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今回は、築30年以上経つ戸建て住宅におすすめのリフォーム方法やメリット、注意点を解説します。今後のリフォームに役立つアイデアもご紹介。ぜひ参考にしてください。
(作成日2023.5.24 更新日2024.12.26)
築30年の戸建てはリフォームであと何年住めるようになる?
「住宅の寿命は30年程度」と勘違いされがちですが、品質の高い日本の住宅は築30年以上になっても済み続けられます。住宅の耐用年数と寿命の違いに触れながら、築30年の戸建てはリフォームによって後何年住めるようになるのかについて解説していきます。
「法定耐用年数」と「寿命」はちょっと違う?
「法定耐用年数」は、国が決めた資産価値としての目安期間を表す指標で、住宅の構造や条件によって以下のように決められています。
- ・木造:22年
- ・れんが、石、ブロック造:38年
- ・鉄骨造:19、27、34年(鉄骨の厚さによって変わる)
- ・鉄骨鉄筋コンクリート(SRC)、鉄筋コンクリート(RC)造:47年
一方、「住宅の寿命(物理的耐用年数)」とは、建物の劣化が進み、実際に住めなくなってしまうまでの期間です。
法定耐用年数はあくまでも国が定めた大まかな目安期間であり、資産としての価値がある期間を表したものなので、住み続けるという観点で考えた場合、寿命(物理的耐用年数)の方が重要になります。
住宅の寿命はリフォームやメンテナンスで延ばせる
「建物の寿命」はリフォームやメンテナンスによって延ばすことができます。
実際の寿命はそれぞれの建物によって異なりますが、木造住宅であれば、リフォームやメンテナンスによって80〜100年程度住み続けられるとされています。仮に築30年の戸建てをリフォームする場合であれば、リフォーム後に50〜70年程度住み続けることが可能です。
築30年の戸建てをリフォームするメリット
築30年の戸建てをリフォームするメリットとしては、以下の5点があげられます。
住まいの思い出を残せる
これまで生活してきた住宅には、ご家族の思い出が詰まっています。引越しや建て替えではなく、あえてリフォームを選ぶことで、愛着のある住まいに。既存を活かしながら、新しい家族に合わせた間取り・デザインにリフォームできます。
不具合や不満を解消できる
住宅を建ててから30年以上経過すると、なにかしらの不具合が発生するようになるものです。また、デザインや設備が古かったり、動線が悪いなど不満が出てくることも珍しくありません。
築30年の戸建てのリフォームでは、不具合の解消はもちろん、
- ・トレンドを取り入れたデザインに変更する
- ・新しい設備に交換する
- ・間取りを変更して動線を見直す
など、大掛かりな工事にも対応できるので、今の家に感じている不満も解消できます。
建て替えより費用が安い・工期が短い・フレキシブル
リフォームは既存の構造躯体を活かすため、建て替えに比べると「費用が安い・工事期間が短い」というメリットがあります。さらに、断熱性や防音性を高めるなど、住まいの機能性を向上させることもできます。
建物の状態に合わせてたリフォームで、新築のように生まれ変わることももメリットといえるでしょう。
耐震補強や断熱工事もできる
築30年の戸建てのリフォームでは、耐震補強や断熱工事によって住宅の性能の部分を向上させることもできます。
古い住宅は駆体や断熱材の劣化が進んでいることも少なくありませんが、リフォームによってそれらの箇所をメンテナンスすることで住宅の寿命を延ばせるようになります。
再建築不可物件もリフォームできる
再建築不可物件は接道義務を満たしていないため新しい建物に建て替えることができませんが、リフォームならできます。
増改築など建築確認申請が必要になる大規模なリフォームはできませんが、建築確認申請が必要ない範囲内であればリフォームできるので、既存の住宅のデザインを変更したり、新しい住宅設備に交換するなどの対応は可能です。
築30年の戸建てをリフォームするデメリット
築30年の戸建てをリフォームする際は、以下のデメリットに注意しなくてはいけません。
