目次
上質なホテルに身を置くと、都市の喧騒がすっと遠のく。その設計の考え方を取り入れれば、自宅の寝室にも同じ空気をつくることができます。
このコラムでは、リフォーム事例をもとにホテルライクな寝室を実現する7つの設計ポイントと、広さ別・テイスト別のコーディネートをご紹介します。
ホテルライクな寝室をつくる7つのポイント
間接照明で陰影のある空間を演出する
ハイクラスなホテルが落ち着くのは、隅々まで明るく照らすのではなく、光量を絞っているからです。折り上げ天井や壁際に光源を仕込み、天井や壁に光を反射させるなど間接照明を取り入れることで陰影が生まれ、くつろいだ雰囲気になります。
こちらのRC住宅では、地下の寝室を二重天井にして間接照明を仕込みました。光は天井を伝って壁面のアイボリーの大判タイルへと届き、素材の表情をやわらかく浮かび上がらせます。地下ならではの、静けさをたたえた空間です。
ベッドヘッドで上質な雰囲気に
寝室をワンランクアップするのが、壁と一体化したヘッドボードです。造作により壁そのものをデザインすることで、ベッドが空間の主役になります。突板パネル、ファブリック張り、左官仕上げなど、素材感にもこだわりましょう。
ベッドヘッドにファブリックを採用し、包まれるようなやわらかさを添えた、CRAFT青山ショールームの寝室です。天井はあえて低めにして木を張り、おこもり感のある落ち着いた空間に仕上げました。
素材の質感にこだわる
寝室は壁・天井・床の質感がそのまま空間の空気感になります。無垢材や突板、天然石、左官仕上げ、ウールのカーペットといった本物の素材は、光の当たり方によって豊かな表情を見せ、経年とともに味わいを深めていきます。
こちらの寝室は、正面の壁から天井にかけてナラの突板を張り、木に包まれるような空間に。両サイドの壁は珪藻土で仕上げ、間接照明に照らされて左官の質感が際立ちます。ベッドの両脇にはシーザーストーンでナイトテーブルを造作し、シンメトリーに整えました。
バスルームやWICとのつながりを意識する
ホテルでは、寝室と水まわりがゆるやかにつながっています。目が覚めてから出かけるまでスムーズに身支度が完結する。この動線の短さが、ゆとりを生んでいます。
こちらの事例では、広々とした洗面・浴室とベッドルームをひと続きにレイアウト。ガラス扉により視線が抜け、空間の伸びやかさを強調しています。隣にはディスプレイ棚でゆるやかに仕切ったWICを設けて、日々の着替えもスムーズです。
カラーを統一して落ち着いた印象にする
ホテルのシックな雰囲気づくりに欠かせないのが、色彩計画。グレー、ベージュ、グレージュ、チャコールなど、彩度を落とした色でまとめると、素材の質感と光の陰影が前に出て、空間が静かに整います。
壁をグレーで統一した寝室です。ベッド背面にはアクセントクロスを張り、そのテクスチャーの陰影を間接照明が照らし出します。
床には肌触りの良いカーペットを敷き、隣接するリビングの白く艷やかなタイルとのコントラストが、空間の切り替わりを強調しています。
余白のあるレイアウト・家具の配置を意識する
ホテルの家具は基本的に、ベッド、ナイトテーブル、ラウンジチェア程度。同じようにご自宅の寝室にも適度な余白をつくることで、静かな空気が生まれます。また、シンメトリー(左右対称)なレイアウトも空間に秩序をもたらし、快適な眠りを支えるポイントです。
こちらの寝室では、正面の壁にモールディングを施してヘッドボードのように。ベッドの両サイドにナイトテーブルとブラケットライトを配置して、クラシックホテルのような佇まいとなりました。
生活感を見せない収納・設備計画を行う
素材や照明にこだわった寝室でも、コードが床を這っていてはホテルライクな雰囲気は半減してしまいます。目に映るものを厳選し、生活感を隠しましょう。
たとえば、ナイトテーブルに充電用のコンセントを設置し、テレビの配線は壁に通しスッキリと。リモコンや細々とした生活用品の収納も確保します。
こちらの寝室では、壁面から浮いて見えがちなエアコンを、白いルーバーで目隠し。設備の存在感をなくしたことで、石目が美しい大理石の壁や、コレクションのヴィンテージポスターが際立ちます。
*関連記事*
ホテルライクな住まい全体の事例と考え方については、下記をご覧ください。
ホテルライクなリフォーム13事例。間取り・デザイン・素材選びのポイント
ホテルライクな寝室は何畳あればいい?
