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ご自宅のリフォーム・リノベーションを考えたとき、「鉄筋コンクリートか鉄骨造に違いはないけれど、どちらかはっきりしない」という方もいるようです。構造によって間取り変更の制限も変わってくるため、リフォームするならご自宅の構造を知っておきたいもの。この記事では、鉄筋コンクリート造(RC造)と鉄骨造の違い、それぞれのメリット・デメリットなどについて詳しく解説します。
鉄筋コンクリート造(RC造)と鉄骨造(S造)の違い
鉄筋コンクリート造(RC造)と鉄骨造(S造)は、どちらも金属を使用していますが、特徴は大きく異なります。ここからは、それぞれの特徴とメリット・デメリットについて解説します。
鉄筋コンクリート造(RC造)とは
鉄筋コンクリート造(RC造)は、柱や梁、壁といった主要構造部を「鉄筋」と「コンクリート」でつくった建物のことです。引っ張る力に強い鉄筋と圧縮力に強いコンクリートを組み合わせてつくる鉄筋コンクリートは、非常に頑丈という特徴があります。
なお、建物の構造には鉄筋コンクリートと鉄骨を組み合わせたより強度の高い「鉄筋鉄骨コンクリート造(SRC造)」もありますが、主にタワーマンションや高層ビルなどに採用され、戸建てに使われることはほとんどありません。
鉄筋コンクリート造(RC造)のメリット
ここからは、鉄筋コンクリート造(RC造)のメリットをご紹介します。
〈1〉耐震性・耐火性が高く、地震や火事など災害に強い
鉄筋コンクリート造の住宅は、地震や火事など災害に強いことが大きな特徴です。地震では横揺れ・縦揺れによってさまざまな方向から負荷がかかりますが、これを引っ張る力に強い鉄、圧縮力に強いコンクリートが支えることで、倒壊を防ぎます。また、コンクリートは燃えにくく、火事に強いこともメリットです。火災時には室内温度が1,000度を超えることもありますが、鉄筋コンクリートは1,000度の炎に2時間さらされても燃えずに強度を保てたというデータもあります。
〈2〉防音性・遮音性が高い
コンクリートを流し込んでつくる鉄筋コンクリートは、音や振動が伝わりにくく、気密性が高いため防音性・遮音性に優れています。外から音を遮るだけでなく、内からの音漏れも防ぐことが可能です。
鉄筋コンクリート造(RC造)のデメリット
続いては、鉄筋コンクリート造(RC造)のデメリットを見ていきましょう。
〈1〉ラーメン構造は柱・梁が目立つことがある
鉄筋コンクリートのラーメン構造の場合、室内に柱や梁が張り出して目立ったり、圧迫感を感じることがあります。ただし、ラーメン構造は間取り変更の自由度が高いというメリットもあります。構造に合わせた工夫を取り入れることで、満足度の高いリフォーム・リノベーションができるでしょう。
〈2〉壁式構造は間取り変更に制限がある
鉄筋コンクリートの壁式構造では、「壁(面)」で建物を支えているため、柱や梁が張り出さず、室内がすっきりした印象になります。しかし、建物を支える壁の移動・撤去が難しいため、ラーメン構造に比べると間取りが制限される点がデメリットです。
〈3〉建て替え(新築)費用が高い
鉄筋コンクリート造は丈夫ですが、鉄骨造の住宅よりもさらに建築費用が高めです。建築費用の他に解体費用もかかるため、建て替え(新築)を行おうとすると、コストが高額になる傾向にあります。
鉄骨造とは
鉄骨造は、柱や梁などに鉄骨を使用した建物のことです。「鉄骨」といわれるものの、実際は鉄の合金である鋼(Steel)を使用しており、「S造」と呼ばれることもあります。鉄骨造は使われる鋼材の厚みによって「軽量鉄骨造(6mm未満)」と「重量鉄骨造(6mm以上)」に分けられます。重量鉄骨造と軽量鉄骨造は名前は似ているものの、構造には大きな違いがあります。軽量鉄骨造は使用する材質は鉄骨ですが、構造は木造軸組構造と同じです。
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鉄骨造のメリット
ここからは、鉄骨造のメリットをご紹介します。
間取り変更がしやすい
鉄骨造のラーメン構造の場合、柱と梁の連結部分を溶接するため強度があります。そのため、壁や柱を取り払って大空間にしたり、窓を大きくするなど自由な間取りが実現できます。ブレース構造の場合はブレース(筋交い)の制限が生じますが、ブレースを塗装してインテリアやデザインのように見えるといった工夫をすることで存在を抑え、すっきりと見せることも可能です。
鉄骨造のデメリット
続いて、鉄骨造のデメリットをご紹介します。
〈1〉耐火被覆処理が必要なケースも