リフォーム費用が高くなる場合がある
築30年以上経っている住まいは、床下や天井裏などの土台部分が劣化している可能性があります。そのため当初の予定よりも修繕箇所が増え、費用が高くなることもあり注意が必要です。
CRAFTでは建て替えよりもリフォーム費用が高くなる場合は、そのようにお伝えしています。
CRAFTの青山・自由が丘モデルルームの相談会にご参加いただければ、築30年の戸建てのリフォームにかかる費用についてなんでもご相談いただけますので、お気軽にご参加ください。
間取り変更に制限がある場合もある
骨組みなどの基礎部分を活用して、レイアウトを変更するのがフルリフォームです。そのため既存構造の制約があり、建て替えに比べると間取り変更が制限されてしまいます。
たとえば、建物がRC壁式構造の場合は、構造壁を撤去して空間を広げることはできません。構造によって間取りが制限されてしまう場合、CRAFTではプランの工夫によって理想のイメージに近づけます。
築30年を過ぎたら検討したい戸建てのリフォーム
築30年を過ぎた戸建ては、以下のようなリフォームを行うケースが多くなっています。
フルリフォーム
築30年以上経過した戸建ては、住宅のいたる箇所で不具合が発生するようになりますし、さまざまな箇所に不満を感じるようになります。また、家族構成が変化して、既存の間取りが「使いづらい」と感じるようになることも珍しくありません。
それらの問題を解消するには、住宅全体を大きくつくり変えるフルリフォームが一番です。
フルリフォームで住宅全体のデザインを変更したり、新しい設備を導入することで、理想の住まいを実現できるようになります。
バリアフリーリフォーム
築30年の戸建てをリフォームして、後50〜70年以上住み続けるつもりなのであれば、老後の生活について考える方も多いようです。そこで検討したいのが、バリアフリーリフォームです。
築30年の戸建てをリフォームする際にバリアフリーリフォームをあわせて行うことで、老後も快適に過ごせる住宅を実現できるようになります。
古くなった箇所や不具合のある箇所の修繕
築30年の戸建てのリフォームでは、フルリフォームなどの大規模なリフォームだけでなく、古くなった箇所や不具合のある箇所をピンポイントで修正することもできます。
フルリフォームのように住宅を大きくつくり変えられるわけではありませんが、費用を抑えたいときは部分リフォームがおすすめです。
築30年の戸建てのリフォームにかかる費用の相場
築30年の戸建てをリフォームするときにかかる費用の相場はリフォームの内容によって異なります。
部位別の費用相場
中古住宅の購入と同時にリフォームする際の部位別の費用相場は以下のとおりです。
- ※こちらはあくまでも一般的な価格であり、CRAFTは該当しない場合があります
- ※CRAFTは部分的なリフォームには対応しておらず、フルリフォームのみ対応しています
キッチンのリフォーム
リフォームの種類 | 内容 | 費用相場 |
---|---|---|
システムキッチンを交換する | キッチンの位置や内装の変更はなし | 80〜150万円 |
キッチンを対面式に変更する | 壁付のキッチンを対面式に変更 | 150〜300万円 |
浴室のリフォーム
リフォームの種類 | 内容 | 費用相場 |
---|---|---|
浴室の交換 | 在来工法からユニットバスに変更 | 80〜150万円 |
浴室の交換 | ユニットバスから在来工法に変更 | 150〜300万円 |
浴室の交換 | 在来工法から在来工法に変更 | 180〜350万円 |
内装のリフォーム
リフォームの種類 | 内容と費用相場 |
---|---|
壁・天井のリフォーム | 壁や天井のクロスの張替え:8〜15万円 壁や天井のクロスを珪藻土に変更:30〜40万円 |
床のリフォーム | 複合フローリングの上張り:15〜20万円 床の張替え:50〜80万円 |
外壁・屋根のリフォーム
リフォームの種類 | 内容と費用相場 |
---|---|
屋根のリフォーム | 塗替え:50〜80万円 重ね張り(カバー工法):100〜200万円 張替え:180〜300万円 |
