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近年ますます人気が高まってきているスケルトンリフォーム。どのようなメリット・デメリットがあり、いくらかかるのでしょうか? 事例やおすすめのケースにも触れながら、わかりやすく解説します。
(作成日2023.12.18 更新日2025.2.25)
スケルトンリフォームとは?

スケルトンリフォームとは、一旦住宅の床や壁、天井などを取り払い、構造躯体のみの状態にしてから改修するリフォーム方法です。
スケルトンリフォームであれば、難しい大幅な間取り変更や大胆なデザインの変更にも対応可能です。部分リフォームではできないことが可能になるため、建て替えと比較検討される方も多くいます。
マンションでのスケルトンリフォームの場合
マンションのスケルトンリフォームでは、専有部分の床や壁を解体して撤去し、改修していきます。注意したのが、リフォームできるのは「専有部分のみ」という点です。
マンションには専有部分と共用部分があり、共用部分をリフォームすることはできません。
マンションの専有部分 | マンションの共用部分 |
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部屋の内部(構造躯体の内側) 玄関ドアの内側も専有部分にあたる | ベランダ、窓、PS(パイプスペース)など 玄関ドアの外側も共用部分にあたる |
戸建てのスケルトンリフォームの場合
戸建てのスケルトンリフォームもマンション同様、既存の壁や床、天井を解体して撤去し、駆体の状態にしてから進めていきます。ただ、戸建てには共用部分がないため、リフォームの対象となる範囲がマンションよりも広く、できることも充実しています。
また、耐震補強工事や、屋根や外壁など住宅の外側の工事を同時に行うことも可能です。
フルリフォーム・フルリノベーションとの違い
紹介してきたとおり、スケルトンリフォームは、部分リフォームや表層リフォームに比べて大規模なリフォームです。
「大規模なリフォーム」という意味で、「スケルトンリフォーム」と「フルリフォーム(リノベーション)」は同じですが、間取りを変更せずに家全体の内装だけをリフォームするケースでも「フルリフォーム」と謳っているリフォーム会社もあります。定義はリフォーム会社ごとに異なるため、スケルトンリフォームやフルリフォームをご希望の方は、事前に確認しましょう。
CRAFTでは「スケルトンリフォーム」「フルリフォーム(リノベーション)」はどちらも、「一旦躯体以外を解体し、いちから構築する大規模リフォーム」としています。
スケルトンリフォームがおすすめなケース

部分リフォームではなく、スケルトンリフォームがおすすめなケースとしては以下のようなケースがあげられます。
築年数が古く、住まいが老朽化している
築年数が古く、住まいの老朽化が進んでいる住宅には「建て替え」という選択肢もありますが、構造部分がしっかりしているのであればスケルトンリフォームがおすすめです。
建て替えは既存の住宅を一度完全に解体しなければならない分、建築費用が割高になります。一方で、スケルトンリフォームなら既存の躯体を活かすため、経済的です。もし躯体の状態がよいなら、スケルトンリフォームを検討してもよいでしょう。
間取りが家族構成やライフスタイルに合っていない
「子どもが生まれた」「親と同居することになった」など、家族構成やライフスタイルが大きく変化するときは、スケルトンリフォームで間取りを変更するのがおすすめです。
スケルトンリフォームは、既存の壁や床、天井を撤去し、駆体の状態でリフォームするため、間取り変更もスムーズ。構造上、間取りの変更に制限がかかることもありますが、比較的自由に変更できます。
耐震性・断熱性が低い
スケルトンリフォームは住宅の床や壁を撤去してから改修するため、耐震工事や断熱工事をスムーズに行えます。
スケルトンの状態にしてから断熱材を充填したり、補強工事をしたりすることで、より安全かつ快適に過ごせる住まいになります。
スケルトンリフォームのメリット

大規模なリフォーム方法であるスケルトンリフォームには、以下のようなさまざまなメリットがあります。
1. 間取りを大きく変更できる

既存の床や壁を撤去して駆体だけの状態にしてから改修するスケルトンリフォームは、大胆な間取りの変更にも対応できます。例えば、使っていない部屋を取り込んでリビングを拡大したり、収納などをなくして部屋数を増やすことも可能です。
また、マンションリフォームではキッチンやトイレ、浴室などの水まわりの移動が難しいとされていますが、スケルトンリフォームなら、水まわりの移動もしやすくなります。
2. 耐震補強・断熱・防音対策ができる