鉄は温度の上昇とともに柔らかくなる性質があり、火災には強くありません。防火地域・準防火地域(火災の被害を広げないために建築制限がある地域)といった高い耐火性能が求められる地域では、鉄骨を耐火性のある材料で覆う「耐火被覆処理」が必要です。
〈2〉鉄筋コンクリートに比べると防音性・遮音性が低い
鉄骨造は壁の密度が高くないため、鉄筋コンクリートと比べると遮音性は低くなります。音漏れが気になる場合は、リフォーム・リノベーション時に壁に防音材を入れたりするなどの防音対策を行うといいでしょう。
鉄筋コンクリート&鉄骨造は建て替えよりリフォームがおすすめ
「古い家を新しくしたい、きれいにしたい」と考えたとき、建て替え(新築)とリフォームという2つの選択肢がありますが、鉄筋コンクリートや鉄骨造であれば、建て替えよりもリフォームがおすすめです。
〈1〉建て替えの1/2でリフォームできる
鉄筋コンクリートや鉄骨造(重量鉄骨造)は、木造や軽量鉄骨造に比べて丈夫なことがメリットですが、頑丈ゆえにどちらも解体費用が高くなりがちです。建て替えとなるとかなりの金額になってしまいます。
しかし、構造躯体の状態がよければ、スケルトンリフォーム・フルリフォームでコストを抑えながら新築のように一新できます。建て替えに比べると費用は1/2〜1/3ほど。費用浮いたコストを最新設備の導入や内装・外装のグレードアップ、インテリアや家具の購入費用に回せば、満足度の高いリフォーム・リノベーションが行えるでしょう。
〈2〉建物の寿命はメンテナンスで延ばせる
鉄筋コンクリート造(RC造) の法定耐用年数は47年、重量鉄骨造は34年ですが、これは税法上の定義であり、建物の寿命ではありません。法定耐用年数とは、税法上で定められた「固定資産としての価値を持つ年数」のこと。定期的なメンテナンスを行えば、50年、60年と長く住み続けることが可能です。特に、鉄骨造以上に頑丈な構造である鉄筋コンクリートは、きちんとメンテナンスすれば100年以上持つともいわれています。
どちらも耐久性や耐震性に優れ、リフォーム・リノベーション向きの構造です。
CRAFTのリフォーム・リノベーション事例
ここからは、CRAFTの鉄筋コンクリート造(RC造)と鉄骨造(S造)のリフォーム・リノベーション事例をご紹介します。
〈鉄筋コンクリート造(RC造)のリフォーム事例1〉
お子さまの成長をきっかけに、3階建てのご実家を二世帯住宅にリフォーム。
邸内を窮屈に感じさせていた既存のらせん階段を撤去し、スケルトン階段と吹き抜けを設けたことで、自然光がたっぷりと降り注ぐ明るい空間になりました。
〈鉄筋コンクリート造(RC造)のリフォーム事例2〉
こちらのリフォームでは、部屋数を増やすスペースがなかったことから、鉄筋コンクリートで増築を行いました。施工しやすい木造ではなく、耐震性・耐久性に優れた鉄筋コンクリートを使用することで建物の資産価値を保っています。
構造上なくすことが難しい柱や壁には天然石をランダムに貼り、素材感を引き立たせることで美しいデザインの一部に仕上げました。
〈鉄骨造(S造)のリフォーム事例1〉
デザインは気に入っていたものの、不便さを感じていたというお住まいの間取り・動線・明るさを改善するリフォームを行いました。
既存のテイストを活かしつつ、たっぷりと光を取り入れられるようにガラスブロックの小窓を設け、光を拡散するよう床をフローリングから白い大判タイルに変更。階段は向きを90度変えることで、生活動線をスムーズにしました。
〈鉄骨造(S造)のリフォーム事例2〉
法規的な理由で建て替えが難しかった戸建てを、光と風が心地よい空間にリフォーム。2階に移動させたLDKは白を基調としたデザインにすることで、広々として明るく、心地のよい居場所になっています。
通りに面したにぎやかな西側は水回りにし、竹林が美しく静かな東側に居室をまとめることで、ゆったりとくつろげる穏やかな暮らしを実現しました。
〈まとめ〉鉄筋コンクリート・鉄骨造はリフォームがおすすめ
鉄筋コンクリート造(RC造)と鉄骨造(S造)はどちらも丈夫な構造のため、リフォーム・リノベーションに適しています。
建て替えに比べると費用を1/2〜1/3ほどに抑えられることもメリットで、浮いたコストを最新設備や内装・外装のグレードアップに充てるなど、満足度の高いリフォーム・リノベーションが行えるでしょう。
CRAFTでは、1982年の創業以来、豊富な鉄筋コンクリートリフォーム・鉄骨造リフォーム実績を重ねてきました。ぜひ一度お気軽にご相談ください。
<著者>CRAFT 編集部
一級建築士・二級建築士・インテリアコーディネーター・一級建築施工管理技士・二級建築施工管理技士・宅地建物取引士が在籍。さまざまな知識を持つプロフェッショナル集団が、リノベーションや物件購入についてわかりやすく解説します。