街が多いのはなぜ?
成城、等々力、上野毛、尾山台、奥沢、瀬田、そして岡本…東京の世田谷区にはたくさんの高級住宅街があります。都心から少し距離があるものの、街全体にゆったりとした雰囲気が漂っており、緑が多く、心なしか空が近い。2021年の東京商工リサーチ調査「社長が住む街ランキング(市区群ベース)」によると、世田谷区には5万943人の経営者が暮らしており、全国で1位となりました。とくに閑静な住宅街として知られている「成城」には、経済界の実力者が集まっているようです。
そんな人々を成城が引き付ける理由はどこにあるのでしょうか?街をゆっくりと歩いて、その魅力を探ってみました。
緑あふれる成城、歩くだけでさわやかな気分に
世田谷区には緑ゆたかな崖「国分寺崖線」があり、その高台は岡本・瀬田・上野毛・等々力・尾山台・成城といった高級住宅街があります。地盤が強いため、大正期からたくさんの有力者が暮らしてきました。
なかでも圧倒的にネームバリューが高い高級住宅街が「成城」です。
駅前のにぎやかな通りを抜けると、ほどなく邸宅があらわれます。松濤のように「突如あらわれる」といった感じはなく、歩いているとだんだん高級な雰囲気にグラデーションしていくようなイメージ。ウェルカムな印象を感じるのは、家々の塀が低くてオープンなつくりのせいでしょうか。
成城エリアの一等地は、成城6丁目と7丁目
城の中でも一等地とされているのが、成城学園のある「成城6丁目」あたりです。とりわけ大邸宅があつまっています。ゆったりとした大きな街路樹にはセンスのよい邸宅が並んでおり、その合間に昔ながらの日本建築や趣のある洋館も点在していました。こうした家は比較的新しい成城に、ほどよい趣を与えています。
家々の塀からは、樹木があふれんばかりにのぞいています。きちんと手入れされた庭が通りからも見えていました。太陽の光をたっぷりと浴びて、さわやかです。とある大豪邸のエントランス前にはピカピカのセンチュリーで主人を待つ運転手さんの姿も。経営者や役員クラスの方が多く住んでいることがわかります。
このあたりには〈グランドメゾン成城〉〈ディアクオーレ成城〉といった低層マンションが点在しています。〈MUY SEIJO〉というヴィンテージマンションは、敷地にゆったりと建てられてたテラスハウス風のマンションで戸建て感覚で暮らせそうです。
成城のよいところは、こうした高級住宅街の中に低層マンションがさりげなく佇んでいる点です。〈
ディアクオーレ成城〉〈グランドメゾン成城6丁目〉〈グランドヒルズ成城〉もそうですが、高級感があるけれどまわりを圧迫しない、控えめで上品なマンションが目立ちました。賑やかすぎる街やタワーマンションが苦手な方は、成城の低層マンションなら気に入りそうです。
成城の街なみを守るルール〈成城憲章〉
田園調布には〈田園調布憲章〉という建物の厳格なルールがあります。実は成城にも、地元の住民によってつくられた〈成城憲章〉というルールがあるのです。一部をご紹介します。
●建物は10m以下の高さ
●塀は1.8m以下
●土地の面積は250平米以上が理想(少なくとも125平米)
●建物は隣地の境界線から1m以上離す
●敷地の20%に植栽
●建物や看板に原色を使わない
なかでも「敷地の20%は緑を植えよう」というルールは素敵ですね。緑ゆたかな成城の街は、こうした個々の心がけによって生まれていることがわかります。ちなみに〈成城憲章〉に法的拘束力はありません。ですので「街の美しさと資産価値を守るための思いやりルール」という感じです。
西の成城、東の田園調布
成城と田園調布は「郊外型の高級住宅街」ということで、比較されることがあります。どちらも渋谷や新宿へ電車で一本とアクセスがよく、さらに武蔵野台地の高台にあり、区画の大きな戸建てを中心とした高級住宅街。
