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住まいの間取りとデザインを大胆に変えられるフルリフォーム。この記事では、フルリフォームでできないこと・できること、デメリット、事例などをご紹介。フルリフォームの参考にしていただけますと幸いです。
(作成日2023.10.12 更新日2024.9.12)
フルリフォームとは?
フルリフォームとは、構造躯体以外のすべてを解体し、住まいをイチからつくるリフォームのこと。フルリノベーション・全面リフォーム・まるごとリフォーム・大規模リフォームと表現されることもあります。間取りの再構築、内装や設備のグレードアップ、断熱工事、配管の交換など、大掛かりな改修が可能です。戸建てはそれらに加えて、外観・外構の刷新や防水工事、耐震工事などにも対応できます。フルリフォームは、「住まいのお悩みの解消」と「理想の暮らしの実現」をまとめて叶えることができます。
フルリフォームと建て替えの違い
フルリフォームと建て替えとの大きな違いは、「費用」です。建て替えは解体・撤去・基礎工事などに費用がかかりますが、フルリフォームは既存の躯体を活かすため、それらの費用が不要です。その分の予算で内装や設備のグレードにこだわるほうが、満足度が高いケースは少なくありません。さらに鉄筋コンクリート(RC)住宅や鉄骨住宅なら、躯体が頑丈なため躯体補強なしで活かせるケースが多く、建て替えの1/2ほどの費用でリフォームが可能に。費用を抑えつつ、新築レベルの満足感を得られるのがフルリフォームの特徴です。
マンション・戸建てのフルリフォームのデメリット
マンション・戸建てともに、フルリフォームのデメリットは以下になります。
通常のリフォームよりも工期が長い
住みながらのリフォームができない
フルリフォームに対応できる会社が少ない
フルリフォームはできることが多いため、工期は通常よりも長くなりがちです。マンションは少なくとも3ヶ月以上、戸建ては4ヶ月以上はかかると心算しておきましょう。ただし、これまでのお悩みを一気に解決できることを考えると、部分リフォームを何度も繰り返すよりは手間もコストも抑えられます。
またフルリフォームの工事中は、埃や騒音、振動を伴うため仮住まいが必要です。CRAFTでは、荷物を一時的に保管するレンタルスペースとともに、仮住まいもご紹介しています。
最後に重要なのは、「フルリフォームに対応できる会社が少ないこと」です。フルリフォームは構造に関わる複雑な工事が多いため、経験豊富なリフォーム会社に依頼することが大切です。HPのデザインリフォーム事例を見て、どのような案件を得意としているかを見極めましょう。
フルリフォームのメリット
マンションのフルリフォームのメリット
マンションのフルリフォームの主なメリットは、以下になります。
ライフスタイル合わせた間取りにできる
好みのデザインにできる
ハイスペックな設備に交換できる
配管も交換できる
基本的に新築マンションの間取りは一般大衆向けのため、多少使いづらくても我慢するしかありません。しかしフルリフォームなら「理想の暮らし」にフィットする間取りにできます。たとえば廊下を取り込んでリビングを広げたり、玄関〜WIC〜キッチンの裏動線を設けたりと、効率的で暮らしやすい間取りが叶います。
「ホテルライク」「シンプルモダン」などインテリア雑誌で見るような空間も実現可能。CUCINAのオーダーキッチン、Mieleの食洗機といった、ハイスペックな設備も思うままに導入できる点は、フルリフォームならではのメリットです。
また古いマンションの配管は内部に錆が生じていることがありますが、フルリフォームでは交換できます。
戸建てのフルリフォームのメリット
戸建てのフルリフォームは、上記のマンションのメリットに加えて
建て替えよりも費用を抑えられる
既存状態をチェック&修繕できる
耐震性・断熱性を高められる
というメリットが得られます。
先述したように、フルリフォームは解体工事や基礎工事が不要なため、建て替えに比べて費用を抑えやすい傾向です。とくに躯体が頑丈な鉄筋コンクリート造(RC)や鉄骨造の住宅なら、建て替え費用の1/2程度に抑えられるケースも。その分の費用で内装グレードにこだわると、満足度がより高くなります。
また一旦スケルトン状態にするため、既存状態を確認しやすい点も、戸建てのフルリフォームの大きなメリット。劣化が進んでいれば補修できます。耐震補強や断熱材の充填もでき、住まいの悩みを一気に解決できます。内部の他にも屋根や外観、エクステリアなど広範囲でリフォームするため、内も外もすべて新築のように変わります。
フルリフォームでできないこと
まずは、フルリフォームでできないことについて解説します。
〈1〉構造部分の工事
戸建てもマンションも構造によってはフルリフォームできない場合があります。基本的に戸建てはリフォーム工事の自由度が高めですが、マンションは管理規約によってフルリフォームの範囲が制限されることもあります。
例えば、防音性を確保するために使用できる床材を制限している場合もあるので注意が必要です。他にも「梁に穴を開ける」といった構造躯体に関わる工事は管理規約で禁止されている場合がほとんどです。あらかじめ工事できる部分を確認しておく必要があります。
〈2〉共用部分の工事
戸建ての場合は問題ないのですが、マンションの場合は共用部分の工事もできません。エントランスや廊下などはもちろんバルコニーやベランダも共用部分となるため、基本的にフルリフォームはできないと考えておきましょう。自由に工事できるのはあくまでも専有部分のみ。
共用部分を勝手に工事してしまうと、他の住人にも影響が出てしまいます。あくまでも部分は「みんなのもの」という認識なので、工事することはできません。中古マンションの内見時は、エントランスやロビーなど「変えられない部分」もしっかりとチェックしておきましょう。
〈3〉階数の増設
戸建ての場合は階数の増設ができない場合もあります。一般的な住宅が建てられる住居専用地域は、法律により建築可能な物件が決められています。普通の住宅地に大型の工場や商業施設が建つと、生活環境が著しく悪化するからです。そこで、国では区域ごとに何用地域なのか決めています。その決まりに抵触する物件は建てられません。一部の地域によっては3階建ての住宅も建てられますが、4階建てなどの増設となると制限がかけられてしまうこともあります。
他にも、家を建てる際には以下のような制限を守らなければなりません。
・建蔽率:敷地面積に対する建築面積の割合
・容積率:敷地面積に対する延べ床面積の割合
・斜線制限:周辺の日照確保のために建物の高さを制限
以上の制限を満たしていない家は原則建てることはできません。フルリフォームの際には気をつけましょう。
〈4〉著しく老朽化した建物のフルリフォーム
築年数が経過した物件は老朽化が激しく、フルリフォームできない場合があります。あくまでもフルリフォームは骨組みだけ残して工事を進めるため、その骨組みの劣化があまりにも進んでいると、建て替えの方が現実的なことも。そのためフルリフォームの前に、物件自体の築年数や劣化状態がどれくらいなのかを調査しておきましょう。
フルリフォームでできること
次に、フルリフォームでできることについて解説します。
〈1〉増築/減築(戸建て)
フルリフォームでは、戸建ての増築・減築が可能です。子供や両親との同居で部屋数が必要となった場合は増築、老後に夫婦2人で生活する場合は部屋数もそこまで必要ないため減築して平屋にする選択肢もあります。
他にも屋根裏や階段下のデッドスペースを収納スペースに変更するなど、細かな改修工事ができるのもフルリフォームの魅力です。
〈2〉デザインの変更
フルリフォームはデザイン変更も可能です。内装はもちろん、外壁や外構、屋根などの気になる部分を一新できます。
マンションの場合は共有部分ではなく、内装のみのフルリフォームとなりますが、壁式構造といった構造上の制約がなければ基本的には自由に間取りと内装を変えられます。戸建てであれば内装も含めて自由にフルリフォームできるので、より理想を詰め込んだ住まいが可能です。
〈3〉耐震性/断熱性の強化
築年数が古くなると、耐震性や断熱性が低下するケースも珍しくありません。フルリフォームでは、住宅の耐震性や断熱性の強化を検討するチャンスです。
フルリフォームは耐震性・耐熱性も強化できるため、今後より安心して暮らしたい方にも最適です。特に何十年も前に建てた物件は災害に対する耐性基準が甘い時期に作られた住宅もあるため、一度耐震性・耐熱性の診断も含めてリフォーム会社に相談するのがおすすめです。
〈4〉間取りの変更
フルリフォームは間取りの変更は比較的自由です。人によって「部屋数を増やしたい」「部屋数を減らしたい」「キッチンの場所を変えたい」「吹き抜けを作りたい」などの要望がありますが、予算内であればどのような要望にも対応できます。
間取りの変更はリフォーム会社の腕の見せ所。より使い勝手のよい効率的な間取りにしてもらうためには、フルリフォームの実績や経験に富んだリフォーム会社に相談するのがおすすめです。
〈5〉設備のグレードアップ
フルリフォームであれば、各種設備の変更も可能です。例えば、フルリフォームでよく行われる工事が水回りの改修です。キッチンやトイレ、お風呂や洗面所などの水回りは老朽化しやすいため、定期的な工事が必要となります。フルリフォームを機に、CUCINAやkitchenhouseといった高級オーダーキッチンを取り入れる方も多くいます。他にも、フルリフォームではバリアフリー化や省エネ化に対応するための工事も可能です。
フルリフォームの費用相場
間取りを大きく変え、内装材はグレードアップ。配管や電気配線なども交換する「オーダーメイド」のフルリフォームをする場合、費用は下記を見ておきましょう。
マンション 30万以上/㎡
戸建て 40~50万円/㎡
妥協せず、納得のいくリフォームをする場合、100㎡のマンションなら3000万円以上、200㎡の戸建てなら8000万円はかかります。ただしフルリフォームの費用相場は、「リフォーム内容」「導入する設備や用いる建材のグレード」「(戸建ての場合)外まわりのリフォームの有無」に左右されるため、上記が該当しないケースはあります。
CRAFTのフルリフォーム事例を見て「リフォームでやりたいこと」に近いケースの費用を参考にするのもよいでしょう。
またCRAFTの青山・自由が丘モデルルームの相談会にご参加いただければ、「費用感」と「リフォームでできること」について、より具体的にお伝えできます。お気軽にご参加ください。
フルリフォーム工事のポイントと注意点
次に、改修工事のポイントと注意点について解説します。
〈1〉ある程度の予算を明確にする
フルリフォームは、あれこれとこだわりを詰め込むとあっという間に予算オーバーになります。そのため、ある程度の予算を明確にしておく必要があります。
予算は人によって違うので一概に言えませんが、無理のない範囲で設定しておくのが無難です。新たに住宅ローンを組む場合やリフォームローンを組む場合であっても、無理な返済計画の場合は金融機関も融資してくれない可能性があります。あくまでもローンを組む場合は無理のない返済計画を立てましょう。貯金から予算を捻出する場合であっても、予算は極力抑えて考えるのがおすすめです。
〈2〉やりたいことを明確にする
フルリフォームをする場合は、やりたいことを明確にすることも大切です。「あれもいい」「これもいい」と取り入れてしまうと、本当に自分が求めていた住宅にならない可能性があります。もちろん、プロからの助言は必要ですが、まず大前提として自分がどのような住宅を求めているのかを明確にしましょう。
フルリフォームするからには何かしらの要望があるはずです。その中で優先順位を決めていくことで、フルリフォームでやってもらいたいことが見えてきます。
〈3〉生活動線を意識したプランに
フルリフォームでは、ライフスタイルに合わせて間取りを一新することができます。「家事がしやすい導線」「寝室とバスルームの距離」など、これまでご不満だった生活導線を見直すチャンス。デザイナーにご自身やご家族の暮らしをイメージし、それに合った導線を提案してもらいましょう。
〈4〉リフォーム会社とイメージを共有する
フルリフォームはイメージを共有することがとても大事です。完成してから「思っていた物件と違う」となってしまいかねません。そのため、イメージは何度も共有しておくのがおすすめです。
例えばCRAFTでは、フルリフォーム完成後の空間をVR・CG画像で確認いただけます。VR・CG画像があればより具体的なイメージが掴めるため、イメージの共有にも最適です。
フルリフォームの事例
CRAFTのフルリフォームの事例を紹介します。
〈フルリフォーム事例1〉生活動線にこだわったゆとり空間 / マンション
港区にある132㎡のマンションを購入し、フルリフォームした事例です。
廊下をなくし、水回りを一箇所にまとめることでリビング・ダイニングを拡大。床には栗のフローリング、壁には珪藻土を使用し、自然素材の温もり感じる空間に仕上げています。
リビングサイドの小上がりやバスルーム、家事スペースなども素材感にこだわり、どこにいてもおだやかに過ごせる美しい住まいに。
〈フルリフォーム事例1〉人と猫が心地よく過ごす家 / マンション
人だけでなく愛猫にとって快適な環境にも配慮しながら、クラフトでデザインリフォームしました。
LDKはアイランドキッチンを中心とし、広く一体感のある空間に。部屋のどこからでも広く開けた眺望を楽しめると同時に、玄関ホール〜洗面室〜LDKの回遊動線を確保。
リビングの壁面にはキャットステップを設け、書斎コーナーの壁も階段状とし、天井のキャットウォークへ移動できる「猫の動線」をレイアウト。人はもちろん、猫も自由に回遊できる住まいとなりました。
〈フルリフォーム事例3〉ゆとりあるリビングスペース / 戸建て
長年お住まいの世田谷区のご自宅は、お子さまの独立を機にフルリフォームしました。
ルーフバルコニー部分を室内に取り込み、リビングスペースを拡大。現行の建築基準を是正した上で確認申請を行い、増築しています。
リビング側はあえてダウンフロアとし、ダイニング・キッチンとさりげなくゾーニングしたこともポイントです。心地よい窓の景色を感じながら、ご夫婦でゆったりと過ごせるようになりました。
〈フルリフォーム事例4〉木と石に包まれた邸宅 / 戸建て
大田区にある中古の戸建てを購入し、フルリフォームした事例です。
リビング・ダイニング・キッチンが分かれて窮屈なイメージだったため、壁を撤去し開放感あふれるLDKに。テラスのグリーンが空間をあざやかに彩ります。
床はオーク、壁は国産の白河石と、上質な素材にこだわりました。arflexのダイニングテーブルなどモダンなアイテムが調和する美しい住まいとなっています。
〈まとめ〉フルリフォーム実績豊富な会社へ相談が◎
フルリフォームには「できないこと」「できること」があるため、事前に把握しておくことが大切です。戸建てなのかマンションなのかで工事の内容も変わってくるので、リフォーム会社に聞くのが早いでしょう。
これまで多くのフルリフォームに対応してきたCRAFTなら、構造別に何ができる・できないの判断がスピーディー。完成後のイメージもVR・CGで共有するため、より理想の住宅を想像しながら形にしていくことが可能です。
フルリフォームをお考えの方は、お気軽にご相談ください。
<著者>CRAFT 編集部
一級建築士・二級建築士・インテリアコーディネーター・一級建築施工管理技士・二級建築施工管理技士・宅地建物取引士が在籍。さまざまな知識を持つプロフェッショナル集団が、リノベーションや物件購入についてわかりやすく解説します。