外壁のリフォーム | 塗替え:50〜100万円 重ね張り(カバー工法):100〜200万円 張替え:150〜300万円 |
フルリフォームの費用相場
築30年の戸建てをフルリフォームするときの費用相場は、住宅の構造によって異なります。
例えば、高品質なグレードの建材や住宅設備を導入するなど、こだわってフルリフォームする際の費用相場は以下のとおりです。
- ・木造:30万円/㎡~
- ・鉄筋コンクリート造(RC造)・鉄骨造:35万円/㎡~
具体的な費用については、リフォーム会社に確認してください。CRAFTでは青山・自由が丘モデルルームの相談会にて、大まかなリフォーム費用と、リフォームでできることをお伝えしています。
築30年の戸建てをリフォームする前に確認しておきたい4つのポイント
築30年の戸建てのリフォームを成功させるには、リフォームの前に以下の4つのポイントを確認しておくことが重要になります。
フルリフォームか部分リフォームか
柱や梁など、住宅の基盤部分のみを残した大規模なリフォームが「フルリフォーム」です。一方、キッチンや浴室など一部のみ作り直す工事を「部分リフォーム」と呼びます。
一言でリフォームといっても、その規模や修繕箇所によって内容・費用などは異なります。また、業者によってリフォーム内容もまちまちです。そのため業者に依頼する前に、あらかじめリフォームの規模・内容を明確にする必要があるでしょう。
とくに築30年以上の住宅は、フルリフォームがおすすめです。普段の生活では見えない内部構造は、時が経つほど劣化します。このとき費用を抑えるために小規模なリフォームで済ませると、リフォームしてもすぐ故障や不具合が生じ、結果的に高額になるケースもあります。
将来のこと
例えば将来賃貸に出す可能性があるなら、個性的すぎず、幅広い年代に好まれそうな間取りとデザインに。また老後は車いすや杖を使う可能性があるなら、バリアフリーリフォームが必要です。お子さまに受け継ぐご予定なら、簡単な工事で部屋を分けたりできるよう壁の下地を設けておくのもよいでしょう。CRAFTでは将来を見据えたフレキシブルなプランをご提案します。
リフォームの優先順位
リフォームの規模に関係なく、変更内容には必ず優先順位をつけましょう。欲しい機能や心惹かれるデザインをすべて取り入れてしまうと、予算オーバーになりがちです。
このときおすすめなのが、住まいに関する悩みや、改善したいポイントを家族で話し合うこと。客観的な意見を聞くことで、どこを優先的にリフォームすべきかが見えてきます。あらかじめ予算を設定したうえで、リフォーム内容を相談できる機会を設けましょう。
築30年戸建て住宅でよく見られるリフォームは以下のとおりです。
・断熱リフォーム
外からの冷気を防ぐ断熱リフォームにより、部屋全体が温かくなります。さらには暖房使用頻度が減るなど、省エネ対策にもつながるでしょう。また、あわせて耐震補強も行うことで、より長く安心して住み続けられます。・バリアフリーリフォーム
断熱リフォームと同様に、暮らしの安全面を考慮したバリアフリー化も検討しましょう。とくに階段やトイレ、浴室など、身体への負担や転倒のリスクがある箇所を重点的に見直す必要があります。・二世帯住宅リフォーム
親と子の二世帯が同じ住まいで暮らせるようにリフォームします。間取りパターンはさまざまで、各自のプライベートを尊重したレイアウトにもできます。子育てや介護など、互いにサポートしあえる空間を作り出せるのがメリットです。
補助金
築30年の戸建てをリフォームする場合、リフォームの内容によっては補助金制度を利用できる可能性があります。
補助の対象となるリフォームとしては、以下のようなものがあげられます。
- ・バリアフリーリフォーム
- ・耐震補強
- ・断熱リフォーム
- ・省エネリフォーム
また、自治体独自の補助金制度もあります。
補助金制度を利用するには条件を満たさなくてはいけませんし、申し込みも必要になりますが、数十万円単位の補助を受けられることもあるので、ご自身で調べてみてもよいでしょう。
築30年以上の戸建てリフォーム2つの事例