さらに、街開発の時期や成り立ちも似ています。成城学の住宅分譲がはじまったのは1927年、田園調布の分譲は1923年。どちらも小田急と東急という電車の開通がきっかけです。
違いがあるとすれば、あくまで個人的な意見ですが「田園調布のほうがインパクトがある」という点でしょうか。田園調布は豪邸が駅の西側のごく一部にかたまっています。これに対して成城は、豪邸が成城1~9丁目と駅の向こうまで散らばっているのです。そのせいか、成城の方が「より親しみやすい」という印象を受けました。また近くに成城学園があるせいか学生が多く、「開かれた街」といったイメージも。
成城と田園調布はどちらも美しい高級住宅街という点には違いなく、あとは利便性や好みの問題だと思います。でも「地元の買い物のしやすさ」は、成城に軍配が上がりそうです。
成城の駅界隈は、洗練されていて便利
内には「住環境は抜群によいけど、駅から遠くてスーパーもない。坂も多くて暮らしにくい」という高級住宅街がたくさんあります。車がなければ買い物に不便な高級住宅街は、わりと多いのです。でも成城では、その心配はありません。
そのひとつが成城駅前のショッピング施設〈成城コルティ〉。スーパーやカフェはもちろん、〈ENOTECA〉や〈DEAN & DELUCA〉など36店舗が入っています。駅の北側は成城商店街。成城石井本店や薬局など、とにかく日常生活で必要なモノは徒歩で買いに行くことができます。成城2丁目~3丁目の方が利用する駅の南側は、北側よりもカジュアルな雰囲気です。学生さんがたのしそうにお茶する姿を見かけました。
静かな環境なのに、駅界隈は洗練されていて、華やかでおしゃれで便利。世田谷区の高級住宅街の中でもとくに恵まれた環境だと思いました。
成城学園のほか、砧エリアで一番人気の明正小学校も!
成城の住民にはお子さまを〈成城学園〉に通わせる方も多いでしょう。幼稚園から小学校、中学校、高校、大学まで同じ敷地内にあるエスカレーター式の一貫教育。安心して通わせることができます。
成城エリアにおいては、公立を視野に入れる方も。なぜなら砧エリアでトップクラスの人気を誇る名門〈明正小学校〉が学区だからです。周辺環境はもちろん、教育方針にも信頼が厚く、中学受験熱の高い親御さんも多いようです。(成城1~6丁目が学区となっています)
公立小学校も選択肢にできることは、共働きで時間がないご夫婦にとって大きなメリットかもしれません。
〈まとめ〉閑静な街なみ、駅周辺はほどよくにぎやか
東京の高級住宅街、世田谷区・成城についてご紹介しました。
成城学園駅を中心に、南北に住宅街が広がる成城エリア。まじめで感じのよい、優等生な街です。なかでも成城6丁目~7丁目には豪邸が集中しており、高級住宅街の景色を見ることができます。そんな模範的な高級住宅街でありながら、駅周りはほどよくにぎやかで買い物に便利な点が、成城の大きなメリット。静かな暮らしと利便性、どちらも手に入れることができるのです。
ただし成城エリアはマンションが少なく、あったとしても戸数の少ない低層マンションが中心。成城の住宅街にあるマンションは激戦となっていますので、中古物件を探す際は、早めに不動産会社に声をかけておきましょう。リノベーション前提で中古物件をお探しなら、物件探しからリノベーションまでワンストップで行うCRAFTがおすすめです。「成城エリアでご希望通りにリノベーションできる中古物件」だけを、厳選してご紹介しています。
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<著者>中野 瀬里乃
大学卒業後、出版社・フリーライターを経て、2013年リノベーション会社CRAFTへ入社。自社HPやオウンドメディアにてリノベーション・不動産・建築・インテリア関連の事例紹介やコラムを多数執筆。