ホテルライクな寝室にするなら、広さは10畳以上が理想。とはいえ、そこまでの面積を割けなくても、光の設計と余白の工夫次第で、居心地の良い寝室は実現可能です。ここでは6畳から、広さ別に空間づくりのポイントをご紹介します。
6畳でもホテルライクな寝室は実現できる
6畳は約9.7㎡。部屋の形にもよりますが、クイーンサイズのベッドを中央に据えると、左右に約50cm〜1mの余白が残ります。「眠るための部屋」と割り切れば、整えやすい広さです。手を伸ばせば壁に届く距離感が、かえってこもるような安心感をもたらしてくれます。
空間づくりのポイント
・ローベッドを選ぶ:壁面が広く見え、天井が高く感じられます。
・家具を最小限にする:チェスト等を置かず、衣類収納は寝室の外へ。
・ナイトテーブルは造作で:壁付けの小さなカウンターにすると、圧迫感が生じません。
・間接照明で奥行きを演出する:実際より広く感じられる効果があります。
8畳ならゆとりのあるホテルライクな空間に
8畳は約13㎡。ベッドの左右と足元に十分な余白が確保でき、シンメトリーの構成が美しく決まる広さです。ラウンジチェアなどを置く余裕もあります。
空間づくりのポイント
・左右にナイトテーブルを配置する:空間にシンメトリーの秩序が生まれます。
・ベッドヘッドを造作する:寝室と家具の統一感が生まれ、空間が洗練されます。
・ラウンジチェアを置く:寝室に、眠る以外の過ごし方が加わります。
12畳ならスイートルームのような空間も可能
12畳は約19.4㎡。ベッドを置いてなお十分な余白があり、寝室のなかに複数の役割を持たせられます。ホテルのスイートルームのような間取りを実現できる広さです。
空間づくりのポイント
・ドレッシングルームとつなげる:隣にウォークインクローゼットを設ければ、着替えや身支度の動線がスムーズに。
・パウダースペースを設ける:ドレッサーや洗面台を設ければ、メイクやヘアセットまで最短の動線で完結。
・ラウンジスペースをつくる:ソファやチェア、小さなテーブルを置いて、くつろぎのエリアをプラス。
・床材やラグで領域を分ける:広さを損なわず、視覚的に空間をゾーニングできます。
テイスト別のホテルライクな寝室コーディネート
素材が響き合う、モダンスタイルの寝室
建築家・吉村順三氏が設計したご実家を受け継ぎ、リフォームした住まい。寝室は床にウール100%のカーペット、壁にイタリア産のタイル、勾配天井にはレッドシダーの板張りと、質感の異なる素材を重ねました。
直線的な構成と抑えた色数を土台にしながら、素材の質感で温度を与えています。日当たりのよい南側の一部はインナーテラスとし、天窓を新設。内と外の間にワンクッション設けることで、寝室の断熱性をアップしました。
木に包まれる、リゾートホテル風の寝室
「バリのリゾートホテルのように」がコンセプトのマンションリフォーム。寝室を拡大してホテルサイズのベッドを納め、梁やダクトによる天井の凹凸はチークの突板パネルでフラットに整えました。
枕元の壁には上下にパネルを張り、間に間接照明を仕込むことで、ベッドヘッドのように見せています。隣室との間は木製ルーバーの引き戸とし、光と風を通しながら、エキゾチックな気配を漂わせました。
陰影が織りなす、旅館のような和モダンの寝室
和の意匠とモダンデザインは、じつは相性のよい組み合わせ。どちらも直線で構成され、余白を大切にするという共通点があるからです。
こちらの寝室は、壁と下がり天井に白木を思わせる明るいメープルを張ってヘッドボードのように仕上げました。板張りの天井は梁を隠す役割も兼ねており、スリットに仕込んだ間接照明が、穏やかな陰影をつくります。
ホテルライクな寝室は、住まい全体とのつながりでさらに心地よく
ホテルの心地よさは、客室だけでは完結しません。静かな廊下を進み、扉を開ける、その一連の流れを通して日常が少しずつ遠のいていきます。
住まいも同じです。寝室だけでなく、ウォークインクローゼット、洗面室、バスルームまで素材とトーンを揃えてはじめて、スイートルームのような一体感が立ち上がります。
CRAFTでは、寝室単体ではなく住まい全体の設計の一部として設計します。配線や配管、天井の納まりまで含めて一貫して計画できるのは、フルリフォームのタイミングだけ。寝室を刷新するなら、住まい全体の見直しとあわせてご検討いただくことをおすすめします。
CRAFTの青山ショールームでは、ホテルライクな寝室をご覧いただけます。ファブリックのベッドヘッド、低く抑えた板張りの天井、裏側に設けた大型のウォークインクローゼット。写真では伝わりにくい光の陰影や素材の手ざわりを、実際にお確かめください。