スケルトンリフォームをする際は構造部分が露出するため、スムーズに耐震補強・断熱工事、また防音工事もできます。
内装などの通常のリフォームと同時に行うことで効率的に進められるようになり、別々のタイミングで行う場合に比べても、費用を抑えやすくなります。
構造によって補強や断熱方法は異なるため、詳しくはCRAFTへお問合せください。
3. 配管・配線・ダクトなどの劣化箇所をまとめて修繕できる

スケルトンリフォームには、「配管や配線、ダクトなど普段は床や壁に隠れている部分の状態を確認できる」という大きなメリットもあります。
それらの箇所に劣化や不具合が見つかったときは、リフォームと一緒にまとめて一新できます。それぞれ別々のタイミングでリフォームするケースに比べて、費用も抑えやすくなります。
4. 新築や建て替えよりも費用を抑えられる

新築は構造部分から建設する必要があり、建て替えはそれに加えて解体費用がかかります。一方、スケルトンリフォームは既存の構造部分を活用するため、新築や建て替えに比べて費用を抑えやすくなります。
ここ数年は建築コストが高騰していることを考えると、木造・鉄筋コンクリート・鉄骨造の住宅リフォームは、建て替えの1/2程度の費用で済むケースも少なくありません。
5. 現在の建物の面積を保ったままリニューアルできる

敷地いっぱいに建てられている既存不適格建築物の建て替えは、面積が今よりも狭くなることがあります。スケルトンリフォームは既存の建物をそのまま活用してリフォームするため、現場の広さを維持できます。
今の住宅の面積を保ったまま、住宅のイメージや間取りを変えることが可能です。

