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フルリノベーション(大規模リフォーム)は骨組みだけ残し、他の部分を大規模にリノベーションすること。築年数が経過した物件でも、フルリノベーションで大胆に生まれ変わります。この記事ではフルリフォームはいくらかかるのか、新築と比べた費用について解説します。
(作成日2023.10.11 更新日2024.11.19)
フルリノベーションとは? フルリフォームとの違いを解説
フルリノベーションは、建物の内装や既存の設備を撤去して骨組みの状態にしてから行う大掛かりな改修工事です。住宅を一度解体して骨組みの状態にしてから全体的に改修していくので、中古物件でもイメージ通りの住まいを実現できるという大きなメリットがあります。
「フルリフォーム」などと表現されることもありますが、違いはなく、「フルリノベーション=フルリフォーム」と認識して問題ありません。
一方、リフォームとリノベーションには以下のような違いがあります。
・リフォーム:劣化した建物や設備を新築に近い状態に戻す
・リノベーション:間取りとデザインを大きく変更し、住まいの価値を高める
フルリノベーションできること・できないこと
フルリノベーションでできること
住宅のフルリノベーションでは、以下のようなことができます。
・デザインの変更
・間取りの変更
・設備のグレードアップ
・耐震性・断熱性の強化
・増築・減築(戸建て)
住宅のフルリノベーションでは、内装はもちろん、屋根や外壁、外構に至るまで、さまざまな箇所のデザインを変更できます。マンションは専有部分である内装のみとなりますが、間取りの変更など大規模な変更にも対応可能です。
既存の住宅設備を新しいものに取り替えることも可能ですし、断熱リフォームも行えます。フルリノベーションを機に、CUCINAやkitchenhouseの高級オーダーキッチンなど、憧れの設備を取り入れるお宅も少なくありません。
戸建ては耐震工事も可能ですし、増築や減築などの大掛かりな工事にも対応できます。
フルリノベーションでできないこと
戸建てやマンションのフルリノベーションでは、以下のようなことはできません。
・構造部分の工事
・階数の増設(戸建て)
・著しく老朽化した建物のフルリフォーム(戸建て)
・共用部分の工事(マンション)
フルリノベーションは、構造躯体を残しつつ、屋根や外壁、内装などを解体して行う工事なので、主な対象は構造部分以外になります。
戸建てのフルリノベーションでは、階数の増設に制限がかけられてしまったりすることもありますし、構造部分の劣化が進んでいる物件では建て替えの方が現実的という判断になることもあります。
一方、マンションのフルリノベーションでは、専有部分のリノベーションはできますが、廊下やベランダ、バルコニーなど共有部分のリノベーションはできません。また、「床材の変更禁止」など、管理規約によってフルリノベーションの内容が制限されることもあります。
フルリノベーションでかかる費用を解説
住宅をフルリノベーションする上で気になるのが、リノベーションにかかる費用について。
CRAFTでフルリノベーションした方の事例を参考にしながら、費用の相場や内訳、新築や建て替えよりも割高になるケースについて解説していきます。
フルリノベーションでかかる費用相場
戸建ての場合、妥協せずにやりたいことを思いっきりやる際のフルリノベーション費用は「40~50万円/㎡」を見ておくと安心です。エクステリアも含めてオーダーメイドでこだわりのあるります。CRAFTはが可能です。
一方、マンションのフルリノベーションにかかる費用の相場は以下のとおりです。
㎡単価 | 主なリフォーム内容 |
---|---|
10万~20万円/㎡ | 間取りは既存を利用し、低価格の材料・器具で一通りきれいに。見えなくなる設備配管や電気配線などはできる限り活用します。 |
20万~30万円/㎡ | スケルトンにして間取り変更し、全てを標準レベルの材料・器具に交換。見えなくなる設備配管や電気配線も全て交換します。 |
35万以上/㎡ | スケルトンにして間取りを大幅に変更し、全てハイレベルな材料・器具に交換。見えなくなる設備配管や電気配線も全て交換するため安心です。ほぼオーダーメイドでデザインにこだわることができます。 |
ただし、こちらはあくまでも目安であり、戸建てにしてもマンションにしても、既存の住宅の状態やフルリノベーションの内容、用いる建材や設備のグレードなどによって費用感が大きく変化します。
CRAFTの青山・自由が丘モデルルームの相談会にご参加いただければ、「費用感」と「リフォームでできること」について、より具体的にお伝えできます。お気軽にご参加ください。
*関連コラム*
中古戸建てのフルリノベーションの費用はいくら?既存を活かしてコストを抑えるコツ
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フルリノベーション(大規模リノベーション)でかかる費用の内訳
ここからは、フルリフォーム(大規模リノベーション)でかかる費用内訳について解説します。
費用の内訳としては以下の通りとなります。あくまでも一般的な相場であり、リノベーション会社や工事内容によって費用が変わる点についてはご注意ください。
※CRAFTは下記が該当しない場合があります。
※フルリフォームのみに対応しています。
屋根・外装 | 100万円〜 |
内装 | 60万円〜 |
フローリング | 100万円〜 |
サッシ | 50万円〜 |
耐震・断熱 | 100万円〜 |
新築より割高になる可能性はある?
