目次
玄関ドアを開けると、抜けのある景色が目に飛び込んできます。リビングの先にはルーフバルコニーが伸びやかに続いており、その先には青い空。澄んだ空気にあらわれる富士山は、いつ見てもKさんご夫婦の心を弾ませてくれるそうです。
「はじめから古くて広いマンションを買ってリノベーションする」と決めていたKさんに、物件探しとリノベーションのこだわりをおうかがいしました。クラフトの口コミが気になる方は、ぜひご覧ください。
古くて広い物件を買ってリノベーションするほうが、自分たちに合っている
CRAFT(以下C):玄関に入ったらすぐにLDK。ちょっとびっくりしましたが、窓の先へ視線が抜けて気持ちいいですね。最上階だから天井も高くて、海外のペントハウスという雰囲気です。
奥さま:おっしゃるとおりで、この景色と天井高が気に入って購入を決めたんです。
C:やはり…。はじめから新築ではなく、中古物件購入+リノベーションでお考えだったんですか?
奥さま:はい。イギリス人の主人が日本に来て11年目になることと、他のさまざまな事情が重なって…「買っちゃおうか」ということに。そのとき、中古マンションのリノベーションしか考えられませんでした。
実は私たち、海外に行ったときは大体Airbnbで現地の物件を借りて滞在しています。日本よりも物件自体の広さが違うし、開放的な間取りで居心地がいいし、自然体でくつろげて。住まいにもそうした「自分らしさ」を求めていました。
C:海外でホームステイのように過ごした経験が、中古物件の選択につながったんですね。
奥さま:それが大きいと思います。都内で新築を探すと、広い物件は高すぎて手に入りにくいし、間取りのパターンも少ないんですよね。「だったら古くて広い物件を買ってリノベーションする方が自分たちには合ってるかな」と。
C:今回は物件探しからご依頼くださいましたね。CRAFTが物件探しからのワンストップサービスをやっていることは、ご存知でしたか?
奥さま:はい、知っていました。CRAFTさんにお願いしたのは、HPのデザイン事例を見て「満足のいく仕事をしていただけそうだな」と感じたからです。私はデザインの仕事をしていて、ふだんから直感を大事にしていることもあって、「ここだ!」とCRAFTさんだけにお声がけしたんです。
営業トークは一切なし。安心して物件を探すことができた
C:ありがとうございます。リノベーション会社選びはスムーズだった一方で、物件探しはちょっとご苦労されたとか。
奥さま:そうなんです。はじめは「リノベーション済みもありかな」と、他社さんで5件くらい内見したんです。でも実物を見るとピンと来ないし、私たちの希望を理解してもらえていない気がしていて。
それで、物件探しからCRAFTさんに相談することにしました。「リビングは明るくて風通しがいいこと」「間取りを変えやすいこと」というこだわりがあったけれど、なかなかぴったりな物件に出会えなくて。予想していたよりもかなりの物件を見て回ることになってしまいました。
助かったのが、不動産担当の方がいい意味で不動産屋さんらしくなかったこと。「これは買ったほうがいいですよ」といった押し付けが一切なかったので、精神的にとても楽でした。私の考えをしっかり理解して、一生懸命物件を探してくれていることがよくわかりました。だから途中から、「この方が紹介してくれたところで決めよう」と思ったんです。
物件探しから依頼して、希望のリノベーションができるマンションを購入
C:理想的な住まいのイメージがはっきりしていたから、納得できるまで妥協しなかったんですね。最終的にこちらの物件にした決め手はどこにあったのでしょうか?
奥さま:駅から少し距離があるけれど、天井の高さやルーフバルコニーが理想通りで、文句のつけようがないくらい素敵だったので。ほとんど一目惚れでした。
私たちは、外でゆっくり過ごすのが好きなんです。ここを最初に内見したときに外に出てみたら、空の色がとてもきれいだったんです。しばらくすると日が沈んで、空の色が少しずつ変わっていく。それを主人と眺めていると、ふと腑に落ちたんですよね。「ここだ」と。空気が澄んでいれば富士山が見えることは、そのときに教えいただきました。
C:やっぱり、物件も直感で決められたところがあったんですね。
奥さま:はい。それに加えて「リノベーションをしやすい物件」ということもポイントでした。「キッチンの背面以外の壁は、すべて取れます」とお聞きしたので、安心して購入に踏み切れました。もし物件探しを別の不動産会社に依頼していたら、「どんな間取りに変えられるか」まではわからなかったと思います。
ちょっと遊んだ方が楽しい! そのワクワクを大事にしたかった
C:プランニングについてもお聞かせください。Kさんはご希望をプレゼン資料にまとめて、デザイナーに渡されたとうかがっています。「やりたいこと」「できたらやりたいこと」「相談したいこと」の優先順位が明確に書かれていますね。
奥さま:まず最初に、「デザイナーさんにはどうやったら希望がうまく伝わるかな?」と考えたんです。つらつら喋るだけだと忘れてしまうし、聞いてる方にも記憶に残りにくい。仕事柄プレゼン資料をつくることが多いので作っちゃおう! と。家を探している間に「こういうのがあったらいいね」とか夫と話しながら決めていきました。はじめは具体的なイメージはなかったけど、やりだすとなんとなくまとまっていきました。