スケルトンリフォームのデメリット
さまざまなメリットがあるスケルトンリフォームですが、いくつかデメリットもあります。
1.部分リフォームよりも高額になりやすい
スケルトンリフォームは、部分的なリフォームに比べてできることが多い分、費用が高額になりやすいというデメリットがあります。
実際の費用はリフォームの内容や導入する設備によって異なりますが、数千万円単位の費用がかかるので、その点をよく理解した上で資金計画を立てましょう。スケルトンリフォームでやりたいこと、こだわりたい部分の優先順位をしっかりと決めて、コストバランスを図ることが大切です。
2.工期が長くなりやすい
スケルトンリフォームの工期は、最低でもマンションなら3ヶ月〜、戸建てなら4ヶ月〜はかかると考えておきましょう。
工事期間がリフォーム会社の長期休暇と重なったり、マンションの管理組合によって工事の時間が厳しく制限されている場合は工期が長くなることも。CRAFTでは事前に管理規約を確認した上で、工期をお伝えします。
3.工事期間中は住み続けることができない
スケルトンリフォーム工事期間中は対象となる物件に住み続けることができません。最低でも3〜4ヶ月の間は、仮住まいを用意して、そこで生活することになります。
実際に工事が始まってから焦らないよう、仮住まいの用意や引っ越しなどの準備も進めておくようにしてください。
4.構造や規約によっては、リフォームの内容が制限される
壁式構造のマンションは、構造壁を撤去できないため、間取りが制限されてしまうケースがあります。また、管理規約によって使用する床材や工事の範囲が決められているるケースも珍しくありません。とくに高級マンションやヴィンテージマンションは、その傾向が高くなります。
戸建ても同様に、鉄筋コンクリート(RC)の壁式構造だと間取りが制限されることも。その場合は構造計算の上、部分的に開口することもできますが、耐震性が低下しないように慎重に行う必要があります。また鉄骨造のブレース構造は壁を撤去しても、ブレースが残るため、インテリアに馴染むカラーで塗装するといった工夫が必要です。
スケルトンリフォームにかかる費用の相場
マンションで間取りを大幅に変更し、材料と器具をグレードアップ、設備配管や電気配線もすべて交換する上級グレードのスケルトンリフォームなら「35万円/㎡〜」を見ておくとよいでしょう。
戸建てを比較的高品質なグレードでスケルトンリフォームするとなると、木造は「30万円/㎡~」、RC造・鉄骨造は「35万円/㎡〜」ほどの費用感になります。
例として、30坪のマンションや戸建てをスケルトンリフォームするときの費用相場は「3,450万円」ほどです。
ただし、こちらは高級リフォームの費用相場で、「リフォーム内容」「導入する設備や用いる建材のグレード」「(戸建ての場合)外まわりのリフォームの有無」にも影響されるため、必ずしも上記が該当するとは限りません。
CRAFTのリフォーム事例を見て「広さ」「リフォームでやりたいこと」に近いケースの費用を参考にする方法もおすすめです。
またCRAFTの青山ショールーム・モデルルームの相談会にご参加いただければ、「費用感」と「リフォームでできること」について、より具体的にお伝えいたします。
スケルトンリフォームのQ&A
最後に、スケルトンリフォームに関するよくある質問をQ&Aの形式で紹介していきます。
Q スケルトンリフォームができない場合はありますか?
状況により、工事に制限が生じることはあります。
例えば、壁で建物を支える壁式構造のマンションには撤去できない壁があるため、間取りを自由に変更することができません。また、マンションの管理規約によってリフォームの範囲や使用できる建材に制限されることも。CRAFTでは制約を守りながら、ご希望の間取りを叶えられるプランをご提案しています。
Q スケルトンリフォームは何年くらいもちますか?
スケルトンリフォームをした後に何年住み続けられるかはそれぞれのケースによって異なります。ただ、新築時にきちんと施工され、適切にメンテナンスを行っていれば、100年以上住み続けることも可能です。
例えば、常に頑丈な構造の鉄筋コンクリート造の住宅は、適切にリフォーム・メンテナンスをすることで、120年以上住み続けられるとされています。
Q スケルトンリフォームをすると固定資産税が上がりますか?
住宅のリフォームには、固定資産税に影響するものとしないものがありますが、スケルトンリフォームすると固定資産税が上がると考えておくべきです。
スケルトンリフォームは大規模なリフォームで、住宅の評価額に影響を与える可能性が高いため、固定資産税が上がる可能性も高くなります。
Q スケルトンリフォームに利用できるローンにはどんなものがありますか?
スケルトンリフォームで利用できるローンには「住宅ローン」と「リフォームローン」があります。リフォームには住宅ローンを使えないと考えられがちですが、物件購入と同時にリフォームする場合であれば、スケルトンリフォームの費用までまとめて住宅ローンで借入れることができます。
Q スケルトンリフォームをして失敗したり後悔するケースもありますか?
スケルトンリフォームをして失敗したり後悔するようなケースは少なくありません。
- ・イメージどおりの仕上がりにならなかった
- ・やりたい間取りにできなかった
- ・予算を大幅にオーバーしてしまった
など、失敗や後悔の理由はさまざまですが、スケルトンリフォームの失敗の要因の一つに「リフォーム会社選びの失敗」「事前の打ち合わせの不足」などが挙げられます。
理想の住まいを確実に形にしてくれるリフォーム会社を探し、綿密に打ち合わせしながら取り組むことが大切です。
〈まとめ〉スケルトンリフォームで理想の住まいを実現しよう
築年数が古くて劣化が進んでいたり、家族構成やライフスタイルにあわせて間取りを変更したいときにはスケルトンリフォームがおすすめです。
CRAFTでは、細部にまでこだわったワンランク上のスケルトンリフォームを提供しています。
現在お住まいの住宅のスケルトンリフォームだけでなく、物件の購入からスケルトンリフォームまでトータルでサポートさせていただくことも可能ですので、ぜひ、お気軽にご相談ください。



<著者>CRAFT 編集部
一級建築士・二級建築士・インテリアコーディネーター・一級建築施工管理技士・二級建築施工管理技士・宅地建物取引士が在籍。さまざまな知識を持つプロフェッショナル集団が、リノベーションや物件購入についてわかりやすく解説します。