目次
基本的にはマンションの最上階にあり、「吹き抜け」や「スケルトン階段」が魅力のメゾネットマンション。とても惹かれる物件ですが、本当に買って大丈夫でしょうか? 今回は、メゾネットタイプのマンションの特徴や、メリット・デメリットについてご紹介します。
メゾネットタイプのマンションとは?
メゾネットタイプのマンションとは、どのようなマンションのことを言うのでしょうか。また、メゾネットタイプのマンションと混同しやすい「ロフト付きマンション」についても解説します。
メゾネットタイプのマンションの特徴
メゾネットタイプのマンションとは、2階以上のフロアからなる居住空間に内階段を設けたマンション物件のことをいいます。戸建住宅さながらに自由に空間が使えるため、高い人気を誇っています。
タワーマンションの最上階や、デザイナーズマンションなどで見られることが多く、ワンフロアの物件に比べると数が少ないため、希少価値が高い物件と言えるでしょう。
ロフト付きマンションとの違い
メゾネットタイプのマンションとロフト付きマンションの違いは、空間に対する制限の有無です。
建築基準法において、それぞれのマンションは次のような違いがあります。
・メゾネット:居室として認められている空間
・ロフト:居室として認められていない空間(建築基準法上では「小屋裏物置等」)
これによりロフトでは、エアコンや窓の設置は不可。面積も「居室部分の半分未満」にしなければいけません。これに対してメゾネットは、建築基準法において「居室」として認められているため、このような制限はありません。
メゾネットタイプのマンション、間取りのメリット4つ
メゾネットタイプのマンションにおける間取りのメリットは、次の4つです。
・プライベート空間を確保できる
・開放的に過ごせる
・騒音トラブルになりにくい
・日当たりが良く、邸内が明るい
それぞれを詳しく見ていきましょう。
【メリット1】プライベート空間を確保できる
メゾネットタイプの最大の特徴は、プライベート空間の確保にあります。通常、マンションの間取りはワンフロアが多く、家族が過ごす空間と来客用のスペースには明確な線引きがされてません。
これに対し、メゾネットタイプのマンションなら間取りを区切ることが可能。たとえばメゾネットの1階部分をリビングダイニング、2階部分を寝室などプライベート空間にすれば、急な来客でもプライベート空間を隠せるので安心です。
【メリット2】開放的に過ごせる
メゾネットタイプのマンションには、戸建て住宅に負けないくらい開放的に過ごせます。
マンションの最上階が多いメゾネットタイプは、眺望はもちろん文句なし。吹き抜けや螺旋階段のある間取りも多く、居住空間の高さや意匠性が開放感のある生活をさらに色付けします。
【メリット3】騒音トラブルになりにくい
メゾネットタイプのマンションにおいて、階下の住人と騒音トラブルになるのはごく稀です。
メゾネットタイプのほとんどは、マンションの最上階にあります。そのため、メゾネットにおいてペットや子供の足音、楽器の演奏音などがしても、1Fにいる家族が我慢すればよく、階下の住人に迷惑はかかりません。
【メリット4】日当たりが良く、邸内が明るい
メゾネットタイプの邸内は、日当たりが良く明るさを保てるといった特徴があります。
前述の通りメゾネットタイプはマンションの最上階に多いため、日当たりの良さは申し分なし。それに加えて、吹き抜けのある間取りなら日中電気を点ける必要はありません。
メゾネットタイプのマンション、間取りのデメリット4つ
一方、メゾネットタイプのマンションにおける間取りのデメリットは、次の4つです。
・邸内の温度調整がむずかしい
・光熱費が高くなりやすい
・家具などの搬入が大変
・ネット環境が悪くなることも
なおこれらのデメリットは、メゾネットタイプ同様に戸建て住宅にも多く見られるため、そこまで深刻にとらえる必要はありません。それでは、ひとつずつ見ていきましょう。
【デメリット1】邸内の温度調整がむずかしい
天井が高く吹き抜けなどがあるメゾネットタイプは、邸内の温度調整に気を配ることが大切です。エアコンの冷暖房が効きにくいと感じる場合には、扇風機やホットカーペットなども併用しましょう。
【デメリット2】光熱費が高くなりやすい
広い空間を持つメゾネットタイプでは、フラットタイプのマンションに比べて光熱費が高くなりがちです。冷暖房をエアコンに頼るだけでなく、こまめにドアを開閉したり、扇風機などを利用して空気を動かしたりして、邸内における空調の効率を高めるように工夫しましょう。