C:物件探しをしている間にも、リノベーションの構想をされていたんですね。とくに斬新だったのは、玄関に間仕切りがないこと。玄関ドアを開けたとき、ここまで開放感のある住まいはめずらしいと思います。
奥さま:そうですね。もともとは玄関・廊下・ドアがあって、その先がリビングという一般的な間取りでした。でも廊下のスペースはもったいないし、できるだけ間仕切りをなくして大きな空間にしたかったんです。
ただ広いと落ち着かないので、一部をTVボードでゆるやかに間仕切りして、その先を私と主人のワークスペースにしました。
奥さま:天井の板張りは「デザイナーさんに真っ白な空間よりも、木が入っていた方が落ち着くのでは」とご提案いただいたことで採用。こちらを内見したときに、玄関からの見え方をその場でささっとスケッチしてくださったから、すごくイメージしやすかったです。
C:CRAFTの物件探しはデザイナーも同行するので、「リノベーション後をイメージしながら物件を選んでいただける」というメリットがありますね。ところで、キッチンはかなりスペースを取られていますね。存在感があります。
奥さま:料理が好きで、主人と一緒にキッチンに立つこともあるので大きさとデザインにはこだわりました。「キッチンらしくない見せるキッチン」にしたかったんです。広いスペースで、なるだけシンプルで…と選んだのがkitchenhouseのオーダーキッチン。コンロ、オーブン、食洗機はMieleで統一しました。
もともとは独立キッチンで暗くて狭かったので、窓際の明るいスペースに動かしています。景色を眺めながら料理ができて、ずっとキッチンにいられるくらい居心地がいいです。
C:たくさんの窓面を活かしたプランとなっていますね。
奥さま:ただ窓が多いから、ディスプレイスペースが少なかったんです。そこでデザイナーさんに小物や絵を見せて、飾る場所を計画していただきました。窓際のオープン棚にはグリーンを置いて、キッチンサイドの棚にはお気に入りの小物たちをディスプレイ。イギリスの田舎町のマーケットや、アジア旅行で集めたテイストがばらばらの小物も、色を合わせて統一感を出しています。
C:小物遣いがとっても素敵ですね。そして大胆な寝室のクロス! かわいらしい箱の中に、WICがすっぽり収まっているようなイメージです。
奥さま:住まいはちょっと遊んだ方が楽しいし、ワクワクした気持ちを大事にしたかったんです。柄物のクロスは「飽きる」と聞くけれど、「飽きたら張り替えればいい」と思っていたので。それに寝室も天井が高いので、柄物クロスでも圧迫感がありません。WICの先は廊下につながっているので、身支度もラクになりました。
夜はカーテンを開け、月を眺めながら過ごす日々
C:デザイン性が高いのに、心地よさや導線もしっかりと考えられていますね。実際に暮らしてみて、いかがでしょうか?
奥さま:とても過ごしやすいです、とくに主人はリビングのソファがお気に入りです。それと、よくバルコニーに出て月を眺めています。晴れた日には富士山も見えて、夕焼けのシルエットはすごくきれい。まわりに背の高い建物がないので、夜もカーテンを開けたままで過ごしています。東京でプライバシーを気にせず、こんなに開放的な暮らしができるなんて…贅沢ですよね。
私はキッチンに立つ時間が増えました。もともと料理が好きだったけれど、今は何か作っているだけでしあわせな気分になります。調理器具をたくさん使ってもスペースが広いし、食洗機が洗ってくれるし、家事がとても楽になりました。
越してきてもうすぐ1年になります。過ごしているとあらためて「よく考えて設計されているな」と感心してしまいます。たとえば使いやすい蛇口や、ソフトクローズのドア。間取りや導線を含めて、要望以外のところをしっかりと考えてくださっていたことがわかりました。要望は出したけれど、細かな部分はプロのデザイナーさんに任せてよかったと思います。
それに打ち合わせの時にデザイナーさんに「こうしたい」とお伝えしたら、次回、必ずプランに組み込んでくださいました。私たちがちらっと言ったことをちゃんと覚えていてくれて、それ以上のご提案をくださって。
コミュニケーションでのストレスがまったくなく、心から信頼してお任せできました。物件探しもリノベーションも、CRAFTさんにお願いしてよかったな、と本当に思います。
インタビュー後記
物件選びもリノベーションも、まずは自分の価値観をはっきりとさせて、理想をイメージする。ただし、間取りや導線など細かな部分はデザイナーに任せる。妥協を許さない「こだわり」と、ある意味いさぎよいくらいの「割り切り」が絶妙なバランスです。
また、暮らしてからのインテリアも心地よさの大事なポイントだと教えてくれたKさん。手入れの行き届いたグリーンは、窓から注ぐ自然光をたっぷりと受けて気持ちよさそうです。センスのよい家具や雑貨は、まさに「ここにあるべき」という様子でたたずんでいます。
「余計なものでも思い入れがあったり、多少ごちゃごちゃしていても身の回りにある方が楽しいかな…。ミニマルにも憧れるけれど、私たちはこれが心地いいんです」。
※詳しいプランは、デザインリフォーム・リノベーション事例18502をご覧ください。
<著者>中野 瀬里乃
大学卒業後、出版社・フリーライターを経て、2013年リノベーション会社CRAFTへ入社。自社HPやオウンドメディアにてリノベーション・不動産・建築・インテリア関連の事例紹介やコラムを多数執筆。