物件データ
お子さまの進学を機に住み替えを検討していたUさん。ご両親が大切に住み続けてきた実家は建築家の設計によるもので、十分な広さもあったため、二世帯住宅にデザインリフォームすることを決めました。左右で分離する縦割りの二世帯住宅とし、生活サイクルの異なる二世帯がそれぞれのスタイルで無理なく暮らせるように。完全分離型ですが、2階の廊下を通って世帯間の行き来ができ、奥さまが忙しいときにはお母さまがお子さまの食事を担当することも。また、共有のテラスでお子さまが遊ぶ姿を見守ることもできます。二世帯がそれぞれの存在を感じながら、ほどよい距離感で暮らせる住まいです。
BEFORE写真
二世帯それぞれの玄関を新設
アプローチをフラットに
完全分離型の二世帯住宅とするにあたり、二世帯それぞれに玄関を設けることに。既存は階段を上がったアプローチの先に玄関がありましたが、階段を減らし、アプローチをフラットに近づけることで歩きやすく、親世帯も子世帯も出入りがしやすいよう設計しました。子世帯の自転車を停めるスペースも確保しています。
木のぬくもりに包まれて
床にはナラの挽板フローリングを張り、天井も同じ樹種の突板張りとして、木のぬくもりに包まれた心地よいリビングをデザイン。テレビ背面の壁には割肌の天然石を貼り、空間のアクセントとしました。この石壁は、奥にある勉強スペースをゆるやかに仕切る役割も果たしています。
勉強はリビングで
リビングの石壁の奥には、お子さまたちの勉強スペースを設けました。石壁の裏側やデスクの上部には本棚を製作。2人のお子さまとUさんの3人が並んで作業ができる、ロングカウンターとしています。壁でゆるやかに仕切ることで、親子がお互いの気配を感じながら過ごせる絶妙な距離感を叶えています。
リビング・ダイニングの一体感
既存の床材はリビングがカーペット、ダイニングが大理石でしたが、ナラの挽板フローリングで統一。リビングとダイニングをつなぐスキップフロアの段板もナラで仕上げました。床の高さが異なる空間でも、リビングからダイニングにかけて連続する板張りの天井と相まって、一体感をもたらしています。スキップフロアの手すりは黒のスチールでシンプルかつ軽やかに。入口の引き戸をガラス入りとすることで明るさや開放感を高めています。
LDKは伸びやかに
リビングからダイニング、キッチンまで見渡せる伸びやかな空間構成。階段室とリビングを仕切っていた壁は、FIXガラスとすることで開放感をアップ。手前には石のカウンターを設け、気軽に腰掛けることができるベンチとしました。下部には間接照明を入れることで、カウンターの存在感を強調するとともに、空間に表情を与えています。
コの字型のキッチン
キッチンはコの字型の対面式に。吊り戸棚を設けて収納量を確保しつつ、ミーレのオーブンや愛用の食洗機、ごみ箱もビルトインに。短い動線で効率的に料理ができるよう設計しました。キッチンとダイニングの間には人造石の腰壁を立ち上げ、キッチンの手元が見えないよう配慮しています。
二世帯が集うテラス
親世帯のリビングと子世帯のダイニングに面したテラスは、二世帯で共有する空間。既存の花台の奥にフェンスを設置することで、外部からの視線を遮り、家族でゆったりとくつろげる空間としました。手前の低い壁の部分は老朽化が進んでいたため撤去し、コンクリートブロックで補修しています。
親世帯はシンプルで使いやすく
独立した和室とキッチンだったスペースを、親世帯のLDKとしました。キッチンは白で統一してすっきりとした印象に。安全性が高く掃除もしやすいIHクッキングヒーターを採用しました。テレビ台背面の壁には流れるような模様の石目柄タイルを貼り、空間のアクセントとしています。
開放的なリビング
和室からリビングに変更するにあたり、既存の丸窓や勾配天井などの意匠は活かしつつ天井高をアップ。シーリングファンを設置し、開放感のある空間をデザインしました。子世帯のリビングに比べてコンパクトながらも、天井高のおかげで開放感がアップ。たっぷりと自然光が注ぐ、居心地のよい空間です。
新築時の美しさを取り戻す
築年数が経過しているため、外壁や屋根は塗り替えることに。モルタル部分の壁はアイボリーで塗装。打放しのコンクリート部分は経年劣化が見られたため、補修後に打放しコンクリートの模様を再現して塗装しました。門扉を交換し、電気錠を採用。世帯ごとの表札とポストを設置するなど、二世帯が安心して、快適に暮らせる設備も整えています。