CRAFTの築30年以上の戸建てリフォーム事例を紹介します。どちらも既存を活かしながら、時代の変化に寄り添ったデザインをプラスしています。実際のリフォーム写真をチェックし、より具体的なレイアウトをイメージしてみてください。
築35年 鉄筋コンクリート住宅のリフォーム事例1
築年数:35年
リフォーム面積:75㎡
工期:3ヶ月
費用:2,800万円
ご実家の離れを、家族4人が暮らしやすい空間へとリフォームしました。既存のレイアウトを残しながら、最新設備や工法を取り入れ、住みやすさを追求しています。
屋根や雨樋など、経年劣化の進む箇所は一新。また通気層や遮熱シートによって、熱がこもりやすいといった課題も解消しました。さらにはご主人の意向を汲み、随所に無垢材を用いることで、よりあたたかみを感じられる空間へと生まれ変わりました。
築33年 鉄筋コンクリート住宅のリフォーム事例2
築年数:33年
リフォーム面積:209㎡
工期:4ヶ月
費用:-万円
お子さまの成長をきっかけに、家族4人で暮らせるようRC住宅を購入したMさん。頑丈で状態のよいRC住宅だったため、既存の骨組みやレイアウトを活かしたリフォームを行いました。また屋根やベランダ、外壁などを補修したことで性能をアップ。
さらに既存のレイアウトを活用するだけでなく、新たにシャッターガレージ増築を実現。設計を丁寧に行うことで、法律上の課題をクリアにし、ご家族の希望を叶えるリフォームが叶いました。
なお、リフォーム内容・規模によっては、建て替えよりも費用が高くつくケースもあります。その場合は、既存を活かしたレイアウトを軸としてリフォームを検討してみましょう。
築30年の戸建てリフォームのビフォーアフター事例
こちらは、築28年の戸建てをリノベーションした事例です。
リビングと和室を隔てている壁によって空間をうまく活かしきれていない住宅を、「海を望む別荘」をコンセプトに、セカンドハウスをリノベーションしました。
海を望む夏の別荘を実現するのに欠かせない2階の大きなLDKは、壁と階段を移動させて実現させました。
船底天井をダイニングの手前まで延長したことで、全体的にイメージが統一されたつながりのある空間に。
ダイニングの床は、LDKよりも一段高くして、椅子に座ったままでも海が眺められるようにしています。
築30年の戸建てをリフォームしたお客さまの声
CRAFTで築30年の戸建てをリフォームされたお客さまの声を紹介していきます。
主人の父が建てた築35年の戸建てをリフォームしてもらいました。長く空き家だったのですごい状態だったんですが、とてもきれいにリフォームしていただきました。
嬉しかったのは、デザインや間取りだけでなく性能面も向上してくれた点です。天井あたりが暑いことが気になっていたんですが、屋根に断熱材を入れつつ通気層をつくって熱気や湿気が通るようにしてくれたことで、屋根裏の暑さが伝わらないようになりました。
また、トップライトは電動で開閉できるようになっているんです。窓を開けると風が抜けてかなり涼しいので、夏場も過ごしやすくて助かっています。
以下の記事では、こちらの事例とお客さまの声を、より詳しく紹介しています。
〈まとめ〉築30年の戸建ても、フルリフォームで長く暮らせるように
築30年以上の戸建てのリフォームのメリット・注意点・ポイントをご紹介しました。
・築30年以上の住まいをリフォームするメリット
(1)住まいの思い出を残し続けられる
(2)建て替えよりもメリットが多い
・築30年以上の住まいをリフォームするデメリット
(1)フォーム費用が高くなる場合がある
(2)間取り変更に制限がある場合も
築30年以上となると、少しずつですが確実に不具合が生じてきます。フルリフォームを行えば、この先も安心して暮らせる住まいづくりを実現できるでしょう。
CRAFTでは、お客さまの希望に沿った最適なリフォームプランをご提案いたします。今後の住まいのあり方などでお悩みの際は、まずはお気軽にお問合せください。
<著者>CRAFT 編集部
一級建築士・二級建築士・インテリアコーディネーター・一級建築施工管理技士・二級建築施工管理技士・宅地建物取引士が在籍。さまざまな知識を持つプロフェッショナル集団が、リノベーションや物件購入についてわかりやすく解説します。