目次
古くなってきた住宅には、「フルリフォーム」と「建て替え」という2種類の方法があります。
フルリフォームと建て替えの違いやそれぞれのメリット・デメリットに触れながら、どちらで対応するべきかの判断基準について解説していきます。
フルリフォームと建て替えの違い
フルリフォームと建て替えとで大きく異なる要素としては、
・費用
・期間
・自由度
の、3点があげられます。
それぞれの要素の違いについては以下のとおりです。
費用 | 期間 | 自由度 | |
---|---|---|---|
フルリフォーム | 安い | 短い | 低い |
建て替え | 高い | 長い | 高い |
建て替えと比較した場合、フルリフォームは費用を抑えやすく、期間も短くなります。
一方でできることの幅広さや自由度については、住宅を一から建て直す建て替えの方が高いと言えるでしょう。
フルリフォームのメリットとデメリット
![フルリフォームのメリットとデメリット](https://craftdesign.tokyo/wp/wp-content/uploads/2023/12/full_renovation_and_rebuilding_differences_01.jpg)
紹介してきたとおりフルリフォームと建て替えにはさまざまな違いがありますが、どちらにするかは、それぞれのメリットとデメリットを把握した上で判断する必要があります。
ここからは、フルリフォームのメリットとデメリットについて解説していきます。
フルリフォームのメリット
フルリフォームの主なメリットとしては、
・建て替えに比べて費用を抑えやすい
・建て替えよりも短い期間で対応できる
・特殊な物件にも対応しやすい
などがあげられます。
フルリフォームでは、壁や床を撤去して躯体だけの状態にはするものの、建物を完全に解体するわけではありません。建物の基礎となる部分は残したままで修繕や改修を進めていくので、建て替えに比べて費用を抑えやすいというメリットがあります。
実際、鉄筋コンクリート造や鉄骨造の住宅の場合だと、建て替えの約1/2の費用でフルリフォームできるケースも少なくありません。
また、建て替えのように一度更地にしたり新しい建物を建てたりするわけではないので、工期も短くなります。
フルリフォームのデメリット
一方でフルリフォームには、
・建て替えよりも自由度は低い
・基礎部分の劣化が激しいと補修にコストがかかる
などのデメリットもあります。
フルリフォームは住宅を全体的にリフォームできますし、間取りの変更などにも対応できる、やれることの多いリフォーム方法です。
ただ、既存の建物の構造によってリフォームの内容に制限が生じることもあるため、いくらやれることが多いリフォーム方法とは言え、建て替えに比べると自由度は低くなります。
また、基礎部分の劣化が激しいケースでは補修にコストがかかる点もデメリットの一つとしてあげられます。補修で費用がかさんでしまうと、トータルでのコストが建て替えとそれほど変わらなくなってしまうこともあるので注意が必要です。
建て替えのメリットとデメリット
![建て替えのメリットとデメリット](https://craftdesign.tokyo/wp/wp-content/uploads/2023/12/full_renovation_and_rebuilding_differences_02.jpg)
さまざまなメリットがあるフルリフォームですが、建て替えにも建て替えならではのメリットとデメリットがあります。
建て替えのメリット
建て替えの主なメリットとしては、
・建物の資産価値が向上する
・自由度が高くできることが多い
などがあげられます。
住宅には、構造別に耐用年数と言って、「資産が価値を持ち続けられる期間」が国により定められています。
・木造住宅:22年
・軽量鉄骨(S造):19年
・重量鉄骨造(S造):34年
・鉄筋コンクリート造(RC造):47年
耐用年数を過ぎると建物の価値はゼロに近い状態になりますが、建て替えでは住宅を新築するので建物の資産価値を高めることができます。
また、建物を新しく建てる建て替えは、既存の建物の構造によってやりたいことが制限されてしまうようなこともありません。フルリフォームよりも自由度が高く、イメージ通りの住宅をより実現しやすくなっています。
建て替えのデメリット
一方、
・コストがかかる
・住めるようになるまでに時間がかかる
など、建て替えには建て替えならではのデメリットもあるため注意しなくてはいけません。
建て替えは既存の住宅を一度完全に解体し、新しい住宅を建てるため、どうしてもコストがかかります。解体費用や基礎工事費用がかかるため、フルリフォームの倍近くかかることも珍しくありません。
また、工程が多い分、住めるようになるまでに時間がかかるのも建て替えならではのデメリット。仮住まいに住む期間が長くなりやすく、よりコストがかかる点にも注意が必要です。
フルリフォームと建て替えのどちらかを迷ったときの判断基準
どちらにもならではのメリット・デメリットがあるフルリフォームと建て替えですが、フルリフォームと建て替えのどちらで対応するべきか迷ったときの判断基準としては、
・予算
・建物の状態
・建物の構造
の、3点があげられます。
これら3つの判断基準を踏まえた上で、フルリフォームに向いているケースと建て替えに向いているケースについて、それぞれ解説していきます。
フルリフォームに向いているケース