「せっかくフルリフォームするなら間取りを思いっきり変えたい」「無垢の木やタイルなど素材感にこだわりたい」「ハイスペックなキッチンを入れたい」など、設備や内装のグレードアップを考えている場合は、その分、費用が高くなります。
1か所ごとの費用は数十万円〜数百万円ほどでも、それが積み重なると最終的には数千万円を超えることも珍しくありません。
リノベーションで予算が限られている場合は「やりたいこと」に優先順位をつけるのがおすすめです。
・間取り変更
・素材
・設備(キッチンや浴槽など)
・性能(断熱や防音など)
その中で、「譲れないもの」「妥協できるもの」を考えてみましょう。たとえば「リビングは無垢のフローリングだけど、寝室は合板にする」といった方法で、コストバランスをとることもできます。デザイナーに相談しながら優先順位を決めていきましょう。
フルリノベーションの3つのメリット
住宅のフルリノベーションを検討する上で把握しておきたいのが、フルリノベーションのメリットとデメリットについて。フルリノベーションするべきかどうかで悩んでいるのであれば、メリットとデメリットの両方を把握して比較しましょう。
住宅をフルリノベーションするメリットとしては、
・理想の住宅を実現できる
・建て替えに比べてコストを抑えやすい
・(中古購入+リノベの場合)物件の選択肢が増える
などがあげられます。
それぞれのメリットについて詳しく解説していきます。
1. 理想の住宅を実現できる
理想の住宅を実現できる点は、フルリノベーションの大きなメリットの一つです。
フルリノベーションは住宅を骨組みの状態にしてから改修していくので、間取りの変更を含め、さまざまなリノベーションに対応できます。住宅の構造などによってリノベーションの内容に制限が出てくることもありますが、注文住宅を建てるときのような感覚で理想の住宅を追求できるのはフルリノベーションならではです。
2. 建て替えに比べてコストを抑えやすい
フルリノベーションは規模の大きな改修工事なので、部分的なリノベーションに比べると費用は割高です。ただ、新築したり建て替えたりする場合に比べると、コストを抑えやすいというメリットがあります。とくに躯体が頑丈な鉄筋コンクリート造や鉄骨造であれば、建て替え費用の約1/2。リノベーションなら既存の構造躯体を活かすため、建物の撤去費用や躯体工事費用をカットできるからです。
コストがかかる新築や建て替えにこだわってやりたいことを我慢するよりも、コストを抑えやすいフルリノベーションでやりたいことを思いっきりやって理想の住まいを実現する方が満足度は高くなります。
3. (中古購入+リノベの場合)物件の選択肢が増える
フルリノベーションを前提に物件を購入する場合、既存の間取りやデザイン、設備にこだわる必要がありません。
そうなると「間取りが合わない」「デザインが好みじゃない」といった物件も候補の一つに。購入する物件の選択肢がかなり広がります。条件が緩和されることで希望エリアで予算内の物件が見つかりやすくなる点は非常に大きなメリットだと言えるでしょう。
フルリノベーションの3つのデメリット
住宅をフルリノベーションする上でメリットよりも重要になってくるのがデメリットです。
住宅をフルリノベーションするときに注意するべきデメリットとしては、以下の3点があげられます。
・費用が高額になりやすい
・工期が長い
・工事中は仮住まいの必要がある
それぞれのデメリットについて詳しく解説していきます。
1. 費用が高額になりやすい
フルリノベーションは、住宅全体を改修する大規模な工事です。住宅の一部や特定の設備を対象にしたものでなく、住宅全体を造り変えていくので、費用が高額になりやすいというデメリットがあります。
費用については事例を含めて後ほど詳しく解説していきますが、数千万円規模のコストがかかるという点は理解しておかなくてはいけません。新築の購入や建て替えよりもコストを抑えやすいのは事実ですが、リノベーションの内容や建物の状態によっては、新築や建て替えと変わらない額になることも。資金計画の立て方や内容がより重要になってきます。
2. 工期が長い
工期の長さもフルリノベーションならではのデメリットの一つです。
フルリノベーションは、既存の住宅を解体して骨組みの状態にした上で改修していくので、どうしても工期が長くなってしまいます。工事の内容にもよりますが、短くても2ヶ月はかかりますし、長い場合だと5ヶ月ほどかかることもあります。
壁や床の張替え、キッチンの交換などの部分的なリノベーションの工事が数日から一週間ほどで完了することを考えると、フルリノベーションの工期はかなり長いと言えるでしょう。
3. 工事中は仮住まいの必要がある
フルリノベーションでは住宅を全体的に改修するので、工事期間中は住宅に住み続けることができません。工事が完了するまでの間は、仮住まいをする必要があります。
工事が完了するまでの仮の住まいとは言え、契約金や引っ越し代などを含めると結構な金額になりますし、工期が長い分、家賃も数ヶ月分用意する必要があります。
資金計画を立てる際は、工事期間中の仮の住まいを借りる際の契約金や家賃も含めながら考えるようにしましょう。CRAFTでは仮住まいやトランクルームのご紹介を含め、リノベーションに関することはどんなことでもサポートしています。
フルリノベーションの費用を予算内に抑えるコツ
戸建てやマンションのフルリノベーションの費用を予算内に抑えるには、以下の4点を意識することが大切です。
・既存の設備や間取りをなるべく活かす
・やりたいことの優先順位を決めておく
・建材や設備のグレードを見直す
・補助金や減税を利用する
フルリノベーションの最大の魅力は、既存の住宅を大きく変えられるところにありますが、入れ替える設備ややることが多くなるほどコストがかさみます。コストを抑えるには、「やりたいことの優先順位」を事前に決めておいたり、既存の設備や間取りを活かすことも大切です。
また、建材や設備のグレードが上がれば上がるほど費用が膨らんでいくので、妥協できる建材や設備についてはグレードを見直すのもおすすめです。また補助金や減税などの制度もチェックしておくのもよいでしょう。
フルリノベーションの流れと工事にかかる期間
戸建てやマンションをフルリノベーションする際の工事の流れや期間はリフォーム会社によって異なりますが、CRAFTにフルリノベーションをご依頼いただく際の流れと工期は以下のようになります。
工数 | 概要 |
---|---|
ご相談 | ・現地調査 ・ヒアリング |
基本プランの作成・見積り | ・基本プランの作成 ・概算見積り ・VRの作成 |
設計契約・詳細打ち合わせ | ・設計契約の締結 ・詳細の打合せ ・実施設計図の作成 ・予算調整 ・再見積書の提示 |
工事請負契約・着工 | ・請負契約の締結 ・本着工 ・中間検査 ・完了検査 |
お引渡し | ・仕上がりなどの確認 ・設備機器などの取り扱いに関する説明 ・各メーカーの保証書のお渡し ・工事中写真のお渡し |
※工程1〜3(戸建て:約2〜3ヵ月、マンション:約2〜3ヵ月)、工程4〜5(戸建て:約3〜5ヵ月、マンション:約2〜5ヵ月)
住宅をリノベーションするときの流れは、戸建てであってもマンションであっても変わりません。工期は、若干マンションの方が短くなりやすい傾向があります。
フルリノベーションは大規模な工事になるため、工期は長くなりがちです。戸建てやマンションをフルリノベーションする際は、その点を踏まえた上で、リノベーション会社に早めに相談しましょう。
フルリノベーションの事例
最後に、CRAFTのフルリフォームの事例を紹介します。
〈フルリノベーション事例1〉ナラのリブでくつろぎの空間に
フルリノベーション ではキッチンをオープンにして小上がりを取り込み、LDKを拡大。インテリアは明るくナチュラルなテイストにしつつ、ナラのリブパネルを中心に質感の異なる木を使用。木の「素朴さ」よりも「洗練さ」が際立つよう、シャープなシルエットを意識したこともポイントです。
リフォーム面積:120㎡
費用:5500万円
〈フルリノベーション事例2〉シンプルかつ洗練された住まいに
2つの個室とゆとりあるLDK、リビングの一角には景色を眺めながら開放的に仕事ができる「オープンのワークスペース」も設置。床のグレーのタイルや壁の石をアクセントにしながらも、ミッドセンチュリーの家具や照明、アートが際立つシンプルなデザインを採用。インテリアも自在に変更できるよう、家具を自由にレイアウトできる「余白」を重視しました。
リフォーム面積:83㎡
費用:2600万円
フルリノベーションの注意点
実際に住宅をフルリノベーションする際は、以下の点に注意が必要です。
・実績豊富なリノベーション会社に依頼する
・工事中のトラブルに気をつける
それぞれ詳しく解説していきます。
実績豊富なリノベーション会社に依頼する
住宅のリノベーションを行っているリノベーション会社はいくつもありますが、会社によって得意としている工事の内容が異なるため注意が必要です。
例えば、マンションのリノベーションを得意としているところもありますし、フルリノベーションが得意で実績が豊富という会社もあります。
フルリノベーションを得意としていて実績が豊富な会社は、住宅のフルリノベーションに関する知識やノウハウが豊富。フルリノベーションについて相談するのであれば、断然フルリノベーションの実績が豊富な会社に相談するべきです。
工事中のトラブルに気を付ける
住宅のフルリノベーションでは、さまざまなトラブルが発生します。
・駆体の劣化がひどく補修が必要
・住宅を購入後に「やりたいリノベができない」と発覚
・近隣からのクレーム
ただ、「駆体の劣化がひどく補修が必要」「住宅購入後にやりたいリノベができないと発覚」というトラブルは、住宅の購入からサポートするワンストップリノベーションで依頼すれば避けられます。CRAFT ESTATEのワンストップサービスでは、物件見学に不動産とリノベのプロが同行。その場でリノベでできることや、費用感をお伝えします。もしリノベーション費用がかなりかかるほど状態が悪かったり、希望のリノベーションができないようなら正直にお伝えするため安心です。また、リノベーション工事前は近隣へのご挨拶、また工事中の騒音対策を徹底しています。
トラブルを避けるためにも、実績豊富できめ細かな対応ができるリノベーション会社に依頼しましょう。
フルリノベーションのQ&A
最後に、フルリノベーションに関するよくある質問をQ&Aの形式で紹介していきます。
Q フルリノベーションした家は後何年住めるようになりますか?
住宅の寿命はそれぞれの物件によって異なるため一概に言い切ることはできませんが、木造の一戸建てが壊される平均年数は約58年とされています。木造住宅よりも長持ちしやすい鉄筋コンクリート造の住宅は、適切にメンテナンスすれば100年以上住み続けることも可能です。
フルリノベーションの対象となる物件の築年数や劣化度合いにもよりますが、フルリノベーション後にすぐ住めなくなってしまう可能性はかなり低いと言えるでしょう。
Q フルリノベーションするときには耐震工事もやるべきでしょうか?
必ず必要になるわけではありませんが、以下のようなケースに該当する場合はフルリノベーションと一緒に耐震工事も検討しましょう。
・耐震基準を満たしていない
・1階の壁の数や面積が少ない
・小さな地震でも揺れを感じることがある
・構造部分の劣化が進んでいる
ただし、「耐震工事すべきかどうか」については住宅の耐震性能や状態の確認が必要です。フルリノベーションのご相談時に、CRAFTの担当者へにお伝えください。
Q フルリノベーションをして後悔することはありますか?
フルリノベーションをして後悔する理由の代表的なものは、以下のようなケースがあげられます。
・想像していたようなデザイン・間取りにならなかった
・予算をオーバーしてしまった
・工期が長く、住み始められるようになるまでに時間がかかった
後悔する理由はそれぞれですが、フルリノーベーションしたことに対する後悔というよりは、結果に対する後悔がほとんどです。
事前のリサーチや計画、リフォーム会社とのすり合わせをしっかり行うことで防げるようなものが多いので、それらを怠らないようにしてください。
〈まとめ〉フルリノベーションなら、こだわりの住まいを実現できる
ルリノベーションは工事の内容によって費用が高くも安くもなります。費用感を知る場合は、各社のリノベーション事例を参考にして「どのような内容で、どのくらい費用がかかっているのか」をチェックしたり、実際にリノベーション会社に見積もりを取るなどしましょう。
フルリノベーション専門会社のCRAFTでは、1982年の創業以来、マンション・戸建ての多数のフルリノベーションを手掛けてきました。これまで培った構造の知識と経験を活かし、高級感のある上質な空間に一新。フルリノベーションをお考えの方は、CRAFTの相談会へお申し込みください。
<著者>CRAFT 編集部
一級建築士・二級建築士・インテリアコーディネーター・一級建築施工管理技士・二級建築施工管理技士・宅地建物取引士が在籍。さまざまな知識を持つプロフェッショナル集団が、リノベーションや物件購入についてわかりやすく解説します。