【デメリット3】家具などの搬入が大変
メゾネットタイプでは、2階部分に家具を搬入するのが困難になります。引っ越しや家具の入れ替え時に困らないように、階段の幅などを測っておきましょう。
【デメリット4】Wi-Fiが届きにくいことも
間取りが広く、縦に分かれているメゾネットタイプでは、邸内にいてもWi-Fiが届きにくい場合があります。対策としてルーターの増設や、ポケットWi-Fiを検討してみましょう。
メゾネットタイプのマンションのリノベーション事例3つ
ここでは、メゾネットタイプのマンションをCRAFTでリノベーションした事例を3つ紹介します。メゾネットならではの2フロアを上手く活かした間取りがポイントです。
【事例1】東京都の中古マンションをリノベーション
開放感のあるLDKにリノベーションするには、防火区画の基準を満たすことが条件。地元の消防署に相談し、たくさんの自然光が差し込む広々とした空間を実現しました。さらに2階の吹き抜けに面した腰壁をなくすことで、1階LDKとのつながりを演出。別々のフロアで過ごしていても、家族の気配が伝わります。
【事例2】港区の中古マンションをリノベーション
高さのある勾配天井を活かし、クローズドキッチンをオープンにすることで一体感のある空間を演出。二面に渡り大きな窓に包まれたLDKは、申し分のない自然光が日中の明るさを保ち、眺望までが部屋の一部かという錯覚に陥ります。階下には寝室やバスルームなどプライベート空間をレイアウト。メゾネットマンションの特性を活かし、バブリックトプライベートを明確にゾーニングしました。
【事例3】渋谷区の中古マンションをリノベーション
上下に分かれることが特徴のメゾネットタイプに対して、リノベーションのテーマは「ワンルーム」。
1階は玄関から奥の窓まで、2階においては寝室から吹き抜けまで、一貫して視線が通るようにプランニング。吹き抜けに面した2階の壁をなくすことで、1階と2階がゆるやかにつながりワンルームのような印象を与えています。
メゾネットタイプのマンション内見時のチェック事項5つ
ここでは、メゾネットタイプのマンションを内見する際にチェックすべき事項を5つご紹介します。しかし、現状がこの通りになっていなくても、ほとんどリノベーションで解決できるので安心してください。
メゾネットタイプのマンション内見時のチェック事項は、次の5つです。
・階段の昇降
・防音性
・収納量
・水まわりの利便性
・家具の搬入経路
それぞれ、ひとつずつ見ていきましょう。
【1】階段の昇降
実際に階段を昇り降りした時の、身体への負担を確かめましょう。小さいお子さんを抱っこしながらの昇降や、別居する高齢の親でも昇降に無理がないかを視野に入れることが大切です。
【2】防音性
ペットや楽器の演奏で「音」を発生させる恐れがある場合は、マンションの住人に迷惑がかからないように、事前に住まいの防音性を確かめておきましょう。
【3】収納量
収納量の確認だけではなく、メゾネットタイプならではのデッドスペースの活用方法なども検討しましょう。
【4】水まわりの利便性
洗濯機置き場とバルコニーが同じ階にあるかなど、家事の動線をイメージして水まわりの利便性をチェックしましょう。同じ階に玄関とトイレがあると、来客時にとても便利です。
【5】家具の搬入経路
大きい家具の搬入に困らないように、階段やドアの寸法を測っておきましょう。
【まとめ】メゾネットマンションの物件探しとリノベーションはクラフトへ
今回は、メゾネットタイプのマンションの特徴や、メリット・デメリットなどをご紹介しました。
メゾネットタイプのマンションは、個性的な間取りでメリットが多い反面、戸建て住宅に似たデメリットも持ち合わせています。しかしこれらのデメリットは、ほとんどの場合リノベーションで克服できます。
メゾネットタイプのマンションにおいて、リノベーションとはデメリットの解消だけではなく、住まいの快適性や安全性を向上させる手段です。メゾネットタイプのマンション探しからリノベーションまで、ぜひ一度CRAFTまでお声がけください。
<著者>CRAFT 編集部
一級建築士・二級建築士・インテリアコーディネーター・一級建築施工管理技士・二級建築施工管理技士・宅地建物取引士が在籍。さまざまな知識を持つプロフェッショナル集団が、リノベーションや物件購入についてわかりやすく解説します。