建て替えは既存の住宅を一度完全に解体してから新しい住宅を建てるので、どうしてもコストがかさみます。とくに頑丈に建てられた鉄筋コンクリート造や鉄骨造の戸建ては、解体にも新築にもかなりのコストがかかります。
そのため、かけられる予算が限られているのであれば、フルリフォームの方がおすすめです。
住宅の状態も判断基準の一つ。基礎部分がそこまで劣化しておらず大規模な補修工事が必要でないのであればフルリフォームが向いていると言えます。
建て替えに向いているケース
予算に余裕があり、住宅の構造による制限を受けずにとことんこだわりたいのであれば建て替えるのがおすすめです。
また、既存の住宅の劣化が進んでいて大規模な補修工事が必要になってしまうようなケースも、フルリフォームで対応するより建て替えで対応する方が適していると言えます。
ご自身で判断できない場合はデザインリフォームCRAFTにご相談ください。ご自宅が建て替えとフルリフォームのどちらがベストかを正直にお伝えさせていただきます。その上で建て替えるべきかどうかを考えてもよいでしょう。
住宅をフルリフォームした3つの事例
フルリフォームする際にチェックしておきたいのが、実際に住宅をフルリフォームした方の事例です。ここでは、住宅の構造別にフルリフォームの事例を3つ紹介していきます。
事例1. お子さまが独立したタイミングでフルリフォーム
![事例1. ゆるやかにエリア分けされた夫婦でゆったりと暮らせる住宅](https://craftdesign.tokyo/wp/wp-content/uploads/2023/12/full_renovation_and_rebuilding_differences_03.jpg)
世田谷区にあるご自宅をリフォームした事例です。お子さまが独立したタイミングでご依頼いただきました。
2階にあったルーフバルコニーを取り込み、より奥行きの感じられるリビングに。
リビングとオーダーメイドのキッチンは、ご夫婦でゆったりと過ごせる空間になるようゆるやかにゾーニングしています。
曲線の美しいダウンフロアや、2階からロフトに上がるためのスケルトン階段など、こだわりの詰まったデザインもポイントの一つです。
事例2. 中古で買った築33年のRC住宅をフルリフォーム
![事例2. 曲線が印象的なガレージのある住まい](https://craftdesign.tokyo/wp/wp-content/uploads/2023/12/full_renovation_and_rebuilding_differences_04.jpg)
横浜市にある築33年のRC造を購入し、フルリフォームした事例です。
「屋根付きのガレージが欲しい」というご要望を叶えるためにシャッター付きのモダンなガレージを増築。
曲線の壁が印象的な物件だったので、リビング・ダイニング間のステップも曲線にしつつ、TVボードも壁の曲線に合わせてオーダーしました。
CUCINAでオーダーした木目と大きなカウンター収納が印象的なキッチンやグレイッシュでシックにまとめたサニタリー、白で統一したモダンな玄関ホールなども目を引きます。
また、屋根やベランダの防水やFIX窓を二重にして断熱性能を向上させるなど、住まい全体の性能もアップしています。
事例3. ご実家の鉄骨住宅をフルリフォーム
![事例3. 撤去できないブレースをインテリアのアクセントに](https://craftdesign.tokyo/wp/wp-content/uploads/2023/12/full_renovation_and_rebuilding_differences_05.jpg)
豊島区にある築45年の鉄骨造の住宅をフルリフォームした事例です。
もともと倉庫として使っていた1階部分を、子世帯の住居にしました。
倉庫として使用していたスペースを住宅に変更するため、キッチンや浴室など、生活する上で欠かせない住宅設備を新設し、快適に過ごせるよう断熱工事も実施。
建物の構造上撤去できない柱とブレース(筋交い)がありましたが、リビングとダイニングの間仕切りとして活かせるプランを提案し、グレーに塗装することでインテリアにおけるアクセントとして取り入れています。
〈まとめ〉「フルリフォーム」か「建て替え」かで迷ったらプロに相談しよう
フルリフォームと建て替え、それぞれのメリット・デメリットに触れながら、判断基準などについて紹介してきました。ただ、どちらで対応するべきか判断するのが難しいケースも少なくありません。
もしフルリフォームと建て替えのどちらで対応するべきか迷ってしまうようであれば、ぜひCRAFTにご相談ください。
プロの視点で判断し、最適なプランをご提案させていただきます。
以下の記事では、建て替えとフルリフォームのどちらで対応するべきか迷っている時点でCRAFTにご相談いただき、フルリフォームを選択された方へのインタビューを紹介しているので、こちらもぜひ参考にしてみてください。
お客さまインタビュー「吉村順三の建築を住み継ぐこと」
![上原 宏介](https://craftdesign.tokyo/wp/wp-content/uploads/2024/03/uehara-1.jpg)
<著者>上原 宏介
住宅関連のコンテンツ作成を得意とするライター。専門的な言葉や用語が多くわかりづらくなってしまいがちな建築・リフォーム関連の情報をわかりやすくお伝えしています。さまざまな媒体で建築・リフォーム・不動産関連のコラムを多数